ゴールドコーストにいると日本の食べ物が恋しくて気が狂いそうになる私ですが、実はオーストラリアは海産物が豊富な国として知られていてオーストラリアが持つ漁場は世界第三位の広さがあります。ここクイーンズランド州でも漁業が盛ん。
借りているコンドから海が見えますが、なんとリゾートのすぐ隣に漁港があるんです。赤丸の場所がそれ。
隣にあるホテルは6スターと言われる高級リゾートホテルのヴェルサーチ。その隣はシェラトン。
きっとこの小さな小さな漁港はゴールドコーストにそれこそホテルも何も無い頃からあったのだろうと思いますが、今では海の繁華街の真ん中に位置しているようでとても不思議な感じがします。
小さい漁港ですから漁船もそんなに多くは無く、小型の底引き網漁の船が8,9隻ぐらいでしょうか。その程度の規模です。船はこんな感じ。
このオーストラリアには日本で言う漁協が存在せず、それぞれの船が勝手に売買するようで、卸もそれば小売もします。で、この小さな漁港へ行きますと、それぞれの船が看板を出していまして、今、エビがあるよとか、スパナクラブがあるよとか広告を出しています。
我々もたまに気が向くとここに買いに行きます。でも船から直接買うと安いってほどでもなく、まぁ、新鮮であるという程度でしょうか。でも新鮮と言っても活エビがあるわけでもなく、また我々日本人から見るとオーストラリアの一般的な魚の扱いは雑で、冷蔵、冷凍にも問題がありそうな感じがしています。
そもそも魚介類を生で食べる習慣が無い国ってのは扱いがずさんですね。中国、マレーシアもそうですよね。
また、いつも船は夕方出港し、朝に帰ってくるのですが、ではすぐに買いに行ったからと行って獲れたてが買えるのかどうかも疑問です。当然在庫から売るわけですから。
そういう意味では、ちゃんとした店舗から買うほうがいいかもしれないし、下手な冷蔵物なら冷凍物の方が間違いがないとも言えるかもしれません。この辺の感覚は日本にいる人たちにはわからないかもしれませんね。
でもやっぱり船から買うと良いものに当たる確率は間違いなく高いですから、気が向くと買いに行きます。
どの船も大量に持っているのがエビです。それとスパナクラブ。たまにイカ。タコがあるときもあるし、船の中には一艘釣り船もあるようで、魚を売っていることもあります。でも行けば必ずあるのはエビだけで、予定を組んで買いに行っても無ければ無いと言われるだけ。
そういう点ではやっぱり大きな魚屋とか朝市、フリーマーケットで買う方が良いかな。
まぁ、とにかくエビだけは豊富と言っても良いゴールドコーストですが、多くのレストランが海産物を扱っていて、海産物のプラター(盛り合わせ)は旅行客にも人気があります。また、魚を売っている店も結構あって、多くはフィッシュ&チップスで売り上げを取る店ですが、たいてい茹でたエビが山盛りに置いてあって、すぐにそれを買って食べられるようになっています。
その光景ってはじめてみると結構感激して、海産物の豊富な場所に来た喜びを感じることがあります。
でもねぇ、これって錯覚なのね。
旅行者も茹でたエビを食べて美味しかったなんてブログに書いている人も多くいますが、さて、本当でしょうか?
たいていの日本人なら茹でたエビを食べて、あれ?って思うはずなんですけど。私は二十年そんなエビを食べ続けてきて、美味い!と思ったのはほんの数回しかありません。
いわゆる茹ですぎなんですね。味がしっかり抜けてしまっていて、変に塩辛かったりする。
新鮮なエビを仕入れて自前で茹でているのならまだ良いのでしょうが、私が聞いてびっくりしたのは、船にも茹でる設備を積んでのもあるそう。でも上の写真に出したのは小さな船ですし、あの手の船にもそういう設備が付いているのか知りませんが、当然茹でるのは海水。海水ってしょっぱ過ぎると思うのだけど。
そして茹でたら冷やさないと駄目ですよね。どうするか?茹でたやつをそのまま海の中に網ごとドブンと入れるんだそうです。
ま、そんな話を聞きますと、エビは茹でる温度やタイミングが難しいし、山盛りになって売っているのは美味しくない理由がわかるのですが、とにかく海産物はいろいろあるにしても、では美味しいかというと話は別ってこと。
寿司屋の板前に友人がいるのですが、面白い話を聞いたことがあります。まず、こちらではかなり型の良い真鯛が釣れます。それはそれは立派な真鯛。ところがですね。これもまた食べてみると、あれ?って思うような真鯛なんですよ。
で、板前に言わせると、魚そのものに違いもあるのだけれど、まず釣ったあとの処理が悪いと言います。この炎天下、釣り上げた魚をそのままデッキの上に放り投げたまま、なんてことをこっちの漁師はするそうです。もちろん生き締めなんかしない。
そこでその友人の話ですが、卸屋に、ちゃんと生き締めしてすぐに氷詰めにしてくれるなら倍の値段で買うと談判したそうです。ところがその答えは、そんな面倒なことをしなくてはならないなら売らないと言われたそうです。
でもま、これは20年も前の話。(笑)
今では昔と違ってかなり改善されているそうです。良かった良かった。でもこちらの真鯛を食べて美味しいと思う日本人っているのかなって感じです。それほど違いがあります。
こちらには魚市場もありません。やっぱり人口って大事なんですね。日本のように国土は狭いけれど人間だけはゴチャゴチャいる国では想像できないことが人口の少ない国にはいろいろとありますが、魚市場もないというのもその一つだと思います。
でもシドニーにはあります。聞いたところでは、シドニーの魚市場の扱い高は世界第二位だそうです。それを聞いたら誰でも期待しますよねぇ。築地に次ぐ第二位ってことですから。
でも行って見ると唖然とします。二位って一体何が二位なのか悩むはずです。確かに扱い高は二位なのかもしれませんが、魚市場の体をなしていないんです。いわゆるどこの街にでもある魚屋の大きいのが連なっているだけで、扱う魚の種類なんか手足の指で十分数えられるかもしれません。
じゃ、アワビでも買って、ホテルで刺身で食べようかなんて思って探しましたが生きているアワビも売っていません。そもそも水槽がないんですから。あっても空だったり、蟹が入っている程度。
がっかりして歩いているとウニを売っていましたので、それを買って食べましたっけ。でもウニを扱っている店はその世界第二位の規模の魚市場で一軒だけでした。それも小さなプラスチックトレイに入って並んでいるだけ。ちゃんと見ていないと見過ごしてしまうくらい。
これです。
ま、これがオーストラリアの実情ってところでしょうか。
ただ魚市場の店は日本のように多くのプロが買いに来るという場所ではなくて一般人に公開された市場。プロはいちいち買いに来ないのでしょう。これはもしかしたら築地も将来そういう風になるってことかもしれませんね。オヤジの実家が築地の仲買人ですが、かつては魚屋やスーパーも築地に買いに来ていたそうです。でも魚屋はなくなりスーパーは市場を通さずに漁船まるごと買ったりして築地はどんどん仕事がなくなっているそうです。レストランもファックスで注文をよこすのが普通で、毎日築地に魚を見に行って仕入れるという習慣はどんどん消えていくかもしれませんね。
オーストラリアですがせめて日本みたいに冷凍なりクール宅急便があればいいのですが、オーストラリアにはそれがありません。つまり例えば北海道の蟹業者から蟹を買うように、タスマニアからアワビやウニを買うとか、アデレードからロブスターを買うとか、あるいは一匹丸ごと畜養マグロ(日本に大量に輸出されている)を買うって事も出来ないんですね。
海産物は山のようにあるのだけれど、居住者には全くその恩恵がなく、絵に描いた餅でしかないと私は思います。でも日本人みたいに魚にこだわりがある住民はいないも同然ですから、新鮮な多品種の魚が出回るようなことは絶対に起き得ないんでしょう。
そもそも魚をフォークとナイフで食べる文化ですから、大型の魚じゃないと駄目なんですね。骨をよけて綺麗に食べるなんて事は不可能ですから、丸ごと食べるか、切り身か、それともヒラメやカレイのように骨が取りやすい魚か。だからたとえあと何十年経ってもこの状況は変らないはず。美味しいアジの塩焼きを食べられる日はまず来ないでしょう。アジも可愛そうで、大型の魚を釣るための餌という扱いで終わるのでしょう。
ま、なんだかんだいつものことですが、私のブログは聞いても面白くないことばかりだと思うでしょうが、私としては現実、真実しか書いていないつもりです。
でも旅行で来たり、あるいは住んで間もない人たちは全く違う印象を持つだろうとは思います。私達もそうでしたから。
こういう人による印象や感想が全く違うことが起こるのは当たり前のことで、遊びに行くのと住むのとはまるで見え方も印象も違うってことなんですね。その辺をちゃんとわかった上で、私はマレーシアのことも見たいと思っています。舞い上がった気持ちで見るのと、冷静さを持って見るのとではまるで違うものが見えてくるはず。
では、私のマレーシアの本当の印象は?
機会があったら本音を書きますね。(笑)