私が牛肉（どの部位でも）を使ってシチューや煮込みを作る時、いつの頃からか必ず「自分でスープストックを作る」ようになりました。
それまでは市販のスープストック。それも牛のを使うのはまれで、鶏のスープストックを汎用型として使っていた。その前は「スープの素」と書きたい所なんですが、料理（と洗濯とテレビと酒）だけが趣味のヨメさんは「オマケとしては【素系】を使う」ことがありますが、それだけでスープストックの代りにするということはしない。だから私も右へ倣え。（笑）
でも実際に本格的なものを作ってみたいと思って作っていると、ちゃんとストックを取るとまるで出来上がりが違うのがわかるようになるんですね。和食で言えばオデンの出汁をちゃんと作るか「オデンの素」を使うかでは天と地の差があるのは多くの人が知っている通り。（私がオデンを作るときには「オデンの素」を使いますが 笑）
ベトナムのフォー作りに凝った時に、大事なのはスープであるのがわかって、ここで手を抜くと全然駄目なのね。でも骨やら肉の塊を入れて「スープだけを作る」ってのに貧乏性の私はどうしても抵抗があります。これは洋食も同じで、フランス料理もどきを作ってみたいと思って色々調べると、基本の「ストック」からかなり手を掛けて、金も掛けるのがわかってびっくり。
デミグラスソースなんて簡単に作れるのかと思ったら、２－３日掛けて、金も掛けて作るのね。でもそんなレベルのことをやっても素人のお遊びでは意味がないわけで、ま、適当に手抜きをして作るわけです。
で、自己流でやっているうちに、これって凄いんじゃないかと思ったのが「クズ肉」なんですよ。ビレッジグローサーでもB.I.G.でも「スープ用」としてメチャ安で売っている。これって煮込むと味は出るし、腱やスジもはいっているからゼラチンもばっちり。
これをケチらずに大量に使うとかなり良い基本のスープが出来上がる。（市販のスープストックを買うよりコストは安い）（チキンも同様）
本来はこのスープを取った肉は「捨てる」のがかつてのフランス料理で、窓からそれを投げると「使用人」がそれを拾って彼らの料理に使ったなんて逸話を聞いてびっくりしたもんですが、実際にそれは捨てずに食べるとかなり美味しいんですよね。
私は江戸っ子ですので「スジ肉」ってのを知りませんでした。今では関東でも広がっているようですが、私は肉屋で見たことさえありませんでした。でも関西では当たり前の食材で、オデンにも必ず入れるとのこと。
これの美味しさは私にもよくわかるわけで、あのトロンとしたゼラチン質が良いと思う。
ま、そんなのがわかってから、「アキレス腱」とか「スジ肉」を私も使うようになりました。
さて、マレーシアではどうか。
残念ながらスジ肉らしいスジ肉は見たことがなくて、でもいつも書いている「クズ肉」（この表現が悪いのはわかっています）を多用してきました。そしてスープを取った抜け殻も美味しく食べられるのがわかった。
でもやっぱりあれはスジ肉じゃないんですね。
アキレス腱（Tendon）はNSKで売っているのがわかりましたし、煮込み用の骨もスーパーの冷凍庫を探すと大体見つかるのもわかった。
でもスジ肉がない、なんてずーっと思っていたんですよ。
ところがですね、あのLot10の伊勢丹の地下にある肉屋、田丸屋っていうんですが、あそこに「立派な（笑）スジ肉」がうっていました。
いわゆるあの色の白い「腱」とか「スジ」がしっかりついている肉。値段は限りなくゼロに近いような値段。
この前行った時に、買おうかどうか悩んだんですよ。でもあのLot10で「一番安い半端な肉だけ」を買うのがなんだか恥ずかしくて・・・。
あそこに並んでいる様々な肉はあそこに行くまでもなくビレッジグローサー、B.I.G.、あるいはバンサショッピングセンター（B.I.G.の肉屋と同じ経営）に行けば買えると思うのですが、あの「スジ肉」だけはどこにもない。見たことさえない。
久しぶりに残っている最後の「牛の頬肉」を使ってシチューを作ろうと思ったのですが、いつものクズ肉ではなくてあの「スジ肉」を使ってみたくてウズウズしています。
ま、頬肉はゼラチンが半端じゃないですからスジ肉を使う必要もないんですが、あのスジ肉の歯ごたえ・・あれがどうしても欲しい。
欲しいと思うと我慢ができない性格ですが、往復９０分以上かけてLot１０に行き、数百円の買い物だけしてくる自分ってやっぱりどこかおかしいような気もするわけです。^^;
でもあのスジ肉、絶対に美味しいと思う。ましてや良い牛肉のスジ肉でしょうし。スジだけの煮込みも絶品じゃなかろうか。
明日でも行ってあるだけ買い占めてこようか・・。１０００円もしないだろうけど・・。
