マレーシアでは主にDoryと呼ばれる魚ですが、要は「ナマズ」。
これって「美味しい~~~♫」って魚じゃないですが、淡白な白身で(さほど)癖はなくてそして安いですから、我が家ではゴールドコースト時代に結構食べていました。フィッシュアンドチップスのお店でもこの魚は安い部類(もっと安いのがニュージーランド産のHokiでこれはマレーシアでも売っている)。
えーー?そんな魚、知らないという日本人は多いと思いますが、日本でも定食やお弁当の「白身のフライ」でかなり使われているはず。生産地はベトナムが主で、世界中に輸出されている。
ただ呼び名としては一般的には「Basa」と呼ばれていて、Doryというと「マトウダイ」を意味するのが普通。正式には「John Dory」。確か以前、アメリカで「不当表示」で問題がおきたと聞いたことがあります。オーストラリアでも「Basa」と呼ばれていて学名は「Pangasius bocourti」。
マトウダイ(Dory)。これもニュージーランド産が切り身の冷凍でマレーシアで売られていますが、基本的には(見た目は別にして 笑)美味しい魚だと思います。
余談ですが、マレーシアでは様々な冷凍魚が売られていますが、酷いのは「White Fish」なんて書いてあるんですね。これって「白身」という意味でしょうが、これじゃ何の魚かわからない。外国人はこれで良いとしても、我ら日本人はこれじゃ納得しませんよね。また魚名が書いてあっても「Cod」なんてのもあって、これもあまりにも大雑把すぎる。かなり高い「銀鱈」もCodだし、わけのわからない安いCodもある。日本で言う「タイ」と同じで、「何ダイ?」というのがわからないと嫌ですよね。
でもマレーシアの場合、それがわからない。でも袋に入っている冷凍品だと、裏をよく読むと「学名」が書いてあるケースがあるんですよ。だから日本では学名なんて知る必要もないですが、マレーシアではちょっとそれを頭に入れておくと便利なんですね。Dory(Basa)の学名は「Pangasius bocourti」。この単語を覚えるのは難しいので、私は「ペガサス」に似た単語だと記憶しています。(笑)
で、このDoryですが、癖がないので、どんな料理にでも使えるんですね。ただ癖が全くないわけじゃなくて、この魚独特の味があって、鍋に使ったりするとちょっとがっかりしますが、焼いたり煮たり揚げたりしたら、また味噌味とか塩麹を使ったら「全く問題のない白身」だと思います。ゴールドコーストではこれをすり潰して「さつま揚げ」を作ったり。かなり使いみちがある。
だからマレーシアに来て、この魚を見つけた時には、こりゃいいなと思ったんですよ。
ところが~~~~~~~~~~~
マレーシアで売っているDory(Basa)ってゴールドコーストのそれとは全く違うんですよ。冷凍物を解凍するとベチャベチャであまりにも水っぽい。
そうかと思えば、ビレッジグローサーでは解凍したものをパックして売っていますが、これはその水分を抜きすぎてパサパサ。なんなんだこれ。
でもま、想像は付きますよね。どんな美味しい魚でもそれをどう冷凍・解凍するかでまるで変わってしまいますし、マレーシアにはランクが低いDory(Basa)が入っている、流通、店での取り扱い方がいい加減なんだろうと諦めていました。
でもどこかにまともなDoryがあるはずだといつも気にはしていたんですよ。
とうとう見つけました~~~。
Jaya Grocerです。モントキアラのVerveにあるJaya Grocerですが、どこの店にも置いてあるんじゃないですかね。
一枚しか入っていませんが、結構大きい。この大きさのDory(Basa)を見たのは初めてです。普通はちょっと小さめのフィレ3-4枚が1パックになっている。
値札のシールを見てみますが、キロ単価はRM12.90で間違いなく安い。重さは512グラムでRM6.60。180円ぐらいですが、二人分はありますからめちゃ安い。
そしてシールをよく見てください。(20% GLAZING)とかいてありますね。私はここにこの店の善意を感じました。このGlazingに関しては後で書きます。
出してみるとこんな感じ。冷蔵庫で自然解凍しましたが、そこそこ水は出ています。
でも魚そのものはベチャっとした感じは無い。いや、無いと言ったら嘘になりますが、今までマレーシアで買ったDory(Basa)に比べるとしっかりしていますし、水分を拭き取った後にベチャっとした感じはありません。点数でいうと、オーストラリアで売っているものが80点だとすると、これは60点ぐらい。スーパーでよく売っているものは30点って感じか。(最近、日本でもバサが売られているようですが、日本ではどんなレベルのBasaが売られているのか非常に興味があります。全くの別物の可能性もあるんじゃないですかね。今回見つけたものはそこそこ良いとしても、日本だったら誰も買わないかも)
これを切り分けて、塩コショウをして・・。
そしてフライにしてみました。ところが面倒で古い油をそのまま使ったので悲惨な出来上がりに・・。(T_T)
でもま、Dory(Basa)そのものは問題ないと思います。ソースはタルタルソースが良いと思ったのですが、作るのは面倒ですし、ちょっとハーブを効かせたマリナラソースが残っていましたので、それを掛けてイタリアン風。ところがですね、Dory(Basa)は味が薄いですから、「味のない白身のフライ」になってしまいました。この魚は美味しい~~~~ってほどじゃないにしても、やっぱり薄味のソースの方が日本人向きですねぇ。
このDory(Basa)なら今後も使いたいと思いました。よくスーパーで売っているものは3-4枚が1パックになっていて、氷が魚の周りにびっしり着いていて、なおかつパックは真空パックじゃありませんが、これは一応真空パックになっていました。
ヨメさんはここに五月蝿くて、「冷凍魚の場合、真空パックになっている魚」以外は絶対に買いません。日本ならまた違うのでしょうが、海外だと売っている状態ですでに「空気に触れて酸化」していることがあるんですね。また同じパックが並んでいても、空気が入っているもの、入っていないものがあることが多いですが、もし空気が入っているものを私が買ってくるとヨメさんは【必ず】文句を言います。「それしかなかったんだよ」と言っても文句を言う。(笑)
そういう意味でもこのDory(Basa)は合格。
でも解凍したら水が出たじゃないか、ってことですが、これが上に書いた(20% GLAZING)に関係があります。
Glazingって何かと言うと、「冷凍する時に、【水】を入れて素材が空気に触れないようにする」んですね。氷でバリアを作る。これをGlazingというわけですが、私は日本、オーストラリアにいる頃は全く知らず、マレーシアに来てからそういう冷凍方法があるのを知りました。特に日本人の場合は「ナマで食べる」ことも多く、「おろした切り身を水に浸す」なんてことは絶対にしませんよね。だから冷凍物でもピッタリと真空パックされているのが普通。
でも海外ですと、冷凍技術の問題もあるんじゃないですかね。マイナス何十度で瞬間冷凍なんてしないのかもしれないし、水に浸けた状態で冷凍すると「もちが良い」ということがあるんでしょう。でも日本人には馴染みがありませんよね。私が知っている限りでは「エビ」ぐらいですかね。水と一緒に冷凍したほうが良いってのは。
で、水を入れて冷凍する場合、どのくらいの水をいれてあるのかをパーセントで示しているわけです。20%は、素材の重さの20%に相当する水を冷凍時に使っているということ。これはいろいろあって、15%とか30%とかあるのは、マレーシアの冷凍魚事情を調べていて気が付きました。Dory(Basa)の場合でもこの%が違うものがある。
そしてこの水って、素材に足したものですから、この水の分のお金を払いたい消費者はいない。でも生産者としてはたくさん水を入れたほうがお金になる。
だから「まともな業者はこのGlazingの%を表示する」んですね。
Dory(Basa)のこのGlazing表示ですが、輸入商や卸商が取引する場合には「必ず表示される」のがわかりましたが、小売店でもこれを表示しているのは初めて見ました。
これだけのことでJaya Grocerの株は上がりました。さすがだと思いますわ。(笑)
つーか、それが欧米では当たり前みたいで、欧米人の客が多いJaya Grocerでは「なんだこの水っぽい魚は~~~!!」なんてクレームが来るのかもね。でも(20% GLAZING)とかの表示があれば、欧米人ならそれがどういう意味かすぐわかるんでしょう。
でもねぇ、ゴールドコースト時代に食べていたDory(Basa)もいろいろあって、スーパーでは冷凍ものを解凍したものが店頭に並んでいましたが、ベチョっとしたものって一度も経験がないんですよ。Glazing、つまり冷凍時に水を足している足していないというのもあるのかもしれないけれど、解凍後の身がちゃんとしてるのね。これはパックになっている冷凍物を買っても同じ。
だからやっぱりグレードってのがあって、マレーシアには安い物が入っているんだろうなと想像しています。ま、しょうがないですね。
ということで、Jaya GrocerのDory(Basa)はちょっと違うよ、という話し。
今度、さつま揚げでも作ってみるつもり。