マリネの重要性 【備忘録】

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また調理の話です。面白いことを発見したので備忘録として残して置こうと思います。

肉でも魚でもマリネすることは良くありますよね。漬け汁に浸けておくというやつ。

私は素材を大事にしたいという思いが強いのであまりやりません。また漬け汁に浸けるとなると、どうしても味付けが濃くなるというイメージを持っています。

ところがですね、素材の味はそのままで素材を美味しくするマリネが存在するのを私は知りませんでした。で、これは面白いと。つまり、牛のステーキにしても味付けという意味ではないマリネがあるわけで、それならたいしたことのない牛でも結構行けるかも。

この話は「活水女子大学:活水女子短期大学」の論文にありました。

発端としては(美味しくない)輸入肉をどう調理するかということのようですが、結論からいうとマリネ系には二種類あって、一つはオイル系、もう一つはワイン系。その特徴ですが

○ 「焼く料理の場合」オイル系のマリネ(3時間)では(外国産冷凍輸入肉でも)、国産牛肉よりもよい肉質に改善されることがわかった。でもワイン系では変化がない。

○ 「煮込み料理の場合」ワイン系マリネ(3時間)では、国産牛肉やオイル系マリネ処理試料と比較して柔らかさ、味の好ましさ、総合評価について高い値が得られた。

面白いですねぇ。こういうのも経験則として料理をする人は知っているのでしょうが、私には目からうろこでした。

つまり、牛肉のステーキでもとりあえずオイルに浸けておくだけで肉質が改善するってことですよね。これは良いことを聞いた。 \(^o^)/

でも煮込む場合にはオイル系は駄目で、ワイン系だと。なるほどねぇ。そういうもんですか。

日本でもオージービーフは随分流通していて、なかにはオージービーフは美味しく無いという人もいますよね。私としてはこれを聞くとガックリするんですよ。だって日本に送られているような「良い肉」はこちらではなかなか手に入らないんですから。(笑)

どういうことかというと、牛って牧草を食べるのが普通ですよね。ところが日本では「穀物を食べて育った牛」が良いとされている。脂肪のノリも全く違いますし、肉の香りも違う。ですからオーストラリアの畜産業者は「日本向け」に日本で受け入れられるように穀物を食べさせているわけです。つまり、こちらの普通の牛肉を日本に送っているんじゃないんですね(同じものも送っているかもしれない)。これは小麦も同じで、日本へ送っているのは日本専用の種類でそこらにあるものを送っているわけじゃない。

ただ穀物を食べさせると言ってもいろいろで、またこちらでもそういう牛も(特に最近)出回るようになって来ましたが、(出荷前)30日食べさせた、60日食べさせたとか、そういう違いがあります。当然、長い間食べさせたほうが日本人好みになりますが、コストが掛かっている。そういう「日本向け」の「特別な牛」をマズイと言われるとオーストラリア在住者としてはがっくりするわけです。それとですねぇ。日本でのオージービーフの値段を聞くと「え?」って思うんです。決して高くないのね。特に特売で安いのを買ったなんて話を聞くと、私も買いに行きたいと思うくらい。 (笑)

こちらでは牛のリブアイステーキで1キロ30ドルを超えました。グラム300円。日本でオージービーフのリブアイっていくらぐらいで売られているんでしょうか。それも穀物を食べさせた特別の牛。

またこのブログではたまに和牛のことを書きますが、和牛のリブアイは1キロ60ドル以下のものを見たことがありません。大体80ドル前後。良い肉は120ドル以上します。日本の肉屋で売っている美味しい本物の和牛(こちらのは混血)で高いものはもちろんグラム数千円というのはありますが、でもグラム1200円も出せば今どきそこそこの肉がありますよね。だからオーストラリアは牛が安いなんてのは大嘘だと思っています。あえて言うなら、安っぽい肉が安いってことかも。良い肉(日本でいう中クラスかな)はかなり高いのが現実。

最近は(混血の)和牛も出回ってきましたし(でも一般のスーパーでは売ってない)、アンガスビーフも勢力を伸ばしてきていますが(スーパーでも売ってる)、ステーキでも食うかとなった時にはやっぱり普通のオーストラリアの肉を我が家では食べるわけです。でもそんな時に、オイル系のマリネをすれば美味しくなるとすれば、やらない手はないですね。「塩コショウだけで美味しくいただきます」なんて部類じゃないわけですから。

また焼くにしても煮こむにしてもマリネはすることがあっても、オイル系とかワイン系とか私は意識したことはありませんでした。逆にオイルもワイン(酒)も入っていない溶液やハーブ類でマリネするだけとか。ですから今後はちょっとオイル、ワイン、その辺りを意識してやってみようと思います。

例えば、とりあえずは一件落着してどうにか納得の行く「豚の角煮」も作れるようになりましたが、豚肉を酒でマリネしておいたら面白いんじゃないかとか、そういう発想が出てきますよね。豚の角煮に関してはいろいろ調べましたが、事前にマリネするなんて話は一度も聞いたことがありませんでしたから、これは面白いと思います。

実は昨日、今までは探してもなかったマレーシア産の「肉骨茶の素」を見つけました。それを買うとともに中国人の肉屋に行きまして「豚の脚」も買いました。豚の腿でもなく足でもない脚です。シャンク。これを煮込もうと思うのですが、その前に酒(紹興酒?)に浸けておいたらどうなるか、それを今考えています。この論文が確かなら「柔らかさ、味の好ましさが増す」はず。まさか豚は違うなんてことはないでしょうね。(笑)

楽しみだ~~~~。

そうそう、このオイル系でマリネすると良いというのでハタと思い出したのが、あのタコです。日本で製法特許がおりているオイルに漬けて冷凍し、それを低温調理すると美味しいってやつ。私もそれをやっていて成果が出ているのですが、それは「低温調理」が良いのであって、まさか「オイル」によるとは考えていませんでした。ここは盲点だったかもしれません。

それとですね、オイル系に漬けると味が染み込みやすいそうなんですわ。これがどういうメカニズムになっているのかわかりませんが、これは前の日記に紹介した「関西食文化研究会」の業界の重鎮が言っていましたからウソじゃないでしょう。これも頭に入れておこうと思いました。それと、真空パックもそうなんですね。内部は負圧になりますが、すぐに味が染みこむ。ですからタッパウェアみたいな容器でも空気を吸いだして真空にする容器が売っていますが、あれでマリネ、漬物はあっという間にできるんですね。浸透圧効果。ああ、ついでだからその画像もここに出しておきましょう。

マリネに関する論文の場所はここ ← クリック

1991年より食肉は自由化されたが国産肉と比較して、輸入肉は熟成されていないので硬くて風味が少ないことなどが日本人に歓迎されない理由としてあげられている。しかし、国産肉より安価であることから、家庭料理に利用される可能性はある。そこで、輸入肉の肉質を改善するためにマリネ法を検討した。本報ではフローズン(輸入冷凍肉)を用いて、オイル系マリネとワイン系マリネが肉の柔らかさにおよぼす効果の差異を調べてみた。

1) 焼く調理の場合ではオイル系マリネ処理3時間の試料の官能検査値は国産牛肉と比較して柔らかさ、肉汁性、味や匂いの好ましさ、総合評価とも高い値が得られ、この処理の効果が認められた。一方、ワイン系マリネ処理では効果は認められなかった。さらに、オイル系マリネ処理3時間の試料の理化学的性状では保水性が高くなり加熱後の重量は増加し、官能検査の肉汁性と一致した。物性値では針入度は高くなり、弾性率・強靱性・弾力性とも低値を示し、官能検査の柔らかさと一致した。これらのことから、フローズンの焼く調理用の肉は予めオイル系マリネ処理3時間行えば、国産牛肉よりもよい肉質に改善されることがわかった。

2) 煮込み調理の場合ではワイン系マリネ処理3時間の試料の官能検査値は国産牛肉やオイル系マリネ処理試料と比較して柔らかさ、味の好ましさ、総合評価について高い値が得られ、S1との間に有意差がなかった。さらに、物性値では弾性率・強靱性・弾力性とも低値で官能検査の柔らかさと一致した。このことから、フローズンの煮込み用の肉はワイン系マリネ処理3時間行えば、国産牛肉と有意差のない肉質に改善されることがわかった。

3) 挽き肉調理として最も利用されるハンバーグステーキ用の肉も予めオイル系マリネ処理3時間行うことによって肉質が改善され、国産牛肉製品と有意差のない製品ができることがわかった。

 

 
    

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