さてさて、日本円は暴騰しましたが今後はどうなるんでしょうかね。
ここで「為替の行方を大胆予測」なんて表題にしてみましたが、その手のことは私は一度も書いたことがありません。私には全くそんなことはわかりませんから。(笑)
でもなんでこれを書こうと思ったかというと、海外在住組の中でこういうことを「言うのが好きな人」がいるのがチラホラ聞こえてくるからです。
こういう話って酒を飲みながらの雑談、あるいは頭の体操としては面白いのは間違いがありませんが、「絶対に将来はわからない」んですね。ってこのブログの常連さんなら「そんなことはわかってる」と思う人が大多数でしょうが、今までこのブログでも多くの方とコメントやメールのやり取りをしている中で、本当に「真面目な人」っているのがわかるんですよ。プロとか専門家に「聞けば分かる」と思っているような人。あるいは「良いチャートを手にしたら勝てる」と思うような人。これって全くの同類なんですね。
純粋無垢で為替も相場も一切タッチしたことがなくて、海外に出るようになってはじめて為替が気になるようになって、「誰かに教えてもらいたい」って思うんでしょう。でもわけのわからない人に聞いても仕方がないから、海外に長く住んでいて為替のことも知っているであろう「有名な人」に相談するんですね。
そういう人は海外生活のイロハから、地元の情報も教えるし、お金の運用に関しても年季が入っているから投資はどうするべきか、不動産を買うにはどこのどんなものを買えば良いとか、まぁ、自信たっぷりに言うしその人はそうやって生きているのだから「真似すれば大丈夫」って思うのかもしれない。
でもお金のこと、投資のことに関して「将来のことは絶対に誰にもわからない」ってことだけは忘れてはならないと思うんですよ。
為替もそうで、私は20代の頃から貿易関係をやっていましたし、私の父も小さな弱電関係の輸出をやっていまして、為替に関しては本当に翻弄されるような人生を送ってきました。おまけに株じゃの先物じゃのやってきましたから(笑)、まぁ、この世界の「予想をする人たち」がいかに間違えるかってのは何度も経験してきました。もちろん自分も含めてです。
世界中の大手企業も同じで、天才と言われるような人たちが集まってああじゃこうじゃと議論を重ねても難しくて年間に何百億も損する会社はいくらでもあるのに、なんでそこらの人が「これからは円安です」とか、「日本経済は凋落します」とかいう言葉を真に受けるんですかね。
注意しないとならないのは「教えてもらう関係」がある人が、お金や投資の話をしだした時に、「その話は結構です」って言えないのかもしれない。人間って不思議なもので、たしかにいろいろ詳しい人がいて、その人に聞けば分かることがたくさんあったとする。するとその人が言う「投資」や「為替の動き」も正しいような気がしてくるんですよね。
「あの人はこうやっているらしいから、自分もそうやってみよう」なんて考えてしまう隙があるんでしょう。
為替は本当に影響が大きくて、数%の金利なんか簡単に飛んでしまいますから気になるのは当たり前。誰でも将来のことを知りたい。でも絶対にわからないんですね。
いや、しっかり当てる人も間違いなくいます。でも為替も上がるか下がるかしかありませんから、確率で言えば50%なんですね。世の中には「予想をする人」は山のようにいますから、必ず誰かは当たるわけです。そして当て続けていると言う人も少なからずいる。だから困るんですね。どうしてもその人の言うことに引っ張られてしまう。
どうも巷では「円を持っていないほうが良い」「米ドルに徐々に変えていくほうが良いでしょう」とかアドバイスする人もいるらしい。それもそれなりに一目置かれている人がそれを言う。
困りましたねぇ。下手に経済とか国際関係とか勉強している人がそれを言うと、なんとなくそんな気がしてくるんですね。
でもその人のいうことが正解かもしれない。しかし為替も株もなんでも相場物ってのは生き物で常に動くんですね。だから短期的に見てそれが正しくても、さて半年後は?来年は?となるとそれは「神のみぞ知る領域」と言って良いはず。
これからは円安だと信じている人が多いみたいですが、こんな人の話を紹介しましょう。結構当てると言われている人がこんなことを言い出しています。
「1ドル65円になる」伝説のディーラーが断言」
「1ドル65円になる」伝説のディーラーが断言 | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
どうします?困りますよねぇ。円で持っていても金利はゼロと同じだし。(笑)
ま、私にしてみるとこの人も「自己陶酔型」かもしれないなんて思うわけで、でも本人は間違いないと信じているし、それの根拠となることをいくらでも羅列できるでしょう。でもそれって反対の意見をいう人も同じなんですね。
そもそも為替も株もなぜ相場が成り立つのか考えてください。売手と買手と同数存在するから値が付くんじゃないですか?もちろん数量の話です。
もし皆が上がると思っているなら売る人はいなくて大暴騰するし、逆なら大暴落。値がつかないなんてことも起きて良いはずなのに毎日毎日値が付くってことは、上がると思う人と下がると思う人が(数量で)同数いるってことなんですね。ただ若干の違いがあるから毎日上がったり下がったりする。
ま、上がると信じている人は「売る奴は馬鹿だ」「何もわかっていない」なんて思うんでしょうが、売り手も同じことを考えているってことを忘れちゃならないと思うんですよ。それも素人じゃなくてプロです。双方とも。
私が釣りのようなこの表題で、「為替がどう動くんだろう」なんて私の読みを期待してここを見に来た人は、そういうことを考えている自分って「何か勘違いしている」ことに気がつくべきだと思うんです。
でも世の中の人たちの多くは「予想している」と思うでしょう。そりゃ当たり前なんですね。貿易をやっていれば3ヶ月後なり半年後がどうなっているか「仮定」をしないかぎり、売買契約も結べませんから。投資も出来ない。何も出来ないんですね。だから様々な評論家、コンサルタント、学者も出てきてああじゃこうじゃという。
でも個人って「為替の予想、仮定をしないと生活できない」ってことは無いんじゃないですかね。それなのに実業で苦労している人たちとどうして一緒になって悩む必要があるのか。
でも一緒に考えたい、悩みたいって人がいるのもわかります。大きなお金を動かそうとしている人なら尚更。
でもそうだとしたら、「予想」とか「仮定」とは別に、「リスクヘッジの方法」を学ばないと全く意味が無いんじゃないですかね。大企業も機関投資家も「予想」をしながら「仮定」をして、そして動きを見ながら「ヘッジ」をどんどんしていくわけですよ。これって車の両輪なわけで、これからは円安だ円高だと、丁半博打みたいに投資をして「さぁ、どうなりますか」なんて見ていることは絶対に無いんですね。
個人投資家も為替じゃ株式じゃと悩むなら、ヘッジも同時に学びそれを対にしてやっていかないと「全く駄目」じゃないですかね。
もし貴方の身近に「今後は円安(円高)です」とか「資産を円で持たずにリンギットと米ドルに重きを置きましょう」とかいう人がいたとしたら、是非これを聞くようにしたら良いと思います。
◯ 円安(円高)は期間的にどの程度続くのか。
◯ 反転時期はどう見るのか。
◯ その時にはどう投資方法、対象を変えていくのか。
◯ もし予想が間違えたとしたら、何を基準にして間違えたとするべきか。
◯ 間違えたとしたら、どうするべきか。
どうせ聞くならここまで聞くべきじゃないでしょうか。またアドバイスをするとしたら、ここまで言わなければただの「寝言」と同じじゃないですかね。これは為替だけじゃなくて、不動産でも株式でも債権でも全て同じ。
またアドバイスをするとしたら、これから上がるか下がるかみたいな子供だましみたいな話ではなくて、「上がると予想した場合はこういうヘッジ、下がると予想するならこういうヘッジ」というアドバイスが本来のアドバイスじゃないんですかね。
一番駄目なのは、言いたいことを言って最後に「投資は自己責任で・・」というオマケをいう人。私はこういう言い方って最悪だと思うんですよ。上がるの下がるの言うのなら、上の項目のことまで言うべきで、どういう時にはどうしたら良いのかのアドバイスも責任をもってやるべきじゃないんですかね。最終的な損得の責任は取れないにしてもですよ、産んだ子供の面倒も見ないで勝手に育てというのと同じじゃないですか。あまりにも無責任だと私は思うわけです。
また上の項目に関して自分がどう考えているかも合わせて自己診断するべきだと思うんです。もしそれが出来ないのであれば、「自分は寝ぼけている」のか「遊んでいるだけ」と思うべきだと思います。
これからは上がるのか下がるのか、経済はどう動くのか、世界は?なんてプロと一緒に悩んでいると、なんだか自分もイッパシの投資家になったような気がするのはわかるし、結構面白いんですよね。考えるだけでも満足感がある。
でもそれこそが「落とし穴」だというのに気がつくのにはそれなりの経験が必要なんですね。そして結局、
「どう考えてもわからない、ということがわかった」
という結論になるんじゃないんでしょうか。そしてここが本当の「出発点」なんですね。
わからないものをわかるようにしようといくら努力しても駄目なんですね。わからないものはどうやってもわからない。ではどうするか。それは上にも書いたように、「仮定(予想)」をして投資をするなら、上に書いた項目をクリアする、ってことだと思います。特に大事なのが最後の「間違えたとしたらどうするか、どうするべきか」であって、まさにそれが「リスクヘッジ」に繋がるわけです。
個人の場合は普通はそこまでしないんですね。「当たった」か「外れた」かの2つに1つでしかなくて、最後は「諦める」となるのが普通でしょ。そして世の中には「投資で儲けた人より損する人の数のほうが遥かに多い」ことがわかるはず。相場に限らずです。
「どこかに当たる人がいるかもしれない」なんて希望は捨てるべきだし、「チャートの勉強をすればわかるかもしれない」、なんて馬鹿げた夢も捨てるべきだと思います。
将来のことは神の領域だと決めてしまうほうが良いと思います。その方が「ではどうするべきか」が見えてくるんじゃないでしょうか。
特にジジババの場合は「何もしないのも賢い選択」だというのを忘れてはならないと思います。そしてなおかつ「どうしても収入増が必要だと」考えているとしたら、余計、何もしないのが賢いのが現実ではないでしょうか。「収入の変化に合わせて生活を変える」のが古今東西、ジジババの老後の平穏を得るための「鉄則」だと私は思っています。
でも私はそれが嫌で死ぬまでガンガン攻めていくつもりですが。どなたかご一緒します?(笑)