遺言書あるいは信託を作らないとならないと思い、いろいろ調べていますが、先日、話を聞いてきた(遺言書作成サービスをする)RockwillsとCIMBと言っていることに微妙な差がありました。
今回、CIMBで聞いてきた一番重要な点は
ジョイント口座の片方が死んでも【口座はロックされない】
とのこと。
これってRockwillsの担当者が我々に言った
「ジョイント口座でも片方が死ぬと口座はロックされるけれど、銀行によっては【残された片方がお金を下ろせる】ような【契約】を結ぶことが可能かもしれない」
これでしょう。
CIMBではロックしないということでしたが、これはHSBCも同じでロックしないと言っています。
ではそれがすべての銀行で共通かというとそうではないようで、
Rockwillsでは「ロックしない【外国銀行】があるかもしれない」と言い方で、CIMBでは「外国人の口座はそうなっている」と言います。そしてHSBCでは「Survivor Clause」という契約があってそれを結べば「ロックしない」という言い方。(Survivor Clause)は直訳すれば「生存者条項」)
この三者の言い方が違うわけですが、言っていることはほぼ同じですね。
要はイスラムの法律に縛られない外国人の場合は「ロックされない」と考えることが出来る。ただそれが「自動」なのか「契約による」のかが銀行によって違う(担当者によっても言うことは違うかもしれない)。
ですから私達としては、その銀行に「Survivor Clause」という契約があるのかどうか、そして「自分の口座」でそれが生きているのかの確認が必要になってくる。契約が必要とあればそれにサインをしているかどうかが重要。
私も息子もMM2Hビザ取得のための定期を入れたのは共にHSBCですが、Survivor Clause なるものの説明を受けた記憶もないし、サインをした覚えもない。もしかしたら「口座開設時の契約書」にそれが書かれていたのかもしれませんが、それもわからずです。
またややこしいのは、私は「HSBC」ですが息子は「HSBC Amanah」なんですよ。Amanahってイスラミック銀行なわけですが、通常の取引では何ら違いもありませんが、このSurvivor Clause に違いがある可能性はある。
「外国人の口座はロックされない」とCIMBで言っていますが、「イスラム教徒の場合はロックされる」のは間違いがないようです。では「モスリムではないマレーシア人」はどうなるのかですが、関係ないので詳しく聞かなかったものの「中国系マレーシア人でご主人が亡くなって15年経つのに、その口座はそのまま奥さんが使っている」例があると言っていました。
また銀行口座を開くときに二種類あるのかもしれない。なぜなら「イスラム系のHSBC Amanah」で開いた息子の口座は、私の普通のHSBCと全く同じで、「モスリム向けの有利な利回りの定期」も作れませんから。そして遺言書作成サービスでも「Muslims and Non-Muslims」の二種類があるのは間違いがなくて、「区別がある」のは間違いがないんですね。
またCIMBでは「遺言書作成サービス」はしておらず、「Amanah Raya」の利用を勧めていました。Maybankには「遺言書作成サービス」がありますが「マレーシア人(モスリムという意味?)に限る」とのことで、我々は利用できない。HSBCにはその確認は取っていません。
CIMBの担当者(リレーションシップマネージャー)は裏話的な話で
○ 外国人の口座はロックしないのはどの銀行でも同じかもしれない
○ 銀行としては顧客の相続に関与したくないので、口座の残金を全部勝手に下ろしてくれたほうが銀行としては面倒がない
こんなことからも、「片方が死んだ場合、銀行に知らせる前に下ろせるものは下ろしてしまう」という巷のノウハウも、銀行としてはその方が嬉しいってことなのがわかる。
ただし、MM2H用の定期は観光省で手続きをしないと解約できないので、この手は使えない。MM2H用の定期ですが、「ビザ申請者」が死んだ場合は観光省の許可を取るのに遺言書が必要となりますが、「付帯者(伴侶や子供)」が死亡した場合は関係ない。
また我が家としては、ジョイント口座の二人は「行動をともにする」ことが多く、「自動車、航空機事故」などによって同時に死ぬ可能性がありますが、「二人共死んだ場合」は口座は間違えなくロックされ、やっぱり「遺言書がないとうまくない」のは同じ。また自動車や不動産があった場合は、銀行と同じく遺言書がないとかなりややこしくなる。
また一般的ではありませんが、ジョイント口座の人数は二人ですが、その口座の中の定期預金は3人でもOKですし(CIMBで作った)、口座にPower of Attorneyの設定も可能。Power of Attorneyってのはそのまま訳すと「委任状」ですが、この場合「代理人」と考えたほうがわかりやすい。このPower of Attorney(代理人)はお金の出し入れなどジョイント口座の持ち主と同じことが出来ますが、二人が死んだ場合は【効力を失う】とのこと。
ここに関して私は意義があって、海外の銀行によっては「口座の持ち主が死んでもPower of Attorneyがお金を動かせる」ところもあって(契約書に明記されている)、それをCIMBで言ったところ「二人共死んだ場合はPower of Attorneyの権利も消滅するのは世界的な標準だと【思う】」と言っていました(海外の銀行はそれは逆だと言っている)。ここのところは今後、OKだという銀行で再確認が必要。ただし、CIMBでは駄目ってことですが、CIMBの契約書にPower of Attorneyのことに書かれている部分をチェックする必要があります。
それと「遺言書か信託か」という点では、CIMBは遺言書をお勧めすると。
前にも書きましたが、そもそも信託というのは「死後、残された遺族に何年に渡ってどのようにお金を出していくか」というのが主であって、「死んだら全て遺産は子供に」という単純な動かし方の場合、信託である必要がないんですね。ただし、前に書いたように、信託のほうが「口座ロックを解除するのに掛かる時間が短い」となれば、私達は信託の方を選んだほうが良いことになります。
でもCIMBのその担当者は「信託って面倒くさい(関わりたくない)・・・・」という雰囲気をかなり強く醸し出していました。(笑)
口座がロックされた場合、裁判所から「その口座にアクセスできるような決定」を得る必要があるわけですが、それに掛かる日数は「6ヶ月ぐらい」とCIMBの担当者は言っていました。そしてその後、CIMBで手続きするわけですが、それに掛かる日数は「数日」で、1年以内には間違いなく完了すると。ただ、遺言書がない場合は18~24ヶ月掛かると。
今回CIMBでいろいろ聞いて、大体の様子はつかめましたが、これとて「その担当者がそう説明しただけ」であって、これを確定とは考えないようにしています。
大事なことは「契約書に何が書いてあるか」だけだと思うので、「ジョイント口座の片方が死んでも【口座はロックされない】」という、HSBCで言う「Survivor Clause 」の条項が口座開設時の契約書に書いてあったのか、書いてないとしたらその契約書は別にあるのか、そしてそれに銀行と我々の双方のサインがしてあるのかの確認をしない限り、「担当者の言うことをそのまま鵜呑みにしてはならない」と思っています。マレーシアあるあるの「担当者によって言うことが違う」のはもう十分経験させられましたし。
近々、HSBCでも同じことを聞いてみるつもり(「HSBC」と「HSBC Amanah」の違いもはっきりさせる)。また私達はMaybankにも口座があるので、そちらも聞いてみる予定。
MM2Hの申請代行サービスをやっているペナンのリカさんが、彼女のブログでも遺言書に関して書き始めたので、興味がある方はそちらも見てみてください。
遺言作成について私が思うこと。(ここをクリック)
私もRockwillsに行ってみた。生存者条項(Survivor Clause)について。(ここをクリック)
私もRockwillsに行ってみた(2) 遺言書と信託を比較してみる(1)(ここをクリック)
このシリーズは今後も続くようです。