いつの間にやら正月は外食の習慣が出来ています。かつてはパーティの連続でしたが子供達が大きくなってからはパーティも減り、またそれに伴なっておせち料理も作らなくなってきました。
この10年ぐらいは毎年、家の近くにあるロイヤルパインというリゾートホテルの中の日本料理屋である荒川レストランで正月料理を食べるのが恒例の行事だったのですが、今年は次男坊とヨメさんのリクエストで「天」にしました。
「天」ってゴールドコーストでは一番の日本料理屋だけれど、やっぱり我々にはちょっと敷居が高い。いや、ちょっとではないか。料理の値段もさることながら、我が家にはウワバミがいますので、飲み代を入れるとほぼ倍の料金になってしまう。だいたいオーストラリアは酒が高すぎ。
でも年に1,2度ならいいだろうということで行ってきました。
まずはビールで乾杯ですが、恵比寿ビール、アサヒスーパードライ、どちらも簡単には手に入らないビールで、特に恵比寿ビールは何年ぶりだったでしょうか。美味しかった~。
いの一番に出てきたのが↓のお碗もの。何かと思ったらお雑煮でした。非常にシンプルですがやっぱり出汁が違う。
この↓の箸が気に入りました。非常に軽くて手に収まる感じがなんとも言えず。最近、良い箸ってのを使った覚えが無くて、外食と言えばどこでも割り箸が普通。良い割り箸は良いけれどやっぱり漆塗りの良い箸にはかなわないと納得。
前菜はこのたっぷりある揚げ物の盛り合わせ。エビ、ホタテ、アワビ、ウマヅラハギでしたがこれが半端じゃなく美味しかった。全料理の中でこれが一番美味しかったかも。
この材料であるエビ、ホタテ、アワビも手に入れることはできますが、自分の家でこれほど美味しく揚げる事は絶対に不可能だねとヨメさんと合意。天ぷらにしてもそうだけれど、ああいう単純なものほどプロの凄さがわかると思いました。刺身しかり。
どういうわけか必ず頼む刺身を今回注文するのを忘れていました。どうしてだろう。やっぱり刺身より手の込んだ料理を食べたかったからかな。前菜は二種頼みましたが両方とも暖かいもの。こういう頼み方っていつもはしないんだけど・・
これも前菜。エビしんじょう蒸し。これはイマイチだったなぁ。エビしんじょうは大好物でちょっと期待が先走りしたかも。
お寿司ですが、これは絶品でした。どの魚もこちらではお馴染みのものばかりだけれど、やっぱり良い魚の良いところは美味しいって当たり前のことを確認。
そして巻物。ヒラマサ、鮭の裏まき。これってやっぱり江戸っ子向けじゃないなぁ。外人は好きかも。
これこれ。これだけはどの店に行ってもメニューにあれば必ず頼みます。ギンダラの西京焼き。
これも大好物。カモの胸肉。ソースがいろいろ着いて来ましたがワサビと赤味噌ソースだけってのが一番美味しいと思いました。これはお替りしたかったなぁ。
和牛の朴葉焼き。これは期待していたのだけれど、???って感じでした。というか、どうも近年市場に出回っている和牛の味が変ったような気がするんですよ。和牛らしくない。
そもそも和牛とは何かって結構ややこしいんですね。血統の問題だけじゃなくて飼育方法にも何か変化があったのかもしれません。最近の和牛って、限りなく和牛に見えるオージービーフって感じがします。それは昔から和牛を買っている肉屋さんの和牛も同じ。
私が牛肉を食べるときって、レアかベリーレアなんですが、朴葉焼きの場合はウェルダンの方が美味しいかもしれないって思いました。
これはレアで注文しました。
我が家はデザート類を食べることは極めて稀なのですが、一応頼んでみました。
私としては抹茶アイスみたいなのが良いかも。
この「天」での食事ですが、点数をつけるとすれば、そしてここがゴールドコーストであることを加味すればかなりの高得点ではあると思います。でも値段が・・・・
でも高いと言っても、では料理の値段が他の料理屋に比べて倍するのかといえばそんなことはないわけで、この店の高付加価値を考えれば妥当なのかもしれません。でも良い店って酒も良いものを置いているんですね。ここが大問題。
美味しい料理を食べながら、酒をケチれるか?
ヨメさんは太っ腹で、良いじゃん、しょっちゅう来るわけじゃないしと言いますが、まぁ、一般的な家庭と違って我が家のヨメさんは財布を握っていませんから言いたいことを言います。
でも今思い出すと、この店にあった久保田を飲まなかったのは悔やまれます。でも300mlで70ドルですよ。1合で42ドルになるのかな?それも久保田と言っても碧寿。
我ら夫婦が日本酒を飲みだすと一升瓶を開けちゃうこともあるくらいですから、この料金の日本酒を飲むのは絶対に無理。
ということで昨日は「天」オリジナルの大吟醸酒と船中八策を1リットル。値段は久保田の半額ぐらいかな。それでも私にしてみると涙が出るくらい高いと思います。
ちなみに天オリジナルの大吟醸の味と香りは大吟醸らしいものでしたが、飲んだ後に鼻に抜けるアルコールが安っぽい感じがしました。その点、船中八策の方がトータルとしては美味しかった。
まぁ、確かに良い店なのは間違いがないけれど、やっぱり我が家には敷居が高すぎます。クアラルンプールに支店がオープンしたらしいけれど、KLの店はどんな感じなのでしょう。材料はKLの方が間違いなくいろいろあるし、良い店なんでしょうね。マレーシアらしく安いのか、それともKLって恐ろしいほどの金持ちがいくらでもいるから値段設定も高いのか。
そういえば、我々の席は寿司カウンターの角だったのですが、食べている最中に後ろから声が聞こえました。
「今日は何か良いものある?」ですと。
こういう店で「良いものある?」なんて聞けるって凄いなぁ、と思いつつ振り返ってみると、その人は日本でも超有名な経済評論家である大○研○氏。正月休みをゴールドコーストで過ごしたのでしょうか。
この店ってやっぱり我が家向きではないというのを改めて確認しました。(笑)
料理も正月らしさってのがなくて、これなら毎年正月に行っているロイヤルパインの荒川の方が良いと思いました。荒川の料理は正月は決まったコースしかないのですが、それはおせち料理で日本の正月を堪能できます。でも正直なところ、味というか素材がイマイチ。
しかし、味も値段も雰囲気も良くてバランスが取れているというか、自分にあった店を探すのって難しいですね。まぁ、ゴールドコーストにはまともな和食の店そのものが少ないから選びようもないのだけれど、その点、クアラルンプールはいくらでも店があるので楽しみです。
フト、ゴールドコーストのある店を思い出しました。ラブラドールにある大樹というジャパレス。このオーナーシェフはかつてロイヤルパインの荒川レストランの板長でした。荒川レストランもこの20年の間に名前も変わり、オーナーも変わり、そして板長も何度も変わり、歴代の板長を知っていますがこういう海外での日本食レストラン経営の難しさ、制約がある中でこの大樹のオーナーになったシェフはその歴代の板長の中でもかなり優秀であるとずーっと思っていました。その彼の店である大樹も素晴らしい店だと思います。
この当たり前の和食を当たり前に出す店って意外に少ないわけで、こういう店が私には合ってるのだろうなと思ったり。