マレーシアのスーパーではどこでも売っている安い魚の代名詞でもある「Basa(Dory=ナマズ)」ですが、私も息子も結構好きなんですよ。
淡水魚臭さはあるものの基本的には「癖のない白身」でどんな料理にでも合うし、冷凍物ですが1キロ10リンギ(約300円)というとんでもなくコスパの良い魚。ナマズというと「ええ~?」と思う人も多いと思うけれど、もしかしたらこの魚が世界で一番流通している魚かもしれない。日本でも給食、お弁当、定食屋でよく使われているし、オーストラリアでもフィッシュアンドチップスでは売れ筋。
この魚は我が家ではフライにすることが多いし、バターソテーも良いし、シーフードミックスの一つとして使うのもありだし、鍋に入れるも良し。また私はこれをベースト状のすり身にして揚げかまぼこ、さつま揚げにすることもある。
そしてメチャクチャ安いとなれば何も問題が無いように思うわけですが・・・・。
基本的にこの魚は冷凍で流通していますが、解凍すると「ベチョベチョで身が柔らかい」のが多いのね。
このベチョベチョってマレーシアに入ってくるBasa(Dory)は特に酷いようで、オーストラリアでよく食べたものとはちと違うんですよ。オーストラリアでは冷凍状態で売っているのと同じ様に、「解凍されたものが切り身として並べて売られている」のですが、こんなベチャベチャなのは見たことがない。
マレーシアのBasa(Dory)は、解凍したら気をつけて触れないとすぐに崩れてしまうほどグチャグチャなのが多い。
やっぱりとんでもなく安い魚だけれど、当然、グレードはいろいろあってその中でも安いものがマレーシアに多く入っているのだろうと思ったり。
でも探すと「身がしっかりしているもの」もあるのね。
今回、B.I.G.で買ったのはこれ。
このパッケージの物は初めて見たような気がしますが、やっぱりベチャベチャなんてもんじゃありませんでした。
この魚は冷凍する時に「グレージング」という【水と共に氷結させて、酸化などを防ぐ】処理がされているのが普通。10%とか20%とか表記してあるものがありますが、これは一緒に凍結させた水分量なのね。だから解凍すると水分がごっそり出てくる。
でも水分が多いだけじゃなくて「身もベチャベチャ」なんですよ。本当に、触るとすぐ崩れるぐらいのもある。
で、今回のBasa(Dory)もまさにそれで、二度と買いたくないレベルでした。
でもたまに「身がしっかりしているもの」もあるのね。でもバッケージを見て判断するのはほぼ不可能じゃないかなぁ。だからいろいろ買ってみて、良いのに出会ったらそのメーカーとか、買った店を覚えておかないとならない。
私が今までに買ってベストだったのは「ジャヤグローサー」で買った冷凍物。結構大きめのフィレで「一枚入り」だったと思う。普通は2-3枚入っている。
またWmartで買ったものもまぁまぁ。下の画像をクリックすると販売サイトに飛びます。
出来れば近年のトレンドである「切り身の真空パック」があれば良いのだけど、見たことはなし。
もしグレードがAAとかの表記があってちょっと高いものは良いかもしれない。
ただワンモントキアラのビレッジグローサーで「解凍されたフィレ」を買ったことがあります。ベチャベチャではなくて普通の魚のフィレみたいなんですが、価格がハンパじゃないのね。3年前ですがこれを買ってみました。当時の価格でキロ59.9リンギで普通に売っている冷凍物の6倍です。
でも6倍の価格であってもこのフィレ自体は11.74リンギ(350円)で、驚くほど高いわけじゃないですからこれを買う客もいるんでしょうね。でも数メートル離れた冷凍庫にはこれの6分の1の価格で冷凍物が売られている。
身はしっかりしていますが、逆に水分が少なくぱさついた食感でした。これがこの魚の難しいところなんでしょうね。
マレーシアの唯一の親友で亡くなってしまった大西氏はこんなことを言っていました。
ドリーを職業柄試食する事がありましたが、
本当にピン切りでした
身の厚さ、大きさ、水分含有量、冷凍の場合は身と氷の割合
高いものは美味しいし、安い物は解凍したら身がほとんどなかった(;^_^)
みたいな。味もすっきりしたものや泥臭い物でした。
Domeというカフェがマレーシアにはあちこちにありますが、そこでフィッシュアンドチップスを食べた時に、その魚はBasa(Dory)だった(はず)んですよ。でもそれは身がしっかりしていて、ああ、オーストラリアのBasaと同じだと思ったことがありました。本当に、「これ、どこから仕入れているんですか?」って聞きたいくらいでした。
だから良いものがあることはあるのね。ただそれと出会うことは簡単ではないということ。
今回、B.I.G.で買った最高にベチャベチャのBasa(Dory)ですが、フライも面倒なので、小麦粉をまぶしてバターソテーで食べました。(近年、美味しさを知ったフランスの発酵バターを使うとこんなソテー、トーストでも美味しくなる 笑)
ランチで食べたから良いようなもの、このBasa(Dory)が夕飯だったらかなりストレスが溜まると思いました。素材が駄目。
どこかで身がしっかりして美味しいものを売っているはずなんですが・・・。
良いものなら価格が二倍でも良いと思うんですよ。それでも1キロ20リンギ(600円)という激安ですから。
「Kanika」というブランドの冷凍物を見ることが結構ありますよね。かなり多くの種類を出している。あのメーカーの冷凍物って結構良い値がするのだけれど、若干、品質は高いような気がするんですよ。
このマークに見覚えがある方は多いはず。
このKanikaがPremium GradeのDoryを売っているのをネットで見つけました。(クリックするとそのサイトに飛びます)
1キロで18リンギですから、安いBasa(Dory)に比べると1.8倍の価格。
ここに書いてあるうんちくですが、
Dory Fillet Premium Grade 1kg(+-)
Kanika Dory Fillet Premium Grade is a variation of dory fish product selected by Kanika that is kept frozen and it has a great texture which promises good quality and taste. There are generally 3 grades of dory fillet (quality and taste), the better grade of dory fillet is creamy and slightly pinkish in appearance.
Basa(Dory)には3種類あって品質と味が違うと。そして良いグレードのものはクリーミーで色がピンクがかっていると。
確かに言われてみると、ピンクっぽい色のBasa(Dory)って何度も見たことがある。
これを買ってみましょうかね。
KanikaはBtoB、つまりレストラン向けのオンラインサイトも持っていて、そこでも同じものを「これは良いものだ」として売っていました。2.5キロパックの4つ詰めで10キロ単位で売っている。(ここ)
このBasa(Dory)を買って、それでも駄目だったらもう諦めたほうが良いかもですね。
このブログの読者には健康志向が強い方もいらっしゃると思いますので書いておきますが、このBasa=Doryという魚はメコン川で多くが養殖されていて、「非常に危険な養殖魚」として語られることが多い魚です。これはこの魚に限りませんが、「大きく早く、丈夫に育てる」ために【ホルモン剤、抗生物質】などの危険な薬品が多く使われていると言われています。
全てが全てそうではないのはどこの国も同じですが、「国がちゃんと管理している」ならそこそこ安心ですが、ベトナムはどうなんでしょうか。また輸入国も厳しければ生産者もその辺は考えるし、輸入商も安全な魚、基準をパスできる生産者を選ぶはずですが、私はマレーシアをその点、全く信用していないんですよ。
またマレーシアの市場に出ている魚ですが「養殖魚」って結構多いのね。さてどこでどんな風に養殖されているんでしょうか。
これは鶏や卵、豚も同じ。野菜も同じ。
生産者と近いマーケットで売っている生鮮食品ですが、ちゃんと安全管理はなされているんでしょうか。「マーケットで買うと安くて新鮮で美味しい」という人は多いですが、食の安全性に関してはどうなんでしょうか。
これは前にも書きましたが、生卵も同じで、「この卵は生食が可能です」という卵が何種類か売られていますが、その生産者のサイトを調べても「なぜ生食が可能なのかの理由」を私は見たことがありません。ただ、検査を受けてサルモネラ菌が基準値以下という証明書などを見たことがありますが、本当に安全なのかは疑問。
なんだか「言ったもん勝ち」みたいな気がしてなりません。
マレーシアって食の安全はどうなっているんでしょうか。
私は家庭菜園が趣味でオーストラリア在住時には結構多くの野菜を水耕栽培で育てていました。閉鎖空間で育てていた(地下室+人工光)のですが、それでも虫は付くんですね。病気にも罹る。
そこで農薬を使ってみたのですが、その時初めて、農薬って半端じゃなく効くのがわかりました。それも噴霧するタイプではなくて「溶液に混ぜる」タイプものものは本当に良く効きました。
農薬には様々な種類があって、使用禁止のものや使用量が厳しく制限されているものもありますが、かつて中国産の野菜などで問題が起きたように、そういう薬が目の前にあるのに「使わない選択をするのは簡単ではない」と思いました。利益に直結しますし、【見てもわからない】のね。それどころか病気にもかかっていない、虫も食っていない野菜はとんでもなく綺麗で美味しそうに見える。
これは豚、鶏、卵、魚でも同じでしょう。
私はもうジジーですからあまり気になりませんが、もし小さな子供を育てている最中だとしたら、私はかなり気をつけて食材を選びたいと思います。
そしてそういう考え方を持っている方だとすれば、今回の話のBasa=Doryは食べないほうが良いかもしれない。
でも同じ様な話がノルウェイでも出ていて、「ノルウェイ産養殖サーモンの危険性」を暴露するニュースや動画は探すといくらでも見つかります。そして当然、そこには生産者と政府との癒着があったり。
私個人の考え方としては、マレーシアに住む限り心配しても無駄のような気がするんですよ。食の安全性に関して調べてみても、販売店の生鮮食品の取り扱い方を見ても、私にはちゃんとやっているようには見えない。ただ消費者や生産者で積極的に「安全な食品を作り、食べよう」という動きがあるのはわかりますが、残念ながら法律や科学の裏付けがあるようにも見えない。素人集団が「頑張っています」みたいな。
「安全な鶏を育てています」と宣言する農場やそれを支持する消費者がいたり、そういうケースはいくつも見れるのですが、【裏付け】が見えないのね。でも本人たちは真面目にやっているようには見えますが、法律や科学的な裏付けがないものは私はそのまま受け入れようとは思わない。
でも「かつてのマレーシアよりは良い」ということだと思っています。でも私達、日本人が考える「安心安全とは違う」のではないか。安全安心は「そのつもりで一生懸命やっています」というのは基準にはならない。
野菜にしても鶏にしても「安心安全」を謳う生産者なのに「オーガニック認証を取っていない」とか。それってなんなんだと思うくらいです。まずはオーガニック認証を取るのが順序じゃないですかね。逆にオーガニック認証を取っている生産者のサイトを見ますと、いかにその認証を取るのが難しいか、どういう施設でどういう基準をパスし、どういう育て方をしているのかかなり詳しく書かれていたり。そして安全性をアピールするためにかなり多くの写真や動画を使って、消費者に【本物のオーガニック】を伝えようとしているのがわかる。
それそなわち、マレーシアでは安全安心を追求するのは簡単ではない。そして「マレーシアには安全安心を追求している【つもり】の業者が多い」という証拠だと思いました。
例えば【生で食べられます】という謳い文句の鶏卵の生産者のサイトを見てみたら良いと思います。
普通なら生産設備の写真もごっそりで、いかに気を使っているのかの説明、安全な証拠を並べるのが当たり前ですよね。ところがある有名な「生で食べられます」という鶏卵の生産者のサイトには、「生産場所も設備の写真も一枚もない」のに驚いたことがあります。普通なら綺麗な工場で洗浄しているシステムの写真を載せたり、清潔な作業服を着て働く人たちの写真とかあるじゃないですか。でもそのサイトにはそんな写真もなく、ただ「生で食べられます」と言っているだけ。
卵の黄身の色って「餌」でどうにでも作れるんですよね。鮭の身が赤いのはアスタキサンチンですが、アスタキサンチンが摂れるから鮭を食べようという人はいない。でも鶏にアスタキサンチン配合の餌を与えると「綺麗な色の黄身」になって、アスタキサンチン入りだと宣伝する。EPAもそう。そして消費者はそういう良いものが入っているから買おうとするんでしょうか。「黄身が綺麗な色」だと私も良い卵のような気がしてしまいますが・・。^^;
ああ、やっぱりここはマレーシアなんだなと思いました。
そういうことに気を使わない、「他人を簡単に信用する日本人」はすぐにその気になっちゃうのが面白いと思います。日本なら問題が起きれば罰則を含めた社会的制裁を受けますが、マレーシアってそもそも食中毒だって自己責任じゃないですか。どこかのお店で食中毒を出して営業停止処分を受けたなんて私は聞いたことがない。でも食中毒の経験者はごっそりいる。
「XXXXの卵は生で食べられる」という人がいたら、「どうしてそれがわかるの?」と聞いてみたら良いと思います。
実はあるブログで、「XXXの卵は生で食べられる」と絶賛していたんですよ。私はそれって「生産者がそう言っているだけ」だと思いますし、安全安心に興味があるのならもう少し慎重になるべきだと思ってコメントを書いたことがあります。
その返事が面白かった。「daboさん、そういう話しって女性は嫌うんですよ」とちょっと怒った口調のレスがつきました。(笑)
ここは東南アジア。発展途上国。
私たちはそれが何を意味するのかをしっかり考えた上で、食のことも考える必要があるはずで、宣伝文句を疑うこと無く信じてしまうとか、安さだけしか気にしないとか、それで良いとは私には思えません。そして【ホルモン剤、抗生物質】にしても様々な毒性が強い薬品も、「食品を見ても食べてもわからない」ことを忘れるべきじゃないと思います。そしてそれらは使えば使うほど「効く」わけで、生産者が何を考えるか想像してみることも大事だと思います。
でもそんな事を気にしていたらマレーシアでは生きていけませんよね。それは中国や韓国も同じでしょう。そして最近では「実は日本の農薬使用基準値はかなり甘い」というのが問題になっていますよね。規制は中国のほうが厳しい内容もあるとのこと。でもそれを皆が守っているのかどうかはまた別の話。
今の時代、ワクチンじゃコロナじゃにしても、ツイッターを含めて多くの情報が出回ることには気を使っても、情報が出回っていないものには気にしないなんて笑い話でしか無いと思います。
気になる方は、ちょっと「食の安全」を念頭に置いてマレーシアの実情を調べてみたら面白いと思います。
ま、「知らぬが仏」だとは思いますが・・・。