円高に思うこと

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円高そのものは円の収入も資産も全く無い私には大して関係がないのだけれど、でも日本は我が祖国であるし、いつか帰るつもりでいるので円高は面白くありません。それ以上に面白くないのは豪ドル安。対円はもちろんのことですが、対米ドルでも下がっている今、悔しくてその辺にあるものを蹴っ飛ばしたい気分。

でもまぁ、オーストラリアの景気は悪いし、金利も下がってしまったし、また世の中の様子がおかしくなると高金利に釣られて豪ドルに投資していた金が引き上げてしまうので、豪ドルは売られるという毎度のパターン。でもま、私は豪ドルの上下に合わせて生活パターンを変えると決めましたので、これはこれで今の所はOK。

さて、皆さんが気になる円高ですが、どうなるんでしょうね。

まず今、本当に円高なのかどうかってところですよね。そりゃ数値だけ見ていれば円高に間違いがないわけですが、さぁ果たしてそれだけ見ていていいのかどうか。

まず為替に関して我々が知らなければならない大事なことがあると思います。我々が常に見ていて高いとか安いとかいう数字は「名目為替レート」。実際に売買されている数字そのもの。我々が高いとか安いとかいうのはこの数字を見て言うわけですよね。

でも為替ってその国の金利や物価によって動きますし、それらを加味して考えないと意味が無いですよね。日本はこの20年間物価は下降気味で、為替としての円は動かなかったとしても購買力は上がっているわけですから、円高と同じ。

こういうのを加味して考える為替レートもあるんですね。つまり我々が目にしている名目為替レートの他に、実質為替レート、実効為替レート、名目実効為替レート、実質実効為替レートなどがある。まぁ、それぞれがどういうレートでどういう意味があるのかは、興味がある人は勝手に調べてくださいということになりますが、私として、押さえておきたいと思うのが「実質実効為替レート」です。

これに関してWikiを見てみましょう。

為替レート Wikipedia  ← クリック

その中の実質実効為替レートの部分を見てみます。

「日本では日本円と米ドルの相場に注目が集まるが(後述)、国際市場への参加者は他にも数多くあり、それぞれが自国通貨を持って変動相場制の下で貿易が行われているため、特定国間の為替レートだけを見ても国際市場における当該通貨の価値を知ることはできない。

外国為替市場における諸通貨の相対的な実力を測るための指標として実効為替レートがあり、これは中央銀行や国際決済銀行などが算定し、適宜公表している。

また、為替レートの変動を考えるとき、両国で物価上昇率が異なる場合は、実質的なレートが、名目為替レートとずれてくる。このような物価上昇率の効果を考慮した為替レートを実質為替レートという。

実効為替レートにおいても物価上昇率調整前後の値をそれぞれ算出するのが一般的であり、物価調整前を名目実効為替レート、調整後を実質実効為替レートと呼ぶ[13]。

なお、日本銀行の解説[13]にもあるように、実質化(どのようなデフレータを使用するか)、実効化(どのような通貨ウェイトで加重するか)の両面において様々な論点がある。分析しようとする目的に合ったデフレータおよび通貨ウェイトであるかを確認する必要があり、たとえば、企業の競争環境を分析しようとする時にデフレータとして消費者物価指数を用いたり、あるいは貿易額を通貨ウェイトとするのは望ましくない。これは、賃金などの企業のコストと消費者物価指数は乖離していること、アメリカ市場で第三国と競争している時にはドル円ではなく、その第三国の通貨と円の関係が問題になること、などによる。また、ウェイト替えに伴う遡及改訂をどのように行っているかも注意が必要な点であり[14]、現在のウェイトを元に過去を遡及改訂するような統計の場合、過去の値が持つ意味をよく吟味しなければならない。その他にも過去と比較する際には、実質実効為替レート水準の高低をただ比べるだけではなく、経済情勢や経済構造の変化など、様々な留意点がある。」

これを読んで、なるほどと理解できた人は凄い!

私には途中からえ?え?え?の連続でわけわからず。

では為替レートと物価のところも見てみましょう。

「現在の為替レートで各国の賃金水準などを比較した場合に、大きな差が出る場合がある。例えば日本は一人当たり GDP が 37000ドル程度であるが、ベトナムはおよそ 500ドルである。これを単純比較すると日本の賃金水準が 70倍程度高いことになるが、ベトナムは日本よりも物価が安いため、所得が低いからといって購買できる量に 70倍もの差がつくわけではない。こうした実情を踏まえ、物価を考慮した購買力平価で調整した後の一人当たり GDP は日本が 30000ドル、ベトナムが 3000ドル程度となり、その差は 10倍程度になる。

為替レートがこのような物価差を反映しないのは、経済構造と貿易に関係している。

A国とB国があったとする。A国は工業化が進展しており輸出工業の生産性が高い。仮にA国の輸出工業がB国の輸出工業の10倍の生産性を持っていたとする。どちらも国際市場に製品を輸出している場合、一物一価の法則により両国の輸出品価格は同一となる。これにより、A国の輸出工業労働者はB国の輸出工業労働者の10倍の所得を得ることになる。一方でA国の国内サービス業がB国の国内サービス業の2倍の生産性を持っていたとする。A国で輸出工業労働者と国内サービス業労働者の賃金に一物一価の法則が働いた場合、A国のサービス業はB国のサービス業の5倍の料金を取らなくては経営が成り立たなくなる。このため、両国では輸出工業品の価格が同一である一方、サービス料はA国のほうが高い状態が生まれ、A国の物価はB国よりも高くなる。

以上のように、輸出競争力に差があり、非貿易財が存在する場合に、実際の為替レートと購買力平価には差が生まれる。

サービスの価値が違うとの見方もある。例えば、懐中電灯はどこの国で買っても価値が等しいが、東京で散髪することと、ホーチミン市で散髪することは、投入財の価格が違うため価値が異なるという見方である。このとき、価値差が物価に織り込まれている場合は、購買力平価での比較が無意味となる。

また、国際市場における購買力比較では実際の為替レートが有効になるため、購買力平価は当てはまらない。」

これもややこしいですが、まだわかる部分が多いですね。というかこの辺がわからないと目に見える「名目為替レート」ばかり気にするようになるわけで、この辺はちょっと努力して基本的な考え方を理解しないとまずいかもしれませんね。

で、問題は、実質実効為替レートで各国通貨の値動きを見た場合、我々がいつも見ている名目為替レートとどのくらい違うのかってところ。

次の図を見てください。(出所)社会実情データ図録

クリックすると大きくなります。

さて、この図から何を読み取れるか。

私はたいしたことはわからないのですが、実際の為替の数値(名目為替レート)からは見えない、各国通貨の力関係が見えてきます。過去を思い出しながら要所要所を見てみますと、日本が輸出立国としてガンガン売りまくっていた時代とドルショック、そしてアメリカにプラザ合意を飲まされて円高になったあの当時。日本がジャパンアズナンバーワンと浮かれて馬鹿みたいに海外に投資をしたあの頃。このグラフで見るとこういう背景、他国との力関係があったのが良くわかりますね。

面白いのは実際の為替レート(名目)では今の数値と比べれば円安なのに、実効為替レートではかなりの円高があったということ。つまり本当に円が強かったし購買力もあったんですね。

ただ、一番のピークである1996年ごろは私の中ではぽっかり空いた空白の期間で、その当時のことが思い出せません。これだけの実質的な円高の時に日本が何をしたのかもわかりません。ただ私はゴールドコーストで中古自動車の輸入をしている頃で、円高で仕入れ値がどんどん上がって行ったのを覚えている程度。

またバブル崩壊後、輸出企業が盛り返して来た時期もなるほどで、それがリーマンショックによって簡単に壊されたのがわかります。

で、現在。円高であることを否定する人は少なく、実際の数値(名目)も史上最高値に近いまま推移。でもこの図で見るとほんのちょっとの円高であるという位置。

ここなんですね。まだまだ円高になるというプロがいたり、産業界でも50円まで行くなんていう人がいるのは。まぁ、とにかくこの図で見る限り、円高だと騒ぐような場所じゃないことだけはわかります。

と同時に米ドルを見てみますと、案の定、オバマ氏の戦略通りに安い米ドルが維持されていて産業界が息を吹き返しているであろう事が見えます。また最近、中国進出のメリットが減って、アメリカ本国に生産拠点を戻そうとしている大企業が増えているというのも納得です。

ただ面白くないのは、円高円安をいうときに、それは対米ドルで言うことが多く、それを見た場合、輸出倍増計画を持っているアメリカには好都合で名目でも実質実効レートでもドル安。しかし日本は円高というほどではないのに円高だ~~~と苦しんでいるという現実。これって為替ではない問題点を日本企業が持っていることに他ならない無いと思うのです。

例えばシャープの液晶にしても半導体にしても、それって円高のせいで駄目なのではなくて根本的なところに何か間違いがあると考えるべきなのでしょう。選択と集中で間違えたと言って良いのかもしれません。これに関しては、円高とは言われながら高成長を遂げている輸出企業もあるんですね。昔から好きな村田製作所(6981)もそうですが。

毎度のことで話が飛びますが、私はシャープの液晶に関しては駄目だろうという考え方をかなり前から持っていました。亀山ブランドで浮かれていた時代ですが、確かに良いものであるのでしょうが、良いものを追い求める時代じゃなくなっていると私は考えていました。日本の物作りの技術は凄いとは思いますが、よい物を作れば売れる時代はとうの昔に終わっていると思うんです。利用者に対して提案がないんですね。良い商品というだけで。

民生品としてはやっぱり学ぶべきところはアップルにあると思っています。その製品のクオリティが良いということだけじゃなくて、それを使うと何かが変わるんですよね。ここが大事なところで、付加価値を付けるのは昔から変わらないMustだと思うのですが、それは鉄を加工して製品にするという付加価値じゃなくて、生活さえも変えるインパクトが必要だと思うんです。ソニーも常にそういう製品を出す会社でしたが、最近駄目なのはそういう製品が無いことに他ならないからだと思ってます。

だからといってサムソンが良いとも思わず、ああいう選択と集中のやり方は、次に中国の餌食になるだけで、将来性があるようには思えません。でも今稼げているってのは凄いことで、日本の企業に出来ないことではなさそうのに、単にウォンが安いからだと為替のせいにするんじゃ日本の将来はなさそう。

ま、その辺はいろいろ考え方があるとは思いますが、まぁ、円高円高と騒ぐのはちょっと違うかもしれないというのがこの図からも想像できます。つまり、日銀がより一層の緩和策を取れば、あるいはお金をばら撒けばインフレ傾向になり円安に誘導できるという考え方(私もそうですが)がありますが、もしそれで無理やり円安に持っていっても本来この実質実効レートのように今の時点がたいした円高ではないのが事実だとしたら、かなり歪んだ形になるような気がしないでもありません。

また、多分円安に動けば解決する問題ばかりなのかもしれませんが、それこそ他力本願ですし、では海外に移転すれば済むのかって話じゃないように感じるのです。海外に出ればどうにかなる企業もあれば、そういう選択ではない生き方が要求される企業もあるんでしょうが。

私としてはこういう環境だからこそ育っていく企業があると思っていまして、久しぶりに日本に行ってびっくりするレストランの美味しさ安さも、環境の悪さを跳ね除けて活路を見出すことが出来た企業がちゃんと存在することの証明だと思うんです。

まぁ、勝てば官軍、負ければ賊軍なんでしょうが、今の状況でも勝てる日本じゃないと困るわけで、日本には頑張って欲しいです。

で、我々が為替を考える場合、やっぱりこの実質実効レートで考えるのが良さそうに思うのです。

相場にしても過去の高値や安値、あるいはピボットにしても名目レートではなくて、実質実効レートで考えるのは大事かもしれないと思います。単に馬鹿の一つ覚えみたいに過去の高値だ安値だ節目だと昔のレートを持ってくるのではなくて、その時その時の実情に合ったレート、つまり実質実効レートで見る必要があるような気がします。ただ、超短期、短期は別。

で、実質実効レートで見ると、今はまだ円高と騒ぐほどではないというレベル。だから海外勢も平気で円を買い進めてくるんでしょう。

ただまだまだ円高に伸び代があるとなると、外貨にしないほうが良いということになります。困りますよねぇ。円では何も生んでくれませんから。

でも為替で言えば名目為替レートより実質実効レートが重要だと言われるのと同じで、金利にしても目に見える表面の%ではなくてインフレ・デフレを加味した実質金利で考えれば、日本は高金利通貨であるという専門家までいる。これは私も一理あると思っていまして、インフレの割には金利が低いマレーシアの実質金利はマイナスであろうと私は思っています。つまり銀行に入れておいたら目減りするだけ。逆に何も生まない日本円は、後々購買力が上がるかもしれない。

外貨預金が良いと言われて何年経つか知りませんが、少なくともこの5年10年はよっぽどうまい時期に交換して高金利で回さない限り、良い思いをした人は少数派であるという事実は忘れるべきではないですよね。何もしなかった人の方が資産を伸ばしているという計算になります。

さぁ、今後はどうなりますかね~~~~。

世の中の流れを見るのは難しく、その中で普通に泳ぎながら資産を増やすのは至難の技でしょう。だったらやっぱりリスクをとっても利回りを上げて攻めていくしかないと思うわけです。でもそれって墓穴を掘ることになるのかもしれませんが、私は挑戦をし続けるべきだという考え方を捨てたくないです。

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