マレーシアで知ったアワビの話

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「貴方、顔が引きつってるわよ。」
「え?あ、そうか・・・・・・」

ここからが今日のお話。マレーシアで知った鮑の話です。まずは次の写真を見てください。クリックすると大きくなります。鮑料理が売り物の中華料理屋のメニューです。一番上の値段。5680リンギット。これに10%のサービスチャージと5%の税金がかかりますから、ざっと計算して日本円で22万円です。
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うちの嫁の好物と言えば鮑。
「何を食べたい?」
「鮑。」
「鮑以外では?」
「そうねぇ、鮑ね。」
というくらいの鮑大好きオバサン。

8月のマレーシア初旅行はマレーシアへ渡ることに難色を示している嫁におべっかを使う旅行でもありました。彼女がどうにかその気になってくれないと非常に困るわけです。ですので飛行機からホテル、食事、買い物まで全て今までで経験したことの無いような豪華版で行こうと決めていました。そしてマレーシアへ渡ってから気がついたことなのですが、夫婦二人で旅行というのは実は新婚旅行以来初めてであったことがわかったのです。ということは益々ケチなことは言えない旅行になってしまいました。

で、鮑ですが、嫁は鮑が大好物。ところが鮑が具として入っている料理は何度も食べたことがありますが、鮑だけ真ん中にドカンと居座るあの中華料理(名前は知らない)は結婚してからもきっと2,3回しか食べてないはず。二人でそれぞれがその鮑料理を頼んだことは一度も無く、私はいつも嫁のおこぼれを頂戴するだけでした。で、今回のマレーシア旅行では物価が安いと言われるマレーシアですから、普段滅多に食べられない料理でも安く食べられるだろうと期待していました。そして今回は特別な旅行ですから、鮑好きな嫁に好きなだけ食べさせてやろうと考えていたのです。

まずはマレーシア到着日に早速泊まったマンダリンオリエンタルの中の中華へ直行。北京ダックの話は前に書いたとおりですが、ここで待ちに待った鮑を注文しました。確か一種類しかなかった記憶がありますが、それがその写真。大きさはかなり小振りだなぁ、という感じでしたが、嫁は大喜びでした。

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私もおこぼれを頂戴しましたが、美味しかった~~~~~。値段は確か199++で、決して安いとは思いませんでしたが、私はすでに諦めモードに入っていましたので、おこぼれをもらっただけで嬉しかったです。

その後考えることは、マンダリンホテルの中でこれですから、街中へ出てもっと美味しい店、もっともっと安い店が絶対にあるはずで、それをどうにか探そうと思うのは誰しも同じだと思います。ところがその辺に関する情報は皆無で、行き当たりばったりでやるしかないだろうと考えていました。

そんなある日、一人でKLCC近辺を歩いている時にある一件の中華料理屋を見つけました。KLCCの隣のビルにある店で、規模はかなり大きいですが、庶民的な感じを受けました。そして店の名前ではなくて会社名に鮑という文字が入っており、店の入り口には干した鮑が山のように積まれていました。これはどう見ても、鮑が売りの店、専門店だろうと思うわけで、部屋に帰った私は嫁にそれを報告。

次の日、期待に胸を含ませた我々鮑探検隊はその店に行きました。で、バカな私はウエイトレスに

「今日は鮑を食べに来たんですよ~~」

なんて余計な事を言ってしまった。でそのウェイトレスが見せてくれたメニューが一番上の写真です。

自分の目を疑いました。なんで鮑が20万以上もするんだ?

これってまさか大皿に鮑が何個も入ってくるってこと?

一個で良いんだけど、それはどれだろうと目を下の方に移していくと値段は段々安くなっているものの、値段の横には「毎只each」と書いてある。これはどう考えても一個の値段。でもそんな値段なはずはないとメニューとにらめっこしていたら、左側には6PPCとか8PPCとか書いてあり、その数字が大きくなるほど値段が安い。全く意味がわからず。

この数字は大きさを表す数字で6個で一斤。8個で一斤とかの意味であろうと気がつくのにかなりの時間がかかりました。つまりやっぱりこの値段は一個の値段。

嫁に最高の物を食べさせてやりたいと思ったものの、到底こんな値段は払えるわけがありません。

嫁に「ひきつってるわよ」と言われたのと同時に、それをウエイトレスも気がついたのでしょう。安い鮑は次のページにありますと教えてくれた。で、ページをめくるとこれまた鮑、鮑の連続。値段も様々。一体どれを頼んだらいいのかさっぱりわからず、メニューとにらめっこをしていた私にウエイトレスが言った。

「フレッシュの鮑をお奨めします」と。

フレッシュって生か?

教えられたメニューには鮮という文字があった。しかし、生の鮑料理は全く違う料理だし、それで妥協するのは悔しかった。でも値段を見たらそれしか選ぶことは出来ないので、ここで我々は全面降伏。

ところがメニューにはグラムいくらという表示。日本産、オーストラリア産、アフリカ産もあったかな。で、我々はその中でも一番安いメキシコ産を選んだ。これは全面降伏というより玉砕という方が正しいと思った。

ウエイトレスが鮑はそれぞれ重さが違いますので、持ってきますのでその中から選んでくださいと言い、3つの鮑を持ってきた。

あれ~~~~、これフレッシュ、ちゃうやん!(なぜか関西弁)

皿の上に乗っていたのはいわゆる活鮑じゃなくて裸にされた水煮の鮑。

鮑の水煮の缶詰ってオーストラリアでも売ってる。活物に比べたら値段は数分の1。

オーストラリアから来て、オーストラリア産より安いメキシコ産を選ぶしかない私は段々と惨めな気持ちになってきたので、開き直ってその中でも大きな物を選ぶことにしました。メキシコ産の水煮鮑なのに、値段は350++程度。全面降伏の後の玉砕、それでもまだ痛めつける?と気持ちとしては半泣き状態。

しかし~~~~~~~~~~~~~~~。

調理されて出てきたものはかなりの大きさで、美味しかった~~~。でもマンダリンオリエンタルの方が美味しかったね、と小声で話をしたものの、大満足。

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さて、ホテルに帰ってから私の腹の虫が治まりません。一体全体あの鮑の値段、フレッシュと言って水煮を持ってきたのは一体なんなのかどうしても知りたいと思ったわけです。で、ホテルの部屋でインターネットで鮑料理の調査開始。

で、わかったことは、ファミリー向けな感じを受けた店は、なんと香港に本店がある、鮑料理では超有名な富臨酒家(当然我々はそんなことは知らない)。オーナーは鮑大王と呼ばれ鮑料理に人生を賭けた人。その店の売りは厳選された干し鮑。また一番上の写真のメニューを見てください。一番上に

AMIDORI,YOSHIHAMA,OMA.ABALONE

と書いてある。これは日本の岩手県産の吉浜鮑、青森県産の大間鮑のことであるのがわかった。AMIDORIというのはわからなかったけれど、この鮑大王と呼ばれるオーナーはこの日本産の3種の鮑しか使わないということらしい。そしてー

香港でも一番高い店だとのこと。こわ~~~~~。

なんと、香港では日本円で3万くらいから最高級の物は60万円だとのこと。60万!!!

60万もするたった一個の鮑を食べるなんて想像もできないけれど、まぁ、ぶったまげました。

またフレッシュと言ったのに水煮が出てきたことに関しては、本来この鮑料理は乾燥鮑を使うわけですが、その「乾燥」という言葉に対して水煮を「鮮」と呼ぶらしく、決して生の鮑を使うことは無いとのこと。なるほどぉ。

そして、干し鮑そのものが怖ろしい値段の様で、考えてみるとホタテも最近は生のホタテがめちゃ安くなったけれど乾燥ホタテはそうそう買える値段じゃないのと同じ事だろうと、納得。乾燥鮑は乾燥させるのに数ヶ月。その後数年寝かした物を使うとのこと。ほんとかいな。

結局、マレーシアで安く食べられると思ったものの、乾燥鮑は世界で流通する商品なわけで、マレーシアだからといって安いはずがないとこの時になって気がつきました。マレーシアなら金が3分の1で買えるなんてことが無いのと同じこと。当たり前ですよねぇ。

でもま、普段でもなかなか手が出ない鮑ですが、この話から益々遠い存在になってしまったような気がします。

きっと今まで我々が喜んで食べていたものは水煮鮑。マンダリンオリエンタルで食べたのも水煮鮑。きっと本物の乾燥鮑を使ったこの鮑料理は、我々夫婦は未だかつて食べたことが無いのだろうと思いました。そしてきっと、今後も食べることは無いだろうと思った。

その後も我が鮑探検隊はマレーシアの鮑料理との出会いを探し続けたわけですが、KLにある客家レストランでもしつこく勧めるジョーという名のマネージャーみたいなおっさんの口車に乗り、トコブシを頼んでみました。出てきたのは次の写真の右端の料理。

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これマジでトコブシ?

形を見てもどうも鮑系の形には見えませんでした。でも食べてみると鮑の味。歯ごたえも鮑。その時、ハタと思い出したことがあります。もうかなり前から日本では鮑の代用品の貝があって、それが回転寿司などで随分出回っていると。南米産とかだったかなぁ。でもそれは鮑系の貝ではなくてツブ貝のような巻き貝であるというのも思い出しました。

これってもしかして巻き貝じゃない?

よくよく見るとそんな感じがしてきたのです。で、これはきっとトコブシではないと我らが鮑探検隊、総勢2名の意見はまとまりました。食べながらの話の中でトコブシとか鮑とかいう言葉を使うのに気が引けましたので、我々はこれは

「アフリカマイマイ」と名付けることにしました。

実際にはアフリカマイマイは巨大なでんでん虫ですが、まぁ、そんなのを食べた感じでした。でも本当にこれはトコブシであるかもわからず、事実は闇の中。

ペナンでも鮑との遭遇を試みました。

バリハイレストランという、今まで見たこともないくらいの多くの水槽に、それこそ世界中からの海産物がそろえてある海鮮レストラン。そこで見つけた活鮑ですが、青森産とオーストラリア産。値段は当然オーストラリア産の方が安く、我々はそれを注文。

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オーストラリアから来てオーストラリア産鮑を食べる心境ってわかります?日本からマレーシアへ渡って日本食を食べるのとはちょっと違う。日本からマレーシアへ行って、おみやげに日本酒を買ってくる感じでしょうか。って実はホントに日本酒(上善如水)をおみやげに買ってゴールドコーストに持って帰りました。

この時の料理はいわゆるスチームポット、鍋でした。鮑が薄くスライスされて出てきたものをしゃぶしゃぶ感覚で食べる料理。700グラムぐらいの鮑で結構大きかったのですが、我々鮑探検隊はほとんどしゃぶしゃぶすることなく、そのまま醤油とワサビで食べました。簡単に完食!刺身なら、この切り方って悲しいんですよね。今度食べる機会があったら、鍋じゃなくて、ぶつ切りを頼んだ方が良いかと思いました。

この鮑しゃぶしゃぶはゴールドコーストの中華料理屋でも普通にある料理なのですが、輸入品であるオーストラリア産鮑なのに、値段はペナンのこの店の方が安かったです。マレーシアの物価の安さ、賃金の安さの勝利!

かつて私たちがゴールドコーストへ来た17年前。アワビも安かったんですよ。1キロ1800円ぐらい。大きいのが二個。1個でも一人で食べきれない大きさなのに900円程度だったんですから。バーベキューパーティーの時には残酷焼きとか、あと酒蒸しとかにして結構普通に食べていました。でもその後どんどん値段が上がって、今じゃとうてい買える値段じゃなくなっちゃいました。たまにアワビと遭遇しても横目でちらっと見て終わり。

ということで、これにて我が鮑探検隊の報告は終わりであると共に、きっともう二度とこの探検隊は結成されることはないだろうと思います。だって、マレーシアに渡ったら美味しくて安い物がいろいろあるのに、こういう物を食べるのがいかに馬鹿げているかというのが短期間の旅行者にもわかるんですから。

と言いつつ、私の本当の好物はフカヒレでして、フカヒレ探検隊のレポートは気が向いたら載せます。

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