40時間の低温調理をして「安いブリスケット(肩バラ)のローストビーフ」を作った。前回のリベンジ。【低温調理】

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前回、ローストビーフ向きではない「ブリスケット」を使ってローストビーフを作ったのを書きました。見た目も味も良かったのですが、硬い。やっぱりローストビーフ向けじゃないですね。(その時の日記はこれ)

その時のはこんな感じ。良さげでしょ?でも硬い。

そもそもローストビーフ向きではないのに普通のローストビーフと同じように調理するってのに問題があるわけで、このブリスケットってローストするにしても煮込むにしても「長時間」時間をかけるのが普通。

前回は59度で3時間でしたが、今回はなんと40時間にしました。温度は同じ。焼き過ぎのローストビーフは食べたくありませんから。(温度が高ければ3時間もあれば十分)

今回のはこれ。

結論から言うと、柔らかくて美味しかったです。前回は硬いと文句タラタラのヨメさんでしたが、今回は柔らかくて美味しいと。でも私が思うに肉質がいかにも長時間調理しましたという肉質。ステーキとローストの食感の違いって同じ肉でも出てきますが、その違いがはっきり目立つ感じとでも言いましょうか。柔らかいにしてもいろいろな柔らかさがあるのね。今一度、写真を見比べてみてください。今回のはちょっと「ハム」みたいに見えませんか?食感ももまさにその通りで、柔らかいのだけれどハムっぽい感じがします。ステーキの柔らかさってこういう柔らかさじゃないわけですが、ローストみたいに時間を掛けるとやっぱり肉質がステーキみたいな短時間で焼くものとは違うのね。

ただ今回の肉は前回の肉とは違う肉です。前回はジャヤグローサーのブリスケットでキロ単価は55リンギ。今回のはB.I.G.で恐ろしく大きな塊から切ってもらったものですが、キロ単価は75リンギ。今回のほうが高いですが、肉質としてはジャヤグローサーのほうが良いと思います。そもそも肉の値段が一般的にジャヤグローサーのほうが安いのね。だから価格だけで比べて、「高いほうが良い肉」ということはない。

大きな大きな塊のほんの端っこを切ってもらいましたが、1.6キロもある。大食いの我が家でもこれじゃ大きすぎ。

でも脂身の部分も多く、それはジャヤグローサーの肉と比べてもそうで、かなり割高ですね。

でもねぇ、今回は脂身を落とさずに調理しようと思いました。

なんせこのブリスケットって肩バラとはいいながら、バラ肉とは違って赤味がかなり硬いわけですよ。そしてサシも入っていない。だから食べる時にうまい具合に脂身と一緒に食べないと美味しくないはずなんですね。それでも脂身が多いと思いましたが、調理前に捨てるのか、食べる時に捨てるのかの違いがあるだけで、「食べる時に調節すれば良い」と思ったわけです。

横から見てもこんなに脂身がある。

でも全体がそうかというとそうでもない。こういうのって食べる時に切り分けるのが難しくなりますが、しょうがない。

しかし量が多すぎますし、また「ブリスケット=硬い」と決めつけるのではなくて、その肉その肉違いますから、ちょっと味見をしてみることにしました。

切る場所でこれだけ脂身の量が変わってしまう。

これを塩コショウして焼いてみました。強火で周りをさっと焼くだけです。

硬いことは硬いですが、もしかしたら前回の肉よりはやわらかいかもしれないと思いました。

もし肉の塊を「薄く切るスキル」があれば、この肉でも薄く切って、漬けダレに漬け込めば、美味しい焼肉として食べられると思います。実は私達がゴールドコーストに上陸したての頃って、リブアイでも脂身が殆ど無いような肉ばかりで、焼肉屋でも同じ。だから脂身と赤身をうまい具合に混ぜて、「口に入れば美味しいカルビ」みたいになるようにしていたんですね(笑)。でも上品な焼肉屋みたいに「薄く四角に切った肉をお皿に並べて出す」ことはできない。形も悪いし脂身と赤味を混ぜてありますから。でも漬け込んだ肉をまとめてこんもり盛ってだすとインチキだってのが目立たない。我々もそんなことは承知のうえで食べていました。だってサシがきれいに入った肉なんてないんですからしょうがない。(後にサシがある肉や、美味しいWagyuも市場に出回るようになった)

余談ですが、昔、日本人に「オージービーフっていまいち美味しくない」と聞くとかなりがっかりしたんですよ。当時も今も、「日本向けには日本人向けに育てた牛」を送るわけですよ。穀物も食べさせて肉質も柔らかく、サシが入っている牛肉を生産していた。でもそれって日本向けで、オーストラリアの一般市場には出なかったんですよ。つまり、日本人が言う「美味しくない牛肉」でさえ私達は食べることは出来ず、日本人なら腰を抜かす様な赤身ばっかりで美味しくない牛肉を食べていたってこと(オーストラリア人の多くは異常なくらい健康志向)。「俺達もオージービーフを食べてみたいね~」なんて冗談を言っていました。でもそのことは今だから言えることで、当時は(日本の)日本人には黙っていました。困るのが日本から来た友人が「本場の牛肉を食べてみたい」っていうことでした。しょうがないので、味じゃなくて「量でごまかす」ことをやったり(女性でもオーストラリア人は4-500グラム食べる人はいくらでもいるので日本人がびっくりするようなステーキハウスがあちこちにある)、いろいろ言い訳を考えて「海産物中心(ほとんど中華)」の食事にしていました(ゴールドコーストのあるクイーンズランド州海産物が有名)。(笑)

そんな経験がありましたので、今回のような肉でも「食べ方」で美味しい焼き肉として食べられると思いました。でも今回はローストビーフ。

そんなことを考えながら、あちこちの角を切って、ここはどうかな?なんて味見を数回。結局250グラムぐらい食べちゃった。(笑)

でも肉の塊はちょうどよい大きさになったのでOK。(笑)

それにしっかり塩コショウ+ニンニクパウダーを塗りつけて・・・。

低温調理で「59度で40時間」。

面倒だと思うかもしれませんが、鍋にお湯をはって、低温調理器を取り付け、「真空パックした」素材を放り込めばあとは「放置」ですから、面倒なことは一切ありません。ただお湯が蒸発すると継ぎ足さないとなりませんので、ホイルでカバーをするだけ。

40時間後に楽しみに取り出して見ましたが、イヤにドリップが多いと思いました。そもそも59度というのもちょっと高めの温度なんですね。それも長時間ですからドリップがこれだけ出たのだと思います。低温調理で牛肉を調理する場合、58度という温度が非常に大事になります。この辺の温度で「牛肉の変性が始まる」のね。肉は固くなり、水分を出すようになる。だから58度以下に拘る人が多いし、ミディアムレアってのがまさにその温度なのね。だから55-56度の場合はドリップが多く出ることはありません。

しかしいつ見ても、低温調理後は不味そうに見えます。(笑)

これの水分を綺麗に拭き取って、また必要な塩コショウ、ハーブ、スパイスを塗って、バーナーで焼きます。ドリップは捨てずに取っておいて、これをベースにソースを作ります。息子は「美味しい醤油」とワサビで食べてみると張り切っていました。

そして出来上がり。

しかし切り方に困りました。本当は包丁を入れたい方向(肉の繊維に逆らうように)があるんですが、そちらの側のほうが長くて切りづらい。

ということで適当に切ることに。

前回のように「赤い色味」は殆ど無いですが、柔らかくてジューシーなのがわかります。でも脂身が凄い。でも切っていくと、脂身は少なくなってきました。だからやっぱり脂身は最初に捨てずに、食べる時に調節するのが良いと思ったのは大正解。

これを見ると脂身が多いような感じはしません。

でもこういう脂身が多い部分もある。

ヨメさんが「今回のは柔らかいし美味しい」と言いましたが(なぜか、それに「ありがとう」というおまけがついた。なんだ?)、息子はなんだかブツブツ言い続けています。

「脂身も豚の角煮の脂みたいに柔らかくて美味しいだろう?」と言ったのですが、

「俺の肉は脂身だらけだ」ですと。

まぁ、そんなこともあら~な、ということで「安い肉を美味しく食べる調理実験」は無事終了。(笑)

--------- おまけ -----------

コメントに「重曹を使うと柔らかくなる」というコメントを頂いたのでちょっとおまけ。

私もかつて重曹をつかっていろいろやっていたのは読者はご存知だと思いますが、低温調理オタクとしてそれは「反則」なんですよ。ミートテンダライザーとかパイナップル、パパイヤ、キーウィの酵素を使う(缶詰では駄目)も溶けるようなほどに柔らかくなりますが、私はそれを基本的にはやりません。というかやりたくないのです。低温調理へのこだわりの意味が半減しちゃいますし。(笑)

でも物理的に叩いたり、ブスブス穴を開けたりってのは一応「反則ではない」と考えていて、でもそれは「ローストビーフのような塊肉には使わない」です。効き目があるとは思えませんから。

我が家で結構使うのはこれ。

ジャカードミートテンダライザー。トンカツには必需品。鶏肉に使うこともあります。

でもゴールドコースト時代に「スーパーで売っている【ローストビーフ用のブロック】」を結構使いましたが、それらの殆どは「注入肉」なんですね。ブライン液を注入してある。塩だけでも柔らかくなりますが、何を使っているか調べるとそれはそれはいろんな添加物が入っているのね。当然、柔らかくするための添加剤も入っている。

これって普通にローストしたら固くて食べられないような肉なのは間違いがなくて、でもその肉なら普通にローストしても柔らかく食べられる。でも肉の色が不自然だったりする。

柔らかくなればそれで良いというのなら重曹を使うのが一番手っ取り早いと思いますし、豚の角煮もトロトロのができますが、重曹は苦味もあるしいかに中和するか、ごまかすかも考えないとならないんですね。でも私としては「柔らかくするための低温調理ではない」ですから、それはパスです。

ただし、よく中華料理で「なんでこんなに柔らかいんだ?」なんて思う牛肉がでることがありますが、中華では当たり前に使うんですね。豚肉も同様で、一般家庭でも普通に使うのはユーチューブのレシピを見ていてもわかります。だからそれこそ安いモモ肉のスライスで野菜炒めを作るとか、そういう時には私も使うかもしれない。味も濃い目にしたら結構美味しいと思いますし。

でもローストビーフに重曹を使うというのは私は聞いたことがないし、そういうユーチューブの動画もみたことがありません。でもブライン液につけるのではなくて「注入」するなら使う手もあると思います。一度やってみますかね?それ用のぶっとい注射器も買ってありますし。(笑)

重曹絡みでおまけ。

中華料理で「このエビ、プリップリで美味しい~~」なんて思うことがありますが、中華ではエビの下処理に重曹を当たり前に使うみたいなのね。それをするとプリップリになる。私も安いエビを使う時には重曹を使うことがありますが、これってエビフライや天ぷらでも同じにプリップリになりますから。内緒でそれを使うと「良いエビを見つけてきたね~~~」なんて家族に言われること間違いなし。(笑)

 
 
 

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