中華の麺で「非常に細い麺」があるじゃないですか。スーパーでも売ってる。
茹で上がりは日本の素麺みたいに細いあれ。
私はどんな麺でも「極細」か「極幅広」が好きなんですが(パスタも同じ)、この「たまご麺」はどうも美味しく食べることが出来なかったんですよ。細いですからすぐやわらかくなってしまうし、コシのある麺が好きな私としてはどちらかというと敬遠してきた麺。でもあの細さはイタリアンパスタのエンジェルヘアに似ていて好きな方。
ある時、面白そうな「製麺所」を見つけました。
100%卵を使った麺(水は使わない)で、その卵もDuckの卵なんですと。店は歴史もあってそこそこ有名らしい。
面白そうだと思って通販で買ってみました。
そして驚いたのが、「茹で方」が書いてあるんですがその内容。
1 沸騰したお湯に、麺を解いて入れる。
2 浮いてきたら、5秒で取り出す。
3 すぐにアイスウォーターに入れて「火の入りを止める」。
4 それを再び沸騰したお湯に3-5秒浸けてお湯を切る。
5 アルデンテのたまご麺の出来上がり。
麺が細いですから、沸騰したお湯に入れるとすぐに浮かんでくるんですよ。そうしたら「5秒後には取り出せ」と。(*_*)
そしてそれを冷水で締めて火の入りを止めて、再び沸騰したお湯に3-5秒浸ければアルデンテの状態になると。
このやり方だと、すべての工程は1分以内に完了する。
皆さん、こういうのって知ってました?
私は自分で蕎麦や麺を打ちませんし、「生麺」の茹で方ってしらないのだけれど、90秒だとか2分だとかそういう世界なのは知っていました。
でもこういう麺もそれと同じだとは思わなかった。だからいつも茹ですぎ状態。(笑)
そこで思い出したのが、前にもブログで紹介しましたが、ワンタンも茹で上がったと思った頃に「冷水で締める」やり方を見たこと。そしてまたお湯にサッと浸けてから出すのね。
私は餃子が大好物ですが、それ以上に好きなのがワンタンなんです。
でもあんな単純な料理なのに、火の通し方が半端じゃなく難しいのね。ワンタンってあの「皮を食べる料理」だと思っているんですが、火を通しすぎればズブズブになっちゃうじゃないですか。皮も薄いですから、茹でる時間を短くしようと思うと「豚肉に火が通っていない不安」があるのね。
かといって「厚い皮」じゃワンタンは美味しくないし、冷水でワンタンを締めるのをユーチューブで見た時になるほどとは思ったものの、自分でやろうとは思わなかった。
でも今回は、(水を使わない)100%卵のたまご麺。それもその卵はDuckで美味しいとのことで、インストラクション通りにやっていました。
ついでにワンタンも作って、これもまた「出来上がったと思うギリギリのところ」で取り出して冷水につけて「皮はブヨブヨにならない、しかし火は完全に通っている」状態を目指しました。
それと昔から面白いと思っているのは、ワンタン麺というと香港スタイルですが、なぜか彼らのは「麺の下にワンタンがある」のね。そしてその上に麺を乗せる。しかもスープはジャブジャブじゃなくて「面が顔を出している程度のスープの量」。
なぜワンタンが下になるのか私には全く理解できませんが、スープの中で「伸びないように考えている」のは間違いがなさそう。
真似して作ったのはこれ。
麺はコシがあって美味しい~~~~。こんな細い麺なのに。
そしてワンタンの皮はブヨブヨしていない。\(^o^)/
でも実はこれは失敗なのが、食べ終わった時にわかりました。理由はもう少しあとに書きます。
ワンタンは「もし火が十分入っていないと怖い」ので、火がすぐに通るように餡は少なめにしました。そして皮を楽しめるように包み方は「二つ折り」にしただけ。これで美味しいヒラヒラが食べられる。(笑)
でも思い出してみると、昔の日本のワンタンってそんな感じで、包み方は二つ折りで、中の餡は申し訳程度に入っていただけだと思います。
本場中華のワンタンはいろいろな包み方があって、餡も多めでまとめるような包み方をするのが多いですが、私のように「ヒラヒラした皮を食べたい」場合は、日本風のワンタンのほうが美味しいと思うぐらい。もしかしたら日本のワンタンって、手抜きでああいうふうになったのではなくて、日本流の美味しさの追求をした結果、ああいうふうになったのかもしれないと思ったり。
香港のワンタン麺の有名店。
麺やワンタンを「冷水で冷やす」場面は動画の中にはありませんが、ワンタンが下で麺が上なのはこのお店も同じ。これってどういう理由なんでしょうか。
ワンタン麺って「量が少ない」理由もわかるようになりました。上の動画もそうですが、三口程度で食べられる量。時間にすれば2分ぐらいでしょうか。私が思うに、それ以上の時間が経つと「伸びてしまって美味しくない」からじゃないかと。だからこそワンタン麺には「ドライ」も存在するんじゃないですかね。
細麺がスープを吸って伸びる速さが半端じゃない。
今回、自分で作ってみたものは「量が多い」ので、食べ始めと最後とは「全く違うもの」になっていました。量が欲しければ「お代わりをする」んでしょうね。決していろいろ他の物を食べられるように「量が少ないのではない」んじゃないかと。
ワンタン麺はきっと「家で料理して、皆で食べる料理ではない」と思うようになりました。それでは「美味しい瞬間を逃す」わけで、やっぱりワンタン麺は外食で、「サッと出してもらって、サッと食べる料理」なんだろうと。
和食で言えば「天ぷら」みたいなもんで、家で家族で食べるからと「たくさん揚げて食べたら美味しくない」のと同じですよね。だから家で食べるとすれば焼き肉みたいに食卓で揚げるのが一番。あるいは「揚げる人」はキッチンで揚げ続けるか。うちのヨメさんは料理好きなのに天ぷらは作らないのはそれが理由かもしれない。
でもま、考えてみると「できたてをすぐ食べないと美味しくない料理」って山程ありますね。とはいうものの、ワンタン麺みたいに「5分経ったら美味しくない」レベルのものってそんなに多くはないかも。
ワンタン麺ほど単純な中華料理って無いんじゃないかと思うけれど、拘るとやっぱり奥が深いんじゃないですかね。
私はいろいろな料理を食べてみたいという願望より、古き良き時代から受け継がれている味を探訪したいという思いが強いです。
これは和食も同じで、あるいは日本的洋食、日本的中華もそうで、「昔、感動したあの美味しさと再び出会いたい」といつも思っています。
別に特別な料理であったり高価でも無ければなんでもなくて、昔大好きだった新橋の駅前にあった肉屋の「メンチカツ」とか、高校のクラブ活動の帰りに必ず食べた上石神井の普通のラーメン屋の「(カンスイが効いている)もやし餡掛けそば」の美味しさが忘れられないのです。昔、麻布十番にあった今はなき中華料理店の「五目餡掛けそば」が抜群に美味しくて、あれ以上のものをその後、食べたことがない。
そんな自分の原点を探すような「食の探訪」をしてみたい。
餃子もワンタンも、美味しさを追求するとあの昔に普通にどこにでもあった餃子やワンタンが美味しかったことを思い出すんです。日本では餃子の王将の餃子が美味しいと思いましたが、あれこそが「中国から入ってきた中華が日本で昇華した餃子」なのではないかと。ラーメン(支那そば)と同じで、本場を超えた良さがあるような気がしています。あれやこれやと手がかかっているわけじゃなくて「単純だけれど完成している」ような感じを受けるのです。
しかし若い頃、香港に初めて行った時には本当に驚いたもんです。聞いたことも見たこともない料理ばかりで本当に美味しいと思った。やっぱり「本場ものは美味しい」と思うようになって、中華に限らず洋食も「本場もの」を探し回るような青春時代を過ごしましたが、逆に海外生活が長くなると「日本流にアレンジしたもの」を思い出すのね。
ゴールドコースト時代もそうで、オーストラリアには中華料理も中華圏のあちこちから来ている人たちが「本場もの」を提供していて面白いのだけれど(シドニーやメルボルンの中華の種類ってマレーシアより多いかもしれない)、日本人がやっている中華料理屋ばかりに通うようになりましたっけ。
そして今、マレーシアに来た私の中にあるのは「日本の餃子やワンタン」はもとより「日本の肉まん」であり「日本のエビチリ」であり、そして「昔のカレー」や「メンチカツ」を食べたいとそんなことばかり考えています。(笑)
でも麻婆豆腐は日本のは本場ものを超えられていないと思う。かと思えば、フカヒレの姿煮は日本の方が美味しい店が多いと思ったり。
本場ものには興味がないのかというとそんなこともなくて、中華なら私はブキビンタンのJWマリオットホテルの中の「上海」なんて最高だと思う。でも敷居が高くて「思い立ったらいつでも行ける店」でもないわけで(笑)、ま、自分の中の「思い出探し」の方に興味があります。
たかがたまご麺。されどたまご麺。
ワンタンも同じく、美味しいものを作ろうと思うととんでもなく難しいのかもしれない。
香港式ワンタン麺のプロは一体何に気を使い、こだわっているのか、注意点は何なのか、そんな話をじっくり聞いてみたいなぁ。
私の実家は新橋の飲食店でしたが、小豆を煮てアンコを作るのに命を賭けていた。アンコって馬鹿にできなくて、小豆の種類、時期、季節によって煮方も変わるのね。
ま、何でも突き詰めれば同じだけれど、そういう「本物」に私は興味があって、未知の料理に関しては歳をとってからほとんど興味がなくなりましたわ。
今回はそこそこ食べ慣れていた「たまご麺」と大好きなワンタンに関して、一つ新たな道が開けたのがなんともいえなく嬉しい。(笑)