新MM2Hの発表で右往左往していますが、ちょっと状況が変わってきた。
多くの団体、個人が「再考を求む」と動き出しましたが、やっぱり決定的なのはジョホール州の王様の発言だと思います。
これはやっぱり内務省としても無視したり聞き流すことはできない。ましてや王様はジョホール州が新MM2Hによって経済的打撃を受けるとはっきり言っているし。
「これは非常に残念です。特にジョホールの私たちにとって、シンガポールとその人々との長い歴史があります。新しい要件により、彼らはジョホールへの投資から遠ざかります」
古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください 段々とあちこちから声が上がるようにな…
これに対して、内務省はすぐに反応し、内務大臣は「見直す」と発表。
PETALING JAYA: The government is prepared to re-examine the …
ま、これは一歩前進だとは思いますが、両手を揚げて喜ぶわけにはいかないと思っています。
私達は、「MM2Hホルダーが困っている」というのを前提に発言し行動しますが、これってマレーシアにしてみれば「大きな問題ではない」と私は思うんですよ。
前から「マレーシアに住まわせてもらっている私達は感謝しなければいけない」という多くの日本人に私は違和感を感じていたのは何度か書いています。だって、マレーシアは「温情」とか「我々の為にMM2Hを始めたのではない」のははっきりしているから。
お互いのギブアンドテイクの条件が合致しただけで、「マレーシアはマレーシアに利益があるから始めた」のに間違いはなくて、今の多くのニュースを見ても、【マレーシアの利益に焦点が当たっている】のがわかるはず。
また私はこのブログに何度も何度も書いていることですが、マレーシアほど「外国人を利用して儲ける」ことに関してうまい国は珍しいってこと。低賃金の外国人労働者、職能レベルが高い外国人の招聘、これでこの国が成り立っているんじゃない?それでいて、この国を愛し、住み続けたいと願っても、まず絶対と言ってよいほど「永住権は与えない」国。
ただ「その利益を得るためにはMM2Hホルダーに喜んでもらわなくてはならない」のは当たり前だけれど、【喜ばすためにやっているわけじゃない】のは明らか。
私はここに日本人の感覚とのズレを感じるんですよ。
特に私は商人の家に育ちましたから、「まずお客様に喜んでもらう」のが一番最初に考えるべきことで、「利益はあとから着いてくる」と考えるし、「売上が上がらない、利益が上がらないのは【客が喜んでいない】から」だと考える。
だから日本人的感覚では利益が上がらないからと言って、値上げをすることはあり得ない。
さて、私達がマレーシアに上陸して、一番最初に何を感じました?
客を大事にする国だと思いました?客の立場を優先して考える国だと思いました?
私は全くそれを感じないし、全ては彼らの都合で動く国だと思った。
だから「期待してはいけない」のが【日本人がマレーシアで最初に覚えるべきこと】とさえ思っています。
これは買い物に行こうか、レストランに行こうが、業者を頼もうが同じで、私は【客の思いが優先されることは無い国】だと断定しても良いと思っています。
今回の新MM2Hに関係するニュースを、私達はMM2Hではない、MM2Hに興味もない、日本人でもないとしてちょっと読み返してもらいたいんですよ。
【MM2Hプログラムとマレーシアの利益に関してのみ語られている】ことに気がつくはず。
当然、参加者を無視しているわけでもない。それは当たり前で利益をもたらすのはMM2H参加者なのだから。
それを念頭に、ジョホール州の王様の発言をあらためて読んでください。
私が気になるセンテンスをピックアップしてみます。
「(新MM2Hは)マレーシアに来ることへの外国人の関心を弱め、既存のMM2Hパス保有者にマレーシアからの逃亡を強いる」
「これはマレーシアにとって莫大な収入の損失を意味します」
「投資家と観光客をマレーシアから遠ざけるだけだ」
「(かつてMM2Hは)マレーシアを国際的な退職先として宣伝するのに効果的だった」
「フリップフロップを続けるとき、どうすればマレーシアを投資先として宣伝できますか?」
「マレーシアへの信頼を失います。」
「このような劇的な変化は私たちのイメージを傷つけ、私たちを世界の笑い株にするでしょう」
「(新しい条件)が厳しすぎると、国の収入に影響を与える可能性があり、新規および既存の参加者に圧力をかける可能性があります。」
「この新しい条件は彼らがジョホールに投資しない原因になる可能性があります」
「これらの新しい規制により、より多くのMM2Hパス保有者が国を離れることになります。」
「マレーシアを投資先としてどのように宣伝したいですか?」
「参加者の間に不信感が生まれる可能性があり、料金を引き上げる時期でもありません。状況の劇的な変化は国のイメージに影響を与える」
私はこの王様の発言は素晴らしいと思いました。でも現存のそして将来のMM2Hホルダーの立場に立った考え方を、私はこの中には見いだせなかった。まだ商工会議所のガチョウの話のほうが我々に寄り添っていると思う。つまりですね、立場の違いでこれほど違うってことじゃないんですかね。
でも王様の内務省への苦言としては最高で、上に書いたように「自分の利益しか考えていない」場合には、【その方法では利益にならないぞ】というのが一番、効くはずだから。
これは私達のマレーシアの日常でも同じじゃないですか。
「約束を守らないのは日常茶飯事」で、その時にこちらがいかに困っているか説明して、何か効果があったことってあります?
私には無い。断言できます。謝罪を受けることさえ無い。
だから私は考えたんですよ。「約束を守ったら【彼らの利益になるようにすれば良い】だけだ」と。
これって日本人的にはあり得ない考え方ですよね。約束を守るのは当たり前だから。
でも私は彼らが約束を守った場合には「余分に支払うことを約束する」という方法を取りました。いわゆる「チップを渡す」という考え方。
これってチップの習慣がない日本、マレーシアではあり得ないことかもしれませんし、「そういうことをするから価格が上がっていくのだ」と怒る日本人も多いのを私は知っています。私だってそう思うことはあって、「チップを渡すべきでもないのにチップを渡すことは絶対にやるべきではない」という考え方を持っています。
でも「約束を守るのが当たり前ではない社会」においては、「約束を守るのは【非常によくやってくれた】という意味」でもあると私は考えます。
実はこれはオーストラリアも同じで、皆さんがマレーシアで感じていることとほぼ同じことを私は25年間、オーストラリアで感じていたんですよ(特にゴールドコーストは酷い。大都市はまた別)。約束を守らないのは当たり前っていうほど酷くはありませんでしたが(マレーシアよりまだマシ)、「時間に来ない」のは、ま、普通で、そんなもんだと思って過ごさないと病気になってしまう国でした。(笑)
これは業者になにか製作を頼んでも同じで、「期日までに仕事が終わらない」国でもあるのね。これって会社だと非常に困るわけで、ある日本人に「納期が遅れたらペナルティを課すのは常識」と教えられて、なるほどと思いましたっけ。
でも個人がそんなことをするのも難しいと思って、逆に「納期を守ったら余分に払う」としたところ、これがうまく機能したという経験があります。だからマレーシアでも同じ考えを持って行動しています。
これが良いのか悪いのかは別にして、「自分の利益を最優先する人たち」には【利益を与える】しか手がない。理想論やあるべき論は全く意味をなさない。「日本の常識は世界の非常識」というのはここにも当てはまると思っています。世界は「利益と利益のぶつかり合いで動く」わけで、倫理や道徳では動かないのは、昨今の世界情勢を見ても簡単にわかることじゃないですか。
さて、新MM2Hですが、「再考する」と表明した内務大臣は、その後、重要な発言をしている。ここを見逃してはならないと思います。
まさに「今までのMM2Hでは儲からない。これでは駄目だ」とはっきり言っている。
PUTRAJAYA: Some 8,000 participants of the Malaysia My Second…
注:これの日本語訳は下に出します。
だからといって条件を厳しくするのは、「儲からないから値上げする」という、日本人的に考えれば「自殺行為、一番単純で馬鹿げた考え方」であるのは明白。
でも私達は、そういう考え方をするマレーシアってのもちょっと住んでいれば理解できるはずなのね。だから上にマレーシアの日常で私達は何を感じているのかを書いたわけです。
まして、内務大臣はこう付け加えている。
政府によって課された新しい政策が厳しすぎるという苦情について、彼は、政府はMM2Hの参加者が「質が高く、収入を生み出し、経済を活性化するのを助けることができる」ことを保証する必要があると述べた。
私は開いた口が塞がりませんでした。
これって「売上も利益も伸び悩んでいる企業のトップが、【値上げしろ】と命令を下し、それは無理だという各部署の意見に対し、【そもそも我が社の客に問題があって、客は自らが質が高く、もっと我社の製品を買って利益をもたらし、我社を活性化することができると証明すべきだ】【それなくして、現行維持はあり得ない】と言っているのと同じ。
これは「ジョホールの王様の考え方を否定している」のと同じ。当然、様々な陳情の声も同様に考えているんじゃないですかね。
「マレーシアの売上・利益が少ないのは、MM2Hの質が悪いからで、だから値上げを断行し、MM2Hのランクアップを狙え」と内務省トップが言っているということ。
これを仕事の経験もない、社会人一年生がいうのならわからないこともないですが、内務省のトップも実社会を知らない人かもね。
さてどうするか。
◯ これが普通の会社であるならば、取締役会を開いて、【社長には退陣してもらう】か、再考を強制する。
◯ どういう結果が出るのか【やらせてみるしか無い】。
この内務大臣の追加の意見発表。私達はこれを重視しないわけにはいかないでしょ。重視すべきは、「再考すると発表したニュース」ではない。
プトラジャヤ:マレーシアマイセカンドホーム(MM2H)の約8,000人の参加者は、パスが与えられたにもかかわらず、施設を使用して国に住んでいないことが判明しました、とDatuk Seri Hamzah Zainudin (写真)は言います。
内務大臣は、移民記録によると、マレーシアに居住していない参加者の数は7,000人から8,000人の間であると述べた。
「彼らは、申請書を登録するために、そして後でパスを更新したいときに、短期間しか入ってきません。
同氏は水曜日(9月1日)の記者会見で、「マレーシアに滞在すらしていないので、これらの参加者に申し出を受け入れる意向を確認するよう、役員に呼びかけた」と述べた。
7月31日現在、MM2Hパスの保有者である外国人は57,478人で、そのうち28,249人が校長で、残りは扶養家族です。
ハムザ氏によると、昨年8月31日まで移動規制命令が施行されて以来、入国管理局はこのプログラムに13,873件の申請を受け取り、そのうち4,714件が承認されたという。
政府によって課された新しい政策が厳しすぎるという苦情について、彼は、政府はMM2Hの参加者が「質が高く、収入を生み出し、経済を活性化するのを助けることができる」ことを保証する必要があると述べた。
「参加者が若く、収入がRM1,000からRM3,000の間にある場合、彼らはマレーシアに住むことでより多くの利益を得て、経済に少ししか貢献しません。そのため、ポリシーを再検討する必要がありました」と彼は言いました。
大臣は、MM2H参加者のオフショア収入の条件は、2002年から最近変更が加えられるまでほぼ20年間同じままであると述べた。
「本当にマレーシアを第二の故郷にした人々のために、私たちは彼らがここに住み続けることができる方法を見ていきます」と彼は言いました。
当然、「実際に住まないMM2Hビザホルダーがいる」のはそれでもよいビザなのだから当たり前で、ここを変更するのは私は「世界的にも一般的」であると思っています。「滞在ビザは滞在したい人に出す」のは世界共通で、たとえ永住権があっても「一定の期間滞在しないと消滅する」のは常識。
そしてですね、特に私達、日本人がちゃんと考えないとならないところは、最後の方のこの部分。
MM2H参加者のオフショア収入の条件は、2002年から最近変更が加えられるまでほぼ20年間同じままである
日本人にしてみると「日本は長い長いデフレの中にあった」わけで、収入が増えるどころか減っている。物価も横ばい。
さて、マレーシアは?世界は?
日本とは全く違う動きをしてきたわけですよね。この20年で、物価も年収も2倍になった国々はいくらでもある。
私はそれを前提に考えると、【新MM2Hの条件が現行のまま続くことはあり得ない】だろうと思っています。
そして巷では何年も前からよく言われていましたよね。「条件が変わるかも知れないから、早くMM2Hを取得しろ」と。
今まさにその時が来てしまったわけで、「新MM2Hの条件は厳しすぎるのは間違いがない」にしろ、再考が行われても妥協点としてどのレベルになるかに関しては楽観できないと思っています。
どの国でも「徐々に条件を厳しくする」のは普通だし、その反応を見ながら変更を加えるのは常識。
その常識を無視して、突如として大幅アップというのは「自分の利益しか考えていない」のは明白で、また「この様に変更すれば利益が出るだろう」という考え方は【経済の原理を全く知らない】のを世界に知らしめた恥ずべきことでもあると思います。
ここに問題があるのはわかりきっているけれど、多少ともそこに考えが至るのであればそもそも新MM2Hのあの条件は出てこないし、ましたや内務大臣が今、上に出したようなことを言うこともない。
この発言がイミグレの一担当管ならわかるんですよ。でも内務大臣の発言ですからねぇ。
私は「絶望」に近いものを感じています。
そしてもし、新MM2Hの条件が【多少は】軽減されたとしても、こういうあまりにも馬鹿げたことを、あまりにも馬鹿げた理屈で実施しようとするマレーシアに対する私の不信感は消えることはない。
そして今回の内務大臣の最後の言葉、「本当にマレーシアを第二の故郷にした人々のために、私たちは彼らがここに住み続けることができる方法を見ていきます」ですと。
これほど腹が立つ言葉もないわけで、「その方法は、まずはMM2Hホルダーに聞け!と私は思う。
ただ、MM2Hホルダーが過去にはそれなりに不動産業界に貢献してきたのは間違いがないはずで、Zerin Properties SdnBhdグループの最高経営責任者であるPrevindranSinghe氏は【MM2H許可保有者の60%から70%が、改訂されたMM2H条件の下で、マレーシアを離れて他の地域の国に行く可能性がある】と警告した。
内務大臣が、「ええ?マジ?新MM2Hって儲かるどころか損をするのか?多くのMM2Hってそんなに金が無いのか?」と気がついてくれれば良いんですけどね~~。
ごっそりお金があったら、私はマレーシアにわざわざ来る人って多くはないと思うんですよ。「税金対策以外」では。
そして税金対策だとしても、普通の収入ならその収入がある国で納税義務があるのは世界共通で、マレーシアに183日以上住めばマレーシアの税制にしたがって無税になる人は、その種の特別な収入がある人だけに限る。一般的じゃない。
さてさて、ガチョウの大移動は始まるのか。
あるMM2エージェントが顧客向けの情報として
(政府は)既存のMM2H保有者に対しては新条件を適用しない様な事をほのめかしています
と書いています。また、必要最低滞在日数に関しては変更があるだろうと。また、小規模の現地法人を設立する案も代替案として提案していくと。
私の友人でこのブログの読者にも「MM2Hビザは持っているだけ(マレーシアに上陸していない)」という人もいますし、そういう人たちはかなりの確率で「更新できない」可能性はありますね。でもその滞在日数を調べるのは「更新時」であって、毎年調べるわけじゃないでしょ。当然、最初の取得時には関係ないし。
これも実は簡単な話じゃないわけで、通常、「X年間の内にXXX日」という決め事が多く、そしてそれは「更新に関係してくる」のね。そうじゃないと、新しいのが5年有効だとして、最初の2年はマレーシアに住まなかったけれど、その後の3年は毎年300日以上住んだなんてこともあるわけで・・・。
ま、何が出てくるかわかりませんが、楽しみに待つことにします。