今回の訪馬ではマレーシアの発展ぶり、そのスピードに圧倒されました。止まるところを知らないような激しさですね。
実のところ、今までは「マレーシアのハードは充実してきているけれど、中身はまだまだ」と感じていました。恐ろしいほど巨大で美しいモールがあちこちにありますが、ではその中に入っている店舗はというと、「金持ち外国人」用の高級店であったり、あるいは「マレーシア標準」の店舗であったり、日本人から見てちょうど良いレベルのものがないと感じていました。
それは衣料品、食料品、あるいはコンドも同じ。中身というかソフトが追い付いていないと感じていました。
ところが今回感じたのは、もうそれは過去のものになりつつあるということでした。かなり内容が充実してきてる。
それはまさにマレーシア人の購買力が上がってきたからだと思うし、昔なら食事といえばホーカーズだったような人たちがモールの中にある洒落た、そして結構高いレストランで普通に食事をするようになっている。特に若い人たちにその傾向があるんだろうと思いました。
日本にもそういう時代があって、若いころが懐かしいと思うのですが、ただレストラン以外を考えるとまだまだかなという感じはしています。
これは大きなショッピングモールに行くとわかることですが、とにかく客の人数は凄い。レストランも満員のところが少なくない。ところが一般店舗を見ると「客でいっぱい」という店舗はほとんどないんですね。モールを歩く人達を見るとショッピングバックを下げている人たちが非常に少ない。
つまり、ショッピングモールに遊びに来ているのであって、涼んでブラブラし、食事をするような人が半端じゃない大多数なんだろうと思ったり。これもまた自分が若いころを思い出すとまさにそのまんまで、良くデパートに涼みに行ったのを思い出します。買い物目的じゃないのね。(笑)
でもKLの「そごう」みたいな庶民的なデパートに行くと、バーゲンセールに群がる人たちがいて、彼らが何を買っているかを見るとマレーシア人の平均的な生活が見えてくるような気がします。
そして、彼らの生活レベルは間違いなく、かなりのスピードで上がっている。
その背景にあるのはまさに所得の伸びであるわけですが、2年前の2013年のちょうど今頃に調べたマレーシアの統計を思い出しました。
その時の日記。
この2年前の時点でびっくりしたのが、この統計は2012年の数値であるのに、想像を超えていた内容であったこと。つまり、マレーシアの物価は安いとか所得が低いから、日本人の退職者はかなり良い生活が出来るというのは、もうこの時点で崩れていると思ったってこと。
2012年の時点で、マレーシアの全国平均の世帯所得は月5000リンギットに達した。KLでは8586リンギット。これって34円で計算すると全国平均で月収17万円。KLでは月収29万円に達している。
2012年でこれですから、2014年は凄いことになっているかと思ったのですが、残念ながら最近の統計は探せませんでした。
発展途上ってこういうことなんだろうと思います。ただ中国もそうですが、国として本当に先進国入りするには通り越さなければならない壁があって、それを超すのはなかなか簡単にはいかないという歴史があるそうで、マレーシアがこのまま伸びて目標通りに2020年には先進国入りするのかどうかはわからず。
ただ、旅行者としてちょろっと見ただけですが、留まることのない勢いを感じました。その背景には中国の存在もあって、今後どうなるかは私には予想さえできませんが、マレーシアの伸び率を考えますと、今の香港やシンガポールがそうであるように、日本さえ追い越すことが起こるかもしれないと思いました。昔の香港、台湾、シンガポールを知っている人たちはまさか今のようになるとは想像しなかったでしょうし、実はオーストラリアもそうで日本を軽々と追い越すほど所得が伸びるなんて全く想定さえしていませんでした。
ま、将来のことを案じる必要もなく、楽しめる間に楽しめば良いのがロングステイヤーですが、長いスパンでマレーシアでの居住を考えた場合、この伸び率と同じように自分も伸びていかないと大変なことになるであろうことは簡単に想像できますね。
それはマレーシアの通貨も同じで、リンギットを持たないリスクは今後強まるかもしれない。また地元の基準で収入が得られるようにしないと置いて行かれることも起きるかもしれない。
この辺って意外と実感がないですが、我々もそうやって日本で生きてきたんですよね。日本円で資産を持ち、日本円で収入を得てきたから一緒に伸びてきたわけで、戦後、ケタ違いの大金持ちだったアメリカ人が米ドルにこだわっていたら今では「普通の人」あるいはそれ以下になっているわけですから。
オーストラリアの移住ブームで渡ってきた人たちも同じで、オーストラリアに根をはやし、一緒に伸びてきた人たちは良いですが、20年も30年も前に持っていた「それなりの資産」にしがみついていた人たちは、もうほとんどが脱落しているか、細々と生活しているのが普通じゃないでしょうか。資産運用益には手を付けないならまだしも、それを生活費にあててしまうと、簡単にインフレの餌食になる。でも額面が減らないとその恐怖ってなかなかわからないんですよね。
どんな時代、どんな国でもやっぱり「稼ぐ力」なくして生き延びることはできないと私が思うのはこういうことでもあって、金利の数%が高いからどうにかなるだろうとか、そういうレベルじゃ大きな流れからは簡単に置いて行かれてどうにもならないと思っています。
1億のキャッシュより、月に50万稼ぐ能力のほうが大切だということであって、早期退職を簡単に考えないほうが良いのはそういうことだと思っています。まして若い人は先が長いのですから。
私はもうジジーで先が長いわけではありませんが、あと100年生きるとしたらどうするかを前提に考えることにしています。(笑)
自分が変わることが出来ずに、状況が変われば生きられる国に流れていくというのは当たり前といえば当たり前ですが、それは最後の最後、一番最後の選択であって、どうにか好きな場所で生き抜くことを考えていきたいと思います。
そういう意味では、私はオーストラリアで今後生きていても将来がないというか、もう自分の力では無理だと判断したわけで、負け犬です。オーストラリアを出て行きたくて出るのではありませんから。経済難民としてマレーシアに渡るわけですが(笑)、今はそのマレーシアでどこまで生きのびられるのか、それを考えています。
で、思うことは、マレーシアが発展するのは良いことだけれど、そこそこにしておいてね、ってこと。(爆)
しかし、こういうバカな冗談を言えない状態になる可能性もありますよね。我々が「海外は良いね~~」なんてプラプラしている間に、どんどん生活レベルが下がってきて、もうだめだ日本に帰ろうと思っても日本がどうなるかはまったくわからない。今までのデフレはあまりにも長く、それを前提に今後もそれが続くような考えを持っていたり、あるいはもう日本はダメだ、破綻する、なんて思っていたところで、いつも書いているように、「海外で一生生きていく」為には【絶対に】永住権が必要だし、その国の手厚い「社会保障」が必要。
海外でちょっと面倒な病気に掛かったら、一瞬にして資産を食いつぶすか、そのまま死ぬしかないんですから。保険だって突発的な病気や怪我には良いけれど、持病が酷くなったらアウト。でも日本に帰ればどうにかなる。
でもこれまた面白くて、「日本に帰ればどうにかなる」って多くの人が信じているのね。あるいはどうにかならないにしても「日本に帰るしか無い」と。
でも将来のことはわからないんですね。海外が良いと思っている間に日本が変貌する可能性だってあるんですから。だから考えてもしょうがないと多くの人は言いますが、本当にちゃんと考えないで放置するとやっぱりうまくないと思うんです。ジジババはあの世がすぐ近くにありますから良いにしても、今回の訪馬で若くしてマレーシアに渡った人と会いましたが、そういう想定は全くしていないのを感じてびっくりしました。子供のビザや永住権のことも考えていないようで、「子供が高校生ぐらいになったら子供の意志に任せて・・・」と気楽なことを言っていたのも驚きでした。
それが言えるのは、その国の永住権か市民権(国籍)を持つ人だけなんですね。もし子供(や家族)がちょっとややこしい病気にかかったら家族全員が日本に帰るしか無いんですから。あるいは健康だったとしても子供は永住権がなければいつかその国から追い出されることになる(成人になったら自分でビザを取らないとならないのが普通)。まして就労の自由もなく、一切の社会保障、健康保険も含めてなんのセイフティーネットもないことを考えていない親が子供を海外に連れ出すって、本当に恐ろしいし、異常だと思いました。それと子供は自分と同じ日本人になるという「前提」がおかしいことに気がついていないのね。子供は現地人に限りなく近くなるのに、でもそこに住み続け、働く権利もない、セイフティーネットもなければ、ただの難民でしかない。
「この国に住み続けたい」と子供が思えば住み続けられると思っているんですかね。これって我々が「ハワイに住み続けたい」と考えるのと全く同じで(笑)、はいどうぞと言ってくれる国なんかこの世に存在しなくて、自分の意志通りに生活できるのは自分が永住権なりパスポートを持っている国だけ。
MM2Hってあの世が近いジジババのものだってことにどうして気が付かないんでしょうか。マレーシアの永住権取得は半端じゃなく難しいですよね。これがマレーシアの本音で、外国人の面倒なんか見たくもなければ住み着いてほしくないわけです。でも金を持っていたり技術を持っていれば利用したいだけ。でもこれは世界共通で、本人の意思なんか関係ないんですね。
では若者がMM2Hは所詮短期の滞在ビザであると考えたとして、では次にどこへ行く?住んで良いよ、働いて良いよ、病気になったら助けてやるよ、という国がどこにあります?日本しか無いじゃないですか。
あるいは永住権を取れる国に行くしか無い。でも永住権は簡単には取れない。さぁどうする?
海外に住んでいる人たちの多くはこういうハードルをみんなどうにか乗り越えて努力もし、妥協もしているんですね。好きなところで好きなように生きているわけじゃないことに気が付かないとうまくないと思います。そして現実は、住み続けることができずにどうしようもなくて帰国する人のほうが圧倒的に多いわけです。
でも何がなんとしてでもそこで生きたなら取るしか無いわけですよ。
永住権もない、そこで生き続けられないとなればパスポートを持つ国に帰るしかないわけで、我々日本育ちはそれで良いにしても、海外を祖国のように思って育った子供にとって「日本は外国」なんですね。その子供たちが自分の意志に反して日本に帰らなくてはならないことになったらどれほどの苦痛と絶望感を感じることになるか、親は真剣に考えるべきでしょ。
MM2Hは期間が長い観光ビザでしかない。
今、フト昔アメリカはサンタバーバラに住んでいた親戚から聞いた話を思い出しました。
ある知り合いの日本人青年がアメリカに住み続けたくて、でもビザがどうにもならず、悲しくて悔しくて、波止場で海を見ながら泣いていたそうです。そこを通りかかったアメリカ人の女性が「貴方、大丈夫?どうしたの?」と声をかけてくれた。そこで彼は自分の思いを彼女に話した。
するとなんとその女性が「じゃ、私が貴方と結婚してあげる。そうすればこのままここで生活できるから」と。嘘みたいな話ですが、二人はそこで結婚し、そのまま幸せな家庭を築いたと。
この永住権取得のためにあの手この手を使うのはアメリカもオーストラリアも同じで、永住権のために結婚する人って半端じゃない数なんですね。知り合いの中にも結構いますし、私の友人(私より年上)ですが再婚を何度もしていて「俺がモテるのは永住権を持っているからだ」なんてちゃんと自覚しているのもいるのね(笑)。今の法律では何度も何度も結婚相手に永住権を取らせることができなくなりましたが(それだけこれを使う人がいるってこと)、
永住権(あるいは国籍)を持っている人としか付き合わないなんていう(永住権を持たない)若者も少なくないんですよ。その気持はわかるけれど、自分の子供からそんな言葉は、私は聞きたくないと思う。