最近、スープに目覚めてしまったのはこのブログに書いているとおりで、ちょっと面倒くさいですがやっぱりちゃんと骨なり肉からスープを取ると違いますね。
和食の場合は昆布と鰹節から取るなんてのは我が家では常識化していますが、やっぱり洋物の場合はスープそのものを買ってきたり粉末やペースト状のを使ったりで、ヨメさんが骨や肉からスープを取っているのを私は見たことがありません。まぁ、鶏肉は我が家はドラムスティックが一番鶏肉としては美味しいと思っていて、ドラムスティックを買ってきて解体した時の骨からスープを取ることがありますが、せいぜいその程度。
私が韓国料理じゃ洋食の基本じゃといろいろ興味を持って実験している中で、やっぱり出汁は基本というのは世界共通なのがわかりました。ここで手を抜くとおいしくなるわけがない。でも洋食にしても韓国料理、中華料理にしてもどうしても味付けは濃くなりますからその辺が今までごまかせたのだろうと思います。でもせっかく手間ひまかけて取ったスープだからと「真面目に」調理すると、やっぱり出来上がりが違うのがどうにかわかるようになってきました。
それと玉ねぎをしっかり炒めたり、ミレポア(玉ねぎ、人参、セロリ)はしっかり焼くと、まさにこれが調味料化するんですね。私は洋食に調味料なるものが存在しないというのをミレポアの勉強をした時に知りました。焦げ目、つまりキャラメライズされたものが調味料と同じで、ステーキや焼き鳥、ハンバーグに焼き目が付いていなかったらどれほど不味いものになるのか考えてみて納得。
調味料がないから出汁に拘り、キャラメライズに拘り、そしてスパイスに拘るのが洋食だと今は理解しています。
でも中華料理や韓国料理を見ると洋食に見られる「焦げ」を積極的に利用しないんですね。でもその代わり、醤油や味噌、醤と呼ばれるものが多い。では醤油や味噌って何?と思って調べてみるとこれがまさに「キャラメライズ」「メイラード反応」したものなんですね。あの醤油や味噌の色って焦げと科学的には同じだそうです。だから食材に焦げがなくても醤油や味噌で深い味を出せるということなんでしょう。
その点、和食って焦げはかなり大事にしますよね。焼き魚や焼き鳥、焼きナスに焦げ目がなかったら大騒ぎになるはず。(笑)
なおかつ調味料は豊富で、大豆や麦や米、また動植物由来のものも色いろある。ああ、やっぱり和食の世界って凄いんだなぁと思ったり。
でも考えてみれば、洋食に調味料がないとするなら、是非積極的に使ってみようって発想が出てくるわけで、洋食に醤油や味噌を使う料も出てきた。それは決して日本人好みに合わせるという意味ではなくて、あくまで洋食としての使い方。
そんなことを考えている時にフト思い出したのが、ゴールドコーストにあるココットというフレンチレストラン。ここの売り物に「牛頬肉のシチュー」がありますが、これが美味しいのですが、八丁味噌を使っているんですね。これって気が付かない人は気が付かないでしょうし、決して日本人向けに作っているわけでも何でもない。
あれを食べたフレンチのプロがどう評価するかは知りませんが、私は美味しいと思うし、焼いた「キャラメライズ」と調味料としての「キャラメライズ」を使いこなせる状態にあるのが我々日本人ですし、新しい時代の料理がどんどん出来てくるんだろうと楽しみにしてます。
でもやっぱり料理には基本がありますし、「昔のあの味」ってのは誰でも持っていますから、それから逸脱した「創作料理」は私はあまり好きではありません。これは基本的なものに飽きた人たちの料理じゃないかと私は思うぐらいで、まともなものが少ないゴールドコーストに長くいますと、新しい物より「普通のものを普通に食べたい」という思いが強いです。
また外人にとっては「懐かしい味」とか「本来の味」なんて関係ないですから、手の込んだ変わった料理が受けるのでしょうし、それに洋食なり中華なりのエッセンスが入っていると受けるんでしょう。
そういう意味で世界で流行っている和食店、それは「Nobu」であったりゴールドコーストやKLの「天」では「美味しいけれど・・・」という感じしかしません。私としては「そんなにいじくり回さずに素朴なところで勝負してくれ」って思うわけで、でも海外ではまともな食材が入りませんからどうしても「素材で勝負」は難しいわけで「いかに手をかけるか」がポイントになるんでしょう。
でもたいしたものじゃないのに手を掛けてもしょうがないんじゃね?なんて私は思うわけで、海外での創作料理を主体とした和食店では正直な所「高いだけ」という感じしか受けません。
でも日本では事情が違っていて、良い物を使うのは当たり前で、それをまたいかに手を掛けるか(あるいは掛けないか)が勝負どころなんでしょうね。しかし残念ながら私はそういう店で素材も腕も凄いって料理は食べたことがありません。でもかと言って海外の和食店の素晴らしい店構えや雰囲気、いじくり回した創作料理という名前の和食を食べて嬉しいとは思わないのです。
先日、シドニーの息子が一泊ニ泊で突然遊びに来て、そしてゴールドコーストでは一番の高級店と言われる「天」で一人240ドルのコースをおごってくれました。次男坊には有難うと心の底から思いますし、私はいまだかつて4人家族で10万円以上の食事なんかしたことがありませんから、家長として親として男として次男坊に対して恥ずかしさ、申し訳無さもあるのですが、家族にそんな食事をおごれるようになった次男坊が眩しく見えました。
でも天で何を食べてそれがどうだったのか。いつも食事をするとああじゃこうじゃと写真を載せて細かく書く私ですが、天での食事をなぜかブログに書こうとは思わないのです。これが自分でも不思議で、確かに高級で、美味しくて、店の雰囲気も良いし、スタッフも文句無しなのですが、「何かが違う」という感じがしてしかたがないのです。高級店で食事をすればそれなりの嬉しさはありますが、それって「食べ物で満足した喜び」とはちょっと違うんですね。
私はそういうことよりもラブラドールにある「大樹(Daiki Japanese Restaurant)」で食べる鍋ものや鴨ロースに「職人のプライド」を感じますし、またそれを前面に出しているわけでもなくアタリマエのこととしてやっているところに感激をします。もちろん天がそういう手をかけていないってことではなくて、それ以上に手をかけたことが高価格に繋がるというのが私は好きではないのです。
天が悪いというのではなくて、私とは合わない。それだけのことです。また美味しいものばかり食べる人はゴールドコーストでは気が狂うはずで(笑)、天でも行って「何か良い物入った?」なんて聞きながら食べるしかないってことなんですね。私は、私の家族はそういうレベルには遠く達していないわけで、まずは「普通のものを普通に美味しく食べたい」これが基本です。
当然家で食べる食事も同じで、カレーならカレーにしても、うめ~~~~~って思えるカレーにしたい。何も高級食材を使ってとんでもないものを作って食べたいわけでもない。で、やっぱり洋食にしても出汁が大事だし、玉ねぎをしっかり炒めるとか、ミレポアや肉を焼くとか、ちゃんとやるべきお約束は守らないと駄目だということに気がついたという長い話。(笑)
そんなこんなで骨とかスープ用に使う肉が欲しいと思うのですが、こういうのって今まで真剣に探したことなんか無いわけですよ。でもより良いものを作りたいと思って探すと意外や意外、売ってないんですね。
骨もそうで、いつも売っていると思っていたのが、注意してみてみると売っていないほうが多いんですよ。肉屋の超大きな所とか専門店がありますから、そういうところへ行けば良いのですが、なぜスーパーで売ってないの?って不思議感じる今日このごろ。
数日前もちゃんとしたスープを取りたいと思って骨だけ買いに行ったんですよ。それ以外の食材は冷蔵庫に寝ているものだけでシチューを作ろうと。
でもようやく見つけたのがこの骨だけ。
骨にクズみたいな肉がへばりついているのが1キロ7ドルですと。これで1キロちょっとですが、これだけじゃ大した量のスープは作れないんですね。
骨って結構高い。スープも良いスープを作るとなると金が掛かるんだ・・なんて思いつつ、鶏と合わせても良いと思ってスープ用に手羽を買うことにしました。
これで1キロちょっとですが、1キロ3ドル99かな。上の牛の骨より安い。ほぼ半額。(笑)
この両方を使い、良い味のそしてゼラチンたっぷりの良いスープが取れましたが、なかなかスープ用の良い素材が見つかりません。大きな工場を持つ大きな肉問屋があるのですが、小売店も併設しているのでそういうところへ行くしか無いかと思ったり。
でも鶏の手羽ってどうしてこんなに安いんでしょうか。牛の骨よりずーっと安い鳥の手羽。手羽が可哀想に思えてきます。(笑)
ついでと言ってはなんですが、スープを取るということに集中して勉強し、実験をしていてわかったことですが、やっぱりボコボコ煮立てたらアウトだってことは間違いが無さそう(料理によって違うけど)。私は残念ながらベロの性能が良くないので、コトコトと煮込んだスープとボコボコ煮立てたもの、あるいは高温で(圧力鍋)取ったスープの味の違いを説明することができません。見た目は違いますから比較的簡単にわかりますが、味の違いを説明しようがない。94度を超えると雑味が出るのは昆布や鰹節と骨も同じようですが、ではこれが「雑味」だというのがわかりません。せいぜい、何となく違うなぁ・・・程度。(笑)
でもそのスープを素材としてまたいろいろ入れて煮込んで行きますと、また味が変わるんですね。この時の温度、時間の掛け方も簡単ではないと思いました。ただやっぱり圧力鍋は一番簡単だけれど美味しくないと感じます。コトコト煮続けるのは大変ですが、スロークッカーを使えば簡単に素人でも作れるのが凄いと思います。
また肉と野菜を煮こむにしても、それぞれの調度良い時間って違うんですね。ですから最近は両方共ある程度調理してから合わすようになりました。あああ、だから炊合せって別々に炊くんだ・・・なんてのが理解できるようになりました。
それと重要なのが洋食の場合、結構スパイスを入れますが、このタイミングが非常に難しいことがわかりました。最初からスパイスを入れて圧力鍋に掛けようものなら簡単に風味は飛んでしまいますし、かと言って出来上がり直前だと一体感のようなものがない感じがします。たとえば6時間煮こむとするならば、スパイスを入れるのは4時間経ってからだとか。でも突き詰めるとスパイスによって早く風味が飛ぶもの、残るものがありますし、本当に恐ろしいと思うくらい奥が深い世界だと思います。
「風味」と簡単に言いますが、「味」は水分に溶け、「香り」は揮発性で油に溶ける。プロはこれを考えた上で最終的な風味の構築をしているなんて、嘘だろ?って思うくらい。(笑)
この辺の違いをプロがどう言葉で表現するのか私にはわかりませんし、どうあるべきなのかも難しいと思いますが、一日たったカレーやシチューが美味しいのはわかりますが、味が混然としてしまうのは一体感とはちがうもののような気がしています。つまり、一体感は大事でも煮過ぎたオデンみたいに何を食べても同じ味じゃ駄目ですよね。でもプロはその辺を考えて調度良いところで仕上げるわけで、スープにしても「味のレイヤー」が大事だというシェフの動画を見て、こういう人に是非料理を習ってみたいと思いました。
「味のレイヤー」というのは意味としてはわかります。でも「これがベスト」で「これじゃ駄目」というのをサンプルで味見しながら、どう作るとこうなるって教えて方をしてくれないかぎり素人にはわかりようがないですよね。
でも大事のはまず自分にその違いがわかるかどうかってことで、きっと私にはわからないだろうと思っています。「これがベストだ」と言われればそんな気もするし、「これじゃ駄目」と言われても、ああ、そんなもんですかと思うだけかも。(笑)
ま、上を見ても切りがありませんし、実際に良いものだろうが悪いものだろうが、自分が美味しいと思えばそれで良いわけで、やっぱり「こんな美味しいものがこの世にあるのか・・・」ってそんな経験をたまにはしたいと思っています。と同時に、それを作るプロの腕、何をどうするとこの違いが出るのかというポイントも理解できるようになりたいのです。作る方も偶然、食べる方も偶然、「美味しい」っていうんじゃあまりにも悲しすぎます。(今知りたいのは海南チキンの作り方のポイント。簡単そうでメチャクチャ難しい)
どちらにしても骨や肉からスープを取ったら間違いなく美味しいとは思うけれど、それを使えばどうにかなるわけでもなくて、自分の調理技術としてはまだまだ山の麓に立ったばかりで山の頂上ははるか遠く空の上・・・。orz
ところで、スープ、出汁に拘る料理ってどこの料理か?
日本がその内のひとつであるのはわかりますが、外国ではどこだと思います?私はやっぱりフレンチだろうと思っていたのですが、動画で見る料理学校だとかプロが教える料理を見ていても、結構雑だなと感じるんです(他の国の料理はもっと雑)。日本の昆布や鰹出汁みたいに、この温度で、この瞬間に取り出せみたいなものを感じません。ところがですね、ついこの2,3日。これって凄くね?と思う国の料理を見つけました。
な、な、なんと、ベトナム料理。
彼らのスープに対する執念、面倒の見方、拘りって和食のそれに近いものがあると感じました。宗主国だったフランスの影響かと思いましたが、どうも調べていくとそうでもないあの国の食文化がスープにあるような気がします。ここまで細かいことに拘る?みたいなものを感じました。ただ、この料理にウルサイ料理人の動画ってのはどこの国、どの料理でもありますが、意外に、どの国とは言いませんが(笑)、理にかなっていないことを伝統としてやるだけの料理もあると思うことが多い。やっていることが大雑把だったり、私みたいな素人でも違うんじゃね?みたいに思うことがあるのですが、でもベトナム料理はそうじゃない。スープ、出汁を知り尽くしているというところでは和食と同じだと思います。(日本のクックパッドなどに出ているフォーは全くの別物)
私が次にやりたい実験はちゃんとしたコンソメスープ作りに挑戦かな。ベトナムのフォー(Pho 発音はファーに近い)も作ってみたいのですが、必要な素材が簡単に集まるのかどうかわからず。美味しい店があるならそこで食べれば良いわけですが、私はフォーのあの米の麺が好きじゃないんですよ。きっと合わないかとは思うのですが、私の好きな生麺(ゴーゴーマートで売っている生の中華麺)を使って是非食べてみたいのです。あるいはウドンとかキシメン(笑)。またフォーのトッピングはいろいろでどうも基本は「牛の生肉」らしいのですが、その辺も日本流にいろいろやってみたい。シャブシャブとフォーの合体とか。胡麻ダレとかポン酢とは違う何か新たな発見がありそ。(笑)