今年もやってきました。我が家の結婚記念日。
どこか外食に行くかと考えていたところ、ヨメさんが【創おまかせダイニング@Gardens Mall 】に行こうよと。
良いんじゃね?と私も息子も全く異論もなく【創おまかせダイニング@Gardens Mall 】に決定。我が家はこういう夫婦の記念日でも必ず長男も同行します。そういうチャンスがないと世の中のことを知ることもできませんし、和食に関しては、オーストラリア育ちの彼は多くを経験していないのをいつも不憫に感じていますから。
クアラルンプールにはどんどん和食店も増えていて有名どころも多いのに、どうして我が家はマイナーで誰のブログにも話題にも出てこないような【創おまかせダイニング@Gardens Mall 】に行くのか。
ま、他の店を知らないというのもあるし、外食が少ない我が家ですから「食べ歩き」「美味しい店探し」もしないのね。かつてはやっていたことがあるんですが、なかなか「我が家に合う店」って見つけられないし、「ハズレ」も多いのね。そして「良い店は我が家には高すぎる」のね。そして我が家は、和食は「トラディショナル」「オーセンティック」と言っても良いような店が好きで、近年、増えている「フュージョン」的な店は好きじゃないんですよ。「おしゃれなお店」にも全く興味がないし、場違いだと思うくらい。(笑)
そういう意味で【創おまかせダイニング@Gardens Mall 】って、「昭和の老舗日本料理屋」みたいにひたすら「基本に忠実」で「全く手抜きがなく」「奇をてらった料理」もないのね。いわゆる「職人がしっかりしている」感じが強くて、また店主や職人が前面に出てくること無く、あくまで「裏方に徹する」ような店。
だから「おまかせ料理」が嫌いな我が家でも安心して行けるのね。ただ常連となって板さんとも親しい関係にはなるような店じゃない。でも「日本からのお客」が来ても安心して連れて行ける店。
ところが、「こんな暇な店、見たことがない」くらいに客が来ない店でもある。半端じゃなく暇な店。
この数年、私達が行くときに「他の客」は多くて2組しか見たことがない。今回はカップルが一組いただけ。これほど暇で、ミッドバレーはガーデンズの良い場所にあって「店のレントも高いであろう」に、閉店しないのが不思議なくらい。でも店は結構大きくて、個室も4つぐらいあって、全体で60人は入れるような店。もしかしたら、「ランチ時」はそこそこ客が入るのかもしれない。でも私達はランチでは行ったことがない。
そういう暇な店って「仕入れに問題が出る」のが当たり前ですよね。下手すりゃ、客が一組もない日もあるんじゃないかと思うくらい暇な店ですから。でもスタッフはフロアーに4人。裏方も4,5人いるのがパッと見てわかる。そんなに人数が必要?と思うくらい、暇な店。
ところがですね、正直なところ「毎年、食材のレベルは下がっている」にしても、一つ一つの料理は「我が家にとっては完璧」なんですよ。そういう意味でも、私達はこういう店を他に知らないのね。
料理のコースは4つぐらいしか無くて、それも何年も前から同じで、そして「アラカルト」で頼める料理は「無いに等しい」。だから「お寿司を追加」とか、「他のコースで出る料理を追加」することしかできない。またかつてはお刺身やお寿司の種類はそこそこあって、寿司好きの私としては「追加のお寿司」も必ず頼んでいたのが、最近は、「コースで出た同じ寿司を追加注文するしかない」ようになってしまって、あまり嬉しくない。
ただし「ヒラメのエンガワ(本物)」や「マグロの大トロにも種類がある」とか、「カンパチの腹の部分」とか、そういう「部位の違い」は楽しめて、そしてそれは「コースの種類」によっても出てくるお寿司やお刺身にも違いがある。こういう「違う魚」ではなくて、「同じ魚でも部位で差をつける」というのも珍しい店だと思うし、マグロの大トロでも「大トロの中の大トロである【筋剥がし】」があったり、「通」の人でも楽しめるようになっているのは、仕入れの種類が減っているにしても大した店だと思うんですよ。「大トロの違いを楽しめる店」って私は他に知らない。
ヨメさんは九州の山育ちで「生魚はあまり食べない(貝類は好き)」のだけれど、「私でもお刺身を食べたいと思った」という。
今回は料理の写真を取ろうと思ったら「ちょうどスマホが電池切れでアウト」になったのが本当に残念です。上に書いたことを画像で説明できない。
撮れた写真はこれだけ。(笑)
最初に出てきた先付の「枝豆豆腐」。枝豆をすり下ろして「葛粉」で固め、「昆布出汁ジェル」「イクラ」「ウニ」とワサビを乗せたもので、これがまず半端じゃなく美味しくて、一番最初に「大きなインパクト」があるのね。こういうところがこの店の良いところだと思う。
それと意外や意外、ヨメさんも私も驚いたのが、途中の椀物で出てきた「お吸い物」。ただのワカメと白身の魚(多分スズキ)が入っているだけのもので、見た目は「あれ?」なんて思うのだけれど、これの美味しさにまずヨメさんが驚いた。私にはこういうのは絶対に作れないと。
確かにシンプルではあるけれど、それだけに食べる人にインパクトを与えるのは難しい料理で、まず「出汁が美味しい」のね。家で作るとしたらどうしてもこれに「塩、醤油」をもうちょっとは入れちゃうけれど、それとは違って非常に淡白だけど、美味しいのね。
もしも私が作ったら「乾燥ワカメ」を直接入れちゃうから、ワカメの味になっちゃう。そもそも「出汁をちゃんと取る」なんてことはしない。(笑)
息子が写真を撮っていた。この写真からは感動は一切伝わらないはず。
それと「小鉢」も本当にちょっとの量だけれど、「トラフグの白子」があったのには驚き。フグは好きなヨメさんが、このレベルの白子ってそうそう食べられないと言っていた。
この写真も息子が撮ったもの。(箸はダイソーで売っている箸で、我が家もそれを使っていることは内緒にするべきか? 笑)
トラフグの白子の良さなんて全くわからない私が嬉しかったのは「小さなサザエ」で、ほんの一口分しかないけれど、サザエ好きの私も納得できる、ちょっと苦みのある美味しさ。懐かしさがこみ上げて来ました。
コースはヨメさんと息子が「アワビコース」で、私は「キングクラブ(タラバガニ)コース」だったのだけれど、ヨメさんのアワビは「刺し身」で、息子は「バター焼き」。
このアワビも小さくて、今どき韓国や中国で大々的に養殖してマレーシアでも安く手に入るものだと思うけれど、美味しいとアワビ好きのヨメさんはニッコリ。息子のバター焼きは「キモバター」で焼いてあったらしくて、これまた美味しいと喜んでいた。
前回と同じなので、前回の写真を出します。
私のタラバガニも前回と同じだったのだけれど、私はそもそもカニ好きだけれどタラバガニは大味で好きじゃないものの「前回は美味しいと思った」から今回もそれにしたのだけれど、「普通かな~~?」みたいな感じ。でもタラバガニ特有のパサパサした感じなんて全く無くて、美味しい部類だとは思う。
これも前回の写真。ほぼ今回も同じ。
またコースの中の「メイン料理」は「魚」を選んだのだけれど、前回は「マグロのカマ」だったのが今回は(ちょっと寂しい)「銀鱈の西京焼き」。マレーシアでは美味しい銀鱈(実はメロ=銀ムツ=マゼランアイナメ)の入手も難しく(Wmartで売っているGLACIER 51 TOOTHFISH=CODはちょっと高いけれど、きっちり血抜きされていて結構美味しい)、西京焼きもマレーシアに来てから初めて食べたし、美味しかったからまぁまぁ嬉しかった。
ヨメさんと息子のメイン料理は「和牛」だったけれど、二人共、感想を言うことはなかった。でも「イマイチだった」ということではない様子。
ま、そんなこんなで全てが最高ということはないにしても、「手抜き」なんてのは全く無い店で、お金をきっちり掛けることも出来なくて、仕入れが難しい中で「職人は出来る限りのことをしている」のがしっかり伝わる店なのね。いわゆる「伝統的な和食料理店」という感じで、こういう店って本当に珍しいと思う。
だから我が家はこの店が好き。職人の「真面目さ」がダイレクトで伝わってくる。
この店の食材は毎年「レベルが下がっている」のははっきりわかるのだけれど、「価格は変わっていない」のね。「価格は上がっても良いものを食べたい客もいる」とは思うけれど、我が家としては「何年も価格が変わっていない」のは嬉しい。
でもお会計は2300リンギット超えで(約8万円)、3人での食事としては今までで一番高かった。でもそれはヨメさんが日本酒の価格を見ずに、オススメを頼んでしまったからなのが後でわかった。日本酒1本(780ml)600リンギですと(コースより高い2万円超え)。我が家はそんな高い日本酒を外食で頼むような家じゃないけれど、それでも美味しいと思う日本酒じゃなかったのが「惟一の残念なところ」といえると思う。
帰りに「やっぱり【創おまかせダイニング@Gardens Mall 】は良いね。また来よう」と皆で話したのは重要なところ。「職人の一途な真面目さ」が我が家には一番のご馳走です。ここマレーシアでは「素材の良さ、美味しさ」よりもその方が貴重だと思っている我が家。またオーストラリア育ちで日本を良く知らない長男に取っても「日本の伝統的な和食とはなんなのか」「私達が守ってきたもの」を知る良い機会だと思っています。
私達日本人が何を大事にしてきたのかがわかる店だと思う。
きっとクアラルンプールにはこの店より美味しい店はいくらでもあると思う。でも多くのその手の店は「コース料金」を見ただけで、私はビビってしまうわけです(笑)。そんな店に行って、好きに追加注文をしてガブガブお酒を飲んで、税金プラスサービス料を払ったら、とんでもない額になるのはわかりきったこと。
また我が家はそういう良い店の「良い店でしょ?」と言わんばかりの板前さんやオーナーの「ドヤ顔」も、いかにも高級に見えるような店の作り、雰囲気も好きじゃないのね。たとえそれが「今どきの店」だとしても、それは私達日本人が守ってきた日本の伝統、文化とかけ離れていると感じるから。
そういう意味でも、この店は「我が家に合っている」と思っているわけです。今回の「高いお酒」を頼んだのは失敗ではありましたが。(笑)
SOU OMAKASE DINING…