相変わらず、私が欲しい牛肉がなかなか手に入らず困っています。最近、どんどん状況は悪くなっているのを感じます。
私が欲しい牛肉ですが、ま、我が家でガッツリ牛肉を食べたい時には「安い肉」でOKなのね。でもそれさえも今、見つからないで困っています。「高くて良い肉」は売っているのですが、それってマグロで言えば「本マグロのトロしか売っていない」のと同じで、そんなのばかり食べたら病気になりそうだし(笑)、私が作りたいものはそれではできないのね。
「安い肉を美味しく食べる」のは牛肉の国オーストラリアで25年、生活して覚えたことですが、そもそも牛肉の国なのに「日本人が美味しいと思う牛肉はオーストラリアにはなかった」んですよ。(今はある)
いわゆる昔から「アメリカの牛肉」は大きいだけで固くて美味しくないと言われていたのと同じで、オーストラリアも牛は放牧して「草を食べさせて育てる」のが普通の国でした。というかそれが「世界の標準」ですよね。牛肉の生産、消費も非常に多いブラジルやアルゼンチンも同じで、カウボーイが何百何千頭という牛を育てるあれね。ローハイドであり、ララミー牧場です。若い人は知らないかな~?
その点、日本は牛肉の歴史は浅いものの、独自の進化をしたのか、一頭一頭大事に育て、そして「穀物を食べさせる」ことによって「肉質は柔らかく」「脂肪のサシの入った美味しい肉」を作った。そして4種類の牛を選び出し、その4種類か、その中で「交配」した牛だけを【和牛】と呼んで他の牛と分けた。
当然、それ以外の牛もいるわけで、日本で育ったから「和牛」なのではなくて、それらは「国産牛」として区別した。また当然、「乳牛(ホルスタイン)」もいれば「その他」の牛肉も存在する。
そして近年になって、「和牛」の良さが世界中に知れ渡るようになり、アメリカやオーストラリアでも「和牛の血を引く牛」を日本風に育てて「Wagyu」として世界に売り出した。そして「日本の和牛」も「オーストラリアのWagyu」もマレーシアに輸入されている。
当然、アメリカでもオーストラリアでも「昔からの牛」の肉が売られていて、それらがマレーシアにも輸入されている。その中でも「レベルの高い牛肉」として「アンガス牛」があるし、アメリカの牛肉の格付けである「プライムビーフ」「チョイスビーフ」も、また健康的で安全だと言われる「オーガニックビーフ」もマレーシアに輸入されている。
その他、ブラジル、アルゼンチン、インドからも牛肉はマレーシアに輸入されている。
これが今現在の状況で、世界中からマレーシアに様々な牛肉が入ってきている状態。だから「なんでもある」ような気がするじゃないですか。
ところがマレーシアでは「牛肉を食べる」という歴史が浅く、牛肉は高価であり、広く受け入れられているわけじゃない。でもそれは日本も同じで、「ある特殊な肉だけ」が一般的に売られている。
そもそも食用に回される牛って400~900キロの体重があり、頭から尻尾の先まで多くの部位があるじゃないですか。そして内臓もある。
ところが、なぜか売られている部位は「ほぼ数種類の部位に決まっている」のね。
それは「リブロースであり、サーロインであり、テンダーロイン(ヒレ)」。この3種類はステーキとしては多く使われる部位で、この3種だけは「どこでも売っている」のね。そしてそれは「和牛、Wagyu」も、「アンガス牛、プライムビーフ」そして「ブラジル産、アルゼンチン産、インド産」も同じ。
でも私はいつも思うんですよ。この「リブロース、サーロイン、テンダーロイン」は牛肉の中の極々一部でしかないってこと。ある意味、このどこでも売っている部位こそが、牛肉全体から見れば「希少部位」だと思うのね。この3種類の部位を合わせても、牛全体の肉の15%ぐらいでしかないんじゃないですかね。
じゃ、他の部位はどこに行ってしまったのか?
ま、当然、多く使われる「ミンチ」をわざわざ高い部位で作るわけもなく、「端材」や「売れない部位」を使うにしても、「肩、胸、腕、腹、腰、お尻、腿、スネ」ととんでもない量の部位は一体どこへ行ってしまったのか。
もちろん、「タン、ハラミ」などの内臓肉や「バラ肉」「尻尾」もマレーシアで利用されているのは間違いがないにしても、スーパーに行っても売ってないじゃないですか。これが私には不思議で仕方がないのね。
そりゃ若干は売ってますよ。スーパーでも「オックステール」や「モモ肉」「スネ肉(オッソブッコ用)」「ランプ」も売っていることはある。
それにしてもそれらはあまりにもマレーシアではマイナーで、牛の部位としては一頭あたり何百キロという他の部位は売られていないのって不思議じゃないですかね。
「売れないから売らない、輸入もしない」というのが答えなんでしょうが、スーパーも「地域によっては売っている」なんてこともあるのね。その地域の「需要と購買力」を考えると、「高いリブロース、サーロイン、テンダーロイン」ばかりというわけにもいかないのでしょう。
それは私も先日、プトラジャヤに数日滞在してわかったことで、我が家の近所にある「Village Grocer」と同じVillage Grocerなのに「扱う牛肉が違う」なんてことが起きている。
こんな牛肉は我が家の近所のビレッジグローサー(Village Grocer)では売っていない。
こういう部位、こういう価格帯の牛肉は近所のビレッジグローサーでは見たこともないんですよ。
でもそれらとて「多くの部位の一部分」だけでしかないわけで、アメリカでもオーストラリアでもブラジルやアルゼンチンでは当たり前に売っているものがマレーシアでは売っていない。当然、「和牛やWagyu」のような「特殊な牛肉」となったら益々「他の部位」はない。
【売れないから売らない、仕入れない】だけのことなんでしょうが、この「売っていない」というのに非常に大きな違和感を私は感じるわけです。
それでもWmartやFeast Marketという業者はまだ「リブロース、サーロイン、テンダーロイン以外の肉」を売っている方ですが、でもやっぱりメインはその3種なのね。
これって私にしてみると、自動車を買おうと思ったら「ベンツ、BMW、レクサス」しか売っていないのと同じなんですよ。
自動車って多くのメーカーが多くの車種を販売していますよね。それって「牛肉も同じ」だと私は思っていて、なんで他の牛肉、部位が売っていないのかがどうにも納得できずにいます。
でも焼肉屋を含むレストランでは扱っているから、どこかで売っているのは間違いがないものの、私達、消費者にはそれがわからない。
きっと日本人的にはそれでも全く問題がないのだろうとは思います。それは日本でも売られている牛肉の大半が「リブロース、サーロイン、テンダーロイン」だから。ああ、それと日本人には必需品の「切り落とし、細切れ」もまずどこにもないのが普通。でもドンキにはある。
牛肉の他の部位もよく食べる「欧米人」は私と同じことを感じているんじゃないですかね。そもそも信じられないかもしれないけれど、オーストラリア人にとっても「ステーキは贅沢品」なのね。オーストラリア人はBBQを良くやりますが、高級部位のステーキを焼くのは金持ちだけみたいな。でも安いブリスケットの塊りや骨付きリブは良く使う。彼らのBBQの基本はソーセージですね。日本人みたいにBBQの具材の種類が多くないし、魚のホイル焼きなんてのもやらないし、彼らは日本人宅のBBQに来ると驚くのね。日本人って凄いって。(笑)
でもマレーシアでは肉がたっぷりついている骨付きリブを手に入れるのも簡単ではない。いや、無いことはないけれど、アンガス牛の、和牛の、Wagyuのが欲しいなんて思ってもどこにも売っていない。
私が欲しい牛肉は決して珍しい部位でもなんでもないんですよ。当然、高い部位じゃない。
「肩ロース」「ウチモモ」「ソトモモ」「ミスジ」「骨付きリブ」「中落ち(リブフィンガー)」「ハラミ・サガリ」だけでもあれば嬉しいのだけれど、【欲しいレベルのもの】は売っていない。でも「焼肉屋」はそういう部位を使っている。
今、我が家にある牛肉は「無印牛のバラ肉のスライス」のみで、それは安い肉で「牛丼にはバッチリ」なんだけれど、我が家風のローストビーフ、ユッケ、カレーやシチューに合う肉を買おうと思ったら全く売っていないことに本当に驚いたんですよ。
売っていることもあるのね。
でもそれは本当に「偶然、宝物を見つけた」のと同じぐらいの確率になってしまっていて、今、買おうと思ってもなぜかどこにも売っていない。いつ入荷するのかもわからない。
日本でもオーストラリアでも「店頭には無い」にしても、「注文すればすぐに手に入る」のは間違いがない。
でもマレーシアには私の注文を受けてくれる肉屋もスーパーも無い。
「あるもので我慢しろ」と思いますよね。私もそう思う。
でも我慢に我慢を重ねて、かつては売っていたのだから、そのうち入荷するだろうと楽しみに待ち続けてもうすでに3ヶ月以上。もう待ちくたびれた~~~。
私は「多くを求めすぎている」とは思っていないんですよ。だって、以前はどうにか手に入れたい数種類の内の1種類ぐらいはどこかで売っているのが普通だったから。また探究心が旺盛でこだわりが強いのは日本人の特徴だと思っていて、それがあるから「日本製」が発展したわけで、農作物も工業製品も同じ、商業やサービス業も同じ。「安易に妥協しない」から【より良い明日が来る】と思っています。
でもねぇ、いつも買ういくつかの業者のサイトを見ていると、「売れ筋を絞り込んできている」のがわかるのね。景気が悪いのかなぁ。全般的に品揃えも縮小傾向にあるんだろうか。
久しぶりに美味しいローストビーフを作りたいなぁ。ユッケも。でもそれらは「高くて美味しい部位」だと逆に使えないのね。日本の日本人だってローストビーフを作るのにリブロースじゃサーロインなんて使わないでしょう。
自分のブログの過去の写真を見てヨダレを垂らしている変態オヤジみたいになってしまった。
ま、牛肉がなくても死ぬわけじゃないから良いやと開き直っていますけどね~~。
状況は「(いつも書いている)海産物」と同じで、本当に昔は「何も無い」と思っていたけれど、どんどん改善されて多くのものが出回るようになった。この調子で行けば良いなと思っていたのですが、近年、コロナ禍が過ぎた頃から、悪い方向へ逆戻りしているような感覚です。インフレも進行しているし。