マレーシア在住の日本人で「豚の背脂」が欲しいと思っている人ってどのくらいいるんだろうか。ある女性ブロガーとは情報交換していますが。
私はトンカツというと「ロースカツ」だけで、ヒレカツって全く食べない。ロースカツに着いている脂がまさに背脂で、あれがあるからトンカツを美味しいと思う。
脂っていうとブヨブヨに柔らかいイメージだけれど、背脂って固めでシコシコしているのね。あの食感も好き。
じゃぁ背脂と他の脂肪とどう違うのかというと、正直なところまるで分っていないんですが(笑)、ま、背脂は皮下脂肪であって内臓脂肪ではない。どうもオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が背脂には多く含まれるらしい。
背脂っていうと「脂」だからギトギト、ヌルヌルでカロリーは高いし健康的ではないと考えがちですが、これを使う時には生の背脂をしっかり1時間以上煮込んでプルプルの状態にして、それを潰して使うわけで、脂分って思ったほど多くは無いんじゃないかと思っています。背脂は油っぽくなくてサラサラしているという人も少なくない。
では、スーパーでは「ダイス状になった豚の脂」をどこでも売っていますが、あれじゃ駄目なのか?
ま、私はいつもはあれを使っているんですが、触った感触では私が知っている背脂と違ってブヨブヨだし、普通の内臓脂肪である可能性が高い。
ところが~~~
店で聞くとあれは背脂(Fat back)のはずだと言うんです。またCold Storageのノンハラルコーナーにあったそれは「Fat back」と書いてあった。
だからあれを使えば良いんでしょうが、私は間違いない背脂が欲しい。皮付きでもオッケイ。私は豚の皮も美味しいと思っていて(バラ肉に着いている薄くて柔らかい皮しか料理に使ったことはないけれど)、ミンチに入れてもコリコリした良い食感がでるし(皮付きバラ肉でミンチを作る)、小籠包のスープも豚の皮から作るのが普通。ゼラチンが豊富なのね。
つまり「皮+背脂」って美味しさの主役ではないにしろ「脇役」としては抜群だと思うんですよ。それでより強い「コク」「旨み」を感じる。脂肪分がまさにそれで、ジューシーな餃子は実は脂肪分が多いし、ハンバーグに豚ミンチを入れたりマヨネーズを入れる人も多いのはまさに「油分」が欲しいからじゃない?そしてラーメンの「背脂チャッチャッ」が流行るのも同じ理由。
でも「油」じゃ駄目なのね。背脂という「固形」であることが重要だと私は思っています。これは自分の想像でしか無いのだけれど、ゼラチン質がいい仕事をしているんじゃないかと思っています。
だから背脂を料理に使うにしても、生のものを切り刻んでそのまま入れるのではなくて、「一度しっかり煮る」ことが重要だと思うんですよ。これで余計な油分は落ちて美味しいところが残るようなイメージを持っています。
間違いのない背脂は、日本からのものがマレーシアでも手に入る。これは調理済みのもの。
売っているのはここ。「Suming Trading Japanese Food Supply」
では背脂の生ですが、これが手に入るとビレッジグローサーから連絡がありました。ワンモントキアラのビレッジグローサーですが、いつも行くとおしゃべりをする愛想の良い女性がいます。Aileenさん。
この女性にお願いすれば取り寄せてくれる。彼女は背脂を「fat back」とは呼ばずに「back loin fat」と呼びますが、まさに背脂はロインの部分についている脂だから間違いがないと思います。
この女性、Aileenさんは本当に良くしてくれて、甜麺醤が無くて困っていると伝えたところ、同じ経営の他の店舗から取り寄せてくれたり、その後、卸商からごっそり仕入れてくれたり。質問をすると「それはビレッジグローサーのXXX売り場にあるはずだ」とわざわざ一緒に探してくれたり、本当に親切で我々日本人には「マレーシアで日本的サービスをする珍しい人」だと思っています。
で、注文をしたのだけれど、まだ連絡は来ない。(笑)
注文する時に「カットは必要?」と聞いてきましたが、私は「不要」と答えました。とりあえず1キロを注文。
多分、こんな状態で来るんじゃないですかね。それとももっとペラペラの帯状のものか。
ポークロインの塊から、この背脂を切り取ったものが、店頭に並ぶ。
私としてはこれを細かく刻んで(今までのように)自家製ミンチに混ぜるのも良いですが、1時間ぐらい煮て(圧力鍋で20-30分)、プルンプルンになったものを刻んでまぜて使おうと思っています。あるいは煮上がったものを潰すなり荒い目の漉し器に掛けるか(ラーメンの背脂チャッチャッはそうする)。当然、多めに作って小分けにして冷凍。
またこれから「ラード」(油)を作ってみようと思っています。生の刻んだ背脂をフライパンで熱すれば油が出てくる。このラードを料理で使ったら美味しいと思うし、チャーハンなんてまるで別物ができるかもしれない。当然、茹でて作った背脂をそのまま使っても良いし。麻婆豆腐もかなり変わりそうな予感。
そして楽しみなのは「油を取った【カス】」なんですよ。水分も油分も抜けたカス。もしかしたら料理に使って美味しいのはこれが本命かもしれないなんて思ってます。味が凝縮していると言われる。
これって日本では販売されていますが、そこそこいい値段するのね。
これって調味料と同じでいろいろ使いみちはあるはず。そしてこれを入れたお好み焼き、たこ焼きの美味しさって半端じゃないかもしれない。天かすのさらに上を行く可能性は大。
この背脂を別途使うのは、どうも「日本だけ」のようで、洋食でも中華でもわざわざ背脂をどうにかして使うという文化は無いように見えます。探しても出てきません。
ラーメンの「背脂チャッチャッ」の発祥は、どうも新潟県の燕市らしい。それが1980年代に全国に広まったと。
背脂を食材、あるいは調味料として使う文化はここから始まったと考えてもよいのかもね。それとも昔からあったのだろうか。
赤身+脂身の比率を考えるという発想は昔から、そして世界中であるわけだけれど、あえて「背脂を煮てから足して使う」という文化は日本だけかもしれない。ネットで探しても中華、洋食では出てこない。
面白いですね~~~~~~~~~。
きっと美味しい餃子、ワンタン、シュウマイもプロはこれを使っている可能性がある。でも調べてもそれはネットでは見つからない。「カス(Crispy Pork Lard / Chu Yau Char/ 猪油渣)」は昔から中華では普通に使われているらしい(ホッケンヌードルとか)。でも一般家庭でそれを使うという話は聞いたことはなく、専門店の美味しさの秘密はこんなところにもあるのかもね。
ハンバーグも良いかもだなぁ。
楽しみ、楽しみ。
そのうち、揚げ物もラードを使うなんてことをやりたくなりそう。