個人資産が日本脱出

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2012年5月7日。テレビ東京。未来世紀ジバング。「日本の個人資産はどこへ行く?」

日本の将来に夢を描けないどころか危険を感じる人たちは少なくなくて、自己防衛のために自分の資産を海外に移す人たちが増えている。この番組はそれに焦点を当て、どこへどういうふうに資産が流れているのか、それをリポートした番組。

マレーシア不動産購入ツアー、ハワイでコンドを買う若者、HSBCに口座を作るビジネスマン達など。

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こういうのを見て焦りを感じる人もいるんでしょうね。また自分が考えていることに間違いが無いと確信する人もいるんでしょう。

でも私としては、なんというのかなぁ、話半分に聞いておいたほうがいいように感じました。これは今の時代だけに起きている現象ではないのは、「海外と日本」を個人として「資産運用」「資産保全」の観点に立って30年以上ウォッチングしてきた、そして自分もそれを実行してきた私としては、長い間に何度も波のようにやってくるひとつのトレンドぐらいにしか感じません。

その時代その時代、みんな真剣に考えているのは間違いがないのですが、この辺の説明は難しいのですが、予想と現実の乖離や、夢は夢で終わってしまうみたいな、これってもしかしたらこの番組がそうであるようにひとつの事象を大げさに取り上げる弊害があるのかもしれず、まぁ、計画通りにうまくいったケースって長い目で見ていると意外に少ないんじゃないかと思っています。でもいつの時代も、「今、行動を起こすべきだ」と皆が声をそろえて言うんですね。ここが非常に面白いところです。

また、未曾有の借金を抱えた日本政府ですが、はたしてこのまま行けば本当に破綻するのかどうか。これは素人の頭で考えると、あるいは個人の家計に置き換えて考えてみるとこのままでよいわけが無い、必ずいつか破綻すると100%以上の確信を持って間違いないと思うわけですが、果たして国家もそうなのかどうか。私はここにズレがあるような気がして仕方が無いのです。

この答えはなぜ円高になるのか、どうして円が買われるのかというところにも隠されていると思っていて、でも私としては円高の理由をはっきり理解することはできないものの、もしかしたら今の状態こそが「円のあるべき姿」であって、決して円高ではないと思う部分もあるのです。

過去においては確かに輸出立国だったし、トヨタやソニーが円高1円で何百億円損するとニュースに出れば、円高は日本国全体の大問題のような気がしますが、実態は輸出立国ではなく世界的にも輸出の比率はかなり低い国になっている。アメリカを輸出立国の国とは思う人は少ないと思うのですが、実はアメリカと日本の輸出依存度はほとんど一緒の18%程度。ドイツは30%を超え、韓国は50%を越えている。その他、シンガポールやマレーシアも間違いなく輸出立国といって良い依存度ですが、そういう国々と比べると、日本って輸出が多いの?みたいな感じを受ける数値でしかないんですね。

貿易赤字が出れば大変だと騒ぎますが、所得収支では年間12兆円程度の収入があってトータルではプラス維持。世界に持つ債権も260兆を超えるそうで、こういう国は他にないとのこと。つまりマイナスばかり大げさに取り上げられていて、このままでは大変だと煽る勢力の存在を感じるわけです。その先頭に立っているのが財務省なのでしょう。

円高で大変な大企業は目立つ。ところが円高で恩恵を受けている企業の方がはるかにおおいけれどそれらは目立たない。私はここが大きなポイントだと思っています。つまり、今の日本は円安になると困るのが実態のはず。ましてや化石燃料を大量に輸入するようになったので円安はボディーブローのように利いてくる。円安になると株は買われますが、私は円安で株が上がったら売りで良いはずだと前にも書きましたし、今でもそう思っています。円高は困るという「被害妄想」が蔓延しているけれど実は日本は円高の方が良いのかもしれない。

これと「政府の借金」も似たようなところがあると思っていて、私の頭では理解は簡単ではないものの、「多額の個人資産で国債を買い支えることができないまでに借金が膨れれば国債は暴落し、日本は破綻する」という誰しもが簡単に納得しやすい論法がありますが、私はそういうふうな単純な動きにはならないような気がしてしかたがないのです。

どうも私たちには簡単に理解できる思考方法をとる傾向があると思いますが、そんな単純に世の中は動くのでしょうか。

またその単純思考の延長線上で、このテレビ番組にもありましたが、「このコンドは安い。日本だったら2500万円はします」と1900万円のワンルームを買った(?)人がいた。これほど危険な単純思考ってないわけで、それに何も感じない人がいるってことが私には驚きでした。

まぁ誰が何を考え、何をしようと勝手ですが、どちらにしてもマスコミやこういう番組、そして海外脱出奨励組みの言葉をそのまま鵜呑みにすることなく、しっかり現実をあらゆる角度から、感覚的ではなくてしっかり数値を見ながら考えたいと思っています。

そして「海外投資ごっこ」は絶対にやってはならないと思うし、こういう番組は正直なところ百害あって一利なしかもしれない。というか反面教師が出てくる番組という見方で見るのもいいかもしれないと思ってます。あの不動産の買い方はないでしょう~~~?

ゴールドコーストにもあんな時代がありました。1980年代の終わりから90年代に掛けて、多くの不動産投資ツアーがゴールドコーストにやってきました。私も調査のために参加したことがあるのですが、業者が売りたい物件ってのが決まっているんですね。客が買いたい物件が買えるとは言いがたい。これは業者に入る%の関係、法律との絡みもあるのですが、普通の一般市民とはまるで違うハンディを背負って買わされると言っていいくらいのものでした。

世の中は危機感を煽るからそれに応える形で行動を起こす人が必ず出てくるわけですが、実はそれそのものがビジネスモデルであって結局行動を起こした人はカモで、潤うのは業者ばかりなんてこともありそうです。

またこんな場面もあったそうです。オーストラリアでは不動産がオークションで売買されることも非常に多いのですが、そのオークションの見学に行ったツアーがあった。物件によって外人に買える買えないがあるのですが、その物件は日本人にも買えた。で、日本人から見れば、大きくて部屋数もあってプールもあるような家が安いと思ったのでしょう。なんとそのツアーの人たちがオークションに参加してその日本人の中で値が釣りあがっていったケースもあったとのこと。

大体、広い、部屋数が多い、プール、テニスコート、ジム、サウナ、ウォーターフロント、そんなマンションや家を知りませんから簡単に惚れちゃうんですね。で、何と比べているのか知りませんが「安い」という。かくいう私もまさにそれで、買うはずではなかった家をオーストラリアに渡った一ヵ月後には買ってしまっていました。絶対に一年は買わないと心に誓っていたのに。(笑)

安いか高いかって現地に住んでいる人でさえも実際にはなかなかわからないわけで、フラリと来た外人にわかるはずもないのに「安い」という。海外なのに日本の基準、自分の知っている地域の基準を持ち込むんですね。本当に面白い現象だと思います。

要はもう買うこと、海外投資はきまっていて、あとはそれを行動に出しても良い様な理由、背中を押してくれる何かを探しをしているだけなんでしょう。これって昭和の時代の別荘ブームと全く変わりが無いように思います。本人は財産保全のためと一生懸命だろうけれど、やっていることは的外れかもしれない。

新しい物件がどんどん建つマレーシアですが、値も上がっている。でもそれって需要が多いという前にそういう価格でも売れるから拍車が掛かっているわけで、では皆が買ったその物件を次にもっと高値で買ってくれるのは誰なんでしょう。新築物件ではなくて中古物件の値動きを見てみると、違う世界が見えてくるんじゃないでしょうか?

私はマレーシアの不動産に関してはpropwallというサイトで基本的なことがわかると思って良くみているのですが、

propwall ← クリック

ここには新築の時にはいくらで、その後の値動きはどうで、またそのコンドの特徴とか長所欠点が書いてあるので非常に便利。また、マレーシア不動産そのもののトレンド、特徴が見えてくるような気がします。個別物件のより詳しい内容は有料で見ることができる(以前は無料だったけれど有料になり内容も濃くなった)。

それとこの番組で最後にがっかりしたのが、「実際に海外に資産を移さなくても、日本国内で外債などに投資すれば良い」という締めくくり。この人は、日本の金融会社がどういうインチキをして外債を売り、外貨預金をやっているのか知らないのでしょうか。馬鹿みたいな為替交換手数料を取り、その金融会社で交換することが条件に入っているのが大多数で、あれは外貨に投資するという宣伝文句の、しかし実は彼らにとっては為替手数料を儲けるためのビジネスモデルでしかないのは簡単にわかることなのに。ましてや外債も選べるほどないし、定期の利率は異常に低い(でもそれを客は知らない)。

我々が知らなければならないことって、こういうテレビや雑誌、書籍から知ることはできないというのが良くわかります。今はインターネットの時代ですからしっかり調べると本質が見えてくるはずですし、そして自ら試して経験を積み上げるしかないのでしょう。流行に乗ってどうにかなるほど世の中甘くないですよねぇ。

不安があるとどうしても何か行動を起こさなければと焦りますが、実はどの時代でも「何もしない」という選択をする人も多くいて、意外に勝ち組はその中に多いのが現実ではないでしょうか。ましてや円を保持しても何も生まれないなんて嘆くのは筋違いで、デフレ、円高なら円をキャッシュで握っていればそれすなわち実質的な利益を生むのに、それさえも理解できないとしたら自ら墓穴を掘るか、ハゲタカの餌食になるだけかもしれませんよね。

高金利、高利回りに飛びついても物価上昇率が高ければ意味はないわけで、実質金利や為替の動向、ヘッジのしやすさを考慮しないと全く意味がないですよね。金利生活者が引っかかる一番の罠がこれで、元本は減らさずに金利で食べているつもりでも、ある日気が付いたときには元金は目減りしていて、いつの日かその金利でも食べていけず、なおかつその目減りした元金さえも取り崩さないと生きていけない事態が容易に起きる。

金利生活を夢見る人は多いし、また多くの早期退職者の中にはまとまった資金を持っている人が多いと思いますが、金利生活をするならインフレ率分には絶対に手をつけていけないという決まりを持っている人は決して多くないんですね。だから知らない間にどんどん生活が苦しくなって生きていけなくなるなんて事が起きる。これはかつてバブル後にオーストラリアに渡った小金持ちが皆経験していることだと思います。そしてこんなことは経験しなくても考えてみればわかるのに、早期退職したいという思いが先行して、大事なところをおざなりにしてしまうのが人間だと思います。

というかインフレ率は確保して使わないという前提だと金利生活そのものが成り立たないのが普通なんですね。ましてや税金も払わなければならないとなれば、いかに金利生活が難しいかはすぐわかる。つまり、選択肢は「金利生活を諦める」か「インフレ率は考慮しない」かの二つに一つしかない。でも多くの人は退職ありきで稼げない、稼がないという前提で考えるからインフレ率を考慮しないという選択をする。これが早期退職していい加減歳を取ってから悲惨な状態になる典型的なパターンでしょう。

ま、一般的な退職者にとって良いことは、将来は決して長くないってこと。適当な試算で生活設計を立ててもそれが破綻する前にきっと黄泉の国へ旅立つってことでしょう。それが唯一の救いかもしれない。

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