「ゴーン氏逮捕」に関して。これの真相はどこにあるんだろうか。

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日産を立て直したゴーン氏が逮捕されたというニュースは衝撃的でしたね。

(大雑把に言って)100億円の報酬を約50億円過少に申告したとして、金融商品取引法違反容疑で逮捕された。

これを聞いて、一体何があったのかすぐ分かる人っているのだろうとは思うのですが、私には???でした。脱税に見えるけれどちょっと違うみたい。1億円以上の収入がある企業の役員は有価証券報告書にそれを記載しないとならない法律ですが、「そこに虚偽があった」と。かと思えば、「報酬を約50億円過少に申告した」という書き方もある。これなら脱税だと思うけれど、逮捕されたのは「金融商品取引法違反容疑」ですと。

これでわかります?有価証券報告書に虚偽の記載をしたことが金融商品取引法違反になるんですか?

私には全然わからず。

でも世の中には「所得を隠して逮捕」という感じでこの話が広がって、ゴーン氏批判が湧き上がってますね。やり方があまりにもワンマンだとか、権力が集中しそれが長期になると必ずこういう事が起きるのだとか、日産の復活はコストカットにあったのに自分はしっかり利益を得てそれを隠していたのかとか、日産はイメージが大事だと言っていた張本人が何をしたのかとか、まぁ今までの恨みつらみが噴出している。

でもこの事件を調べていくと、ちょっと「50億もの所得を隠した」というのと違うニュアンスを感じるんですよ。

そもそも彼の収入は「源泉徴収」されているらしく、自分で勝手に申告するとかしないとか出来ないはずだという人もいる。じゃぁ、その隠した50億って何かというと、どうも「海外の不動産を日産の子会社が買った」という数字とほとんど同じ。

ある記事には「住宅の購入費などは数十億円にのぼるとみられるが、有価証券報告書には報酬としては記載されていなかった」とありますので、その50億とはこれのことかもしれない。でもその不動産の名義がどうなっているのかがわからない。

これって「自分が使う別荘を会社のお金で買った」みたいな。巷でも良くある話じゃないですか。

もしこの不動産は個人使用のためのものであるとなれば、名義は会社だとしても「ゴーン氏への報酬」になるわけだし、ゴーン氏の権力によってそれをしなければ「会社の資金の不正利用」になるし、「不動産は収入として申告しないとならない」。これは我々一般でも全く同じ。

つまり、その不動産はいったいどういう性格のものかってのが焦点になるんじゃないですかね。

会社の金で買って、自分だけが使うとなれば「会社の金で買ったものを受け取った」わけで収入にカウントするのが普通、でもそれをしていなければ「横領」になるし、申告していなければ「脱税」。

でもねぇ、こういうのって「考え方の相違」ってあるんじゃない?

これは別荘ではなくて「福利厚生に使うんだ」とか、一般的にはいろいろ言い訳を考えますよね。中小企業なのにベンツの高級車を買って、それをどうやって経費で落とすかとか、巷の経営者は頭を捻っているはずだけれど、それに近いものを感じるんですよ。

あるいは、もしかしたらゴーン氏には「全く悪気がなかった」可能性すらある。

ゴーン氏の写真がメディアにいろいろ載っていますが、その中にプライベートジェット機が写っていたんですよ。尾翼には「Nissan」と書いてありますから、Nissanの持ち物なんでしょう。ま、あれだけの会社だからプライベートジェットぐらい持っていてもおかしくないにしても、それを使うのは誰か。

(この「NISSAN」に見える記号は「NI55AN」とのこと)

要人を向かい入れるための施設だって大手企業は持っているんだろうし、それも「仕事関連施設」として認められるからでしょう。

じゃ、その不動産って一体なんだったのか。

ゴーン氏は「当然、会社の仕事関連施設だ」と言ったとしたら?それを自分一人、あるいは家族で使ったことはないとか、そういう事実が出てきたらどうなる?まさか会社の金で買って、名義は自分にするほど彼はバカじゃないでしょうし。

ジェット機は良くて不動産は駄目な理由は?

こういうことからも、なんか変な事件だなぁと感じるわけです。

そんなことを思っていた時に、「今の日産がどういう状態にあるのか」がわかるコラムがあった。これを読んでみると、ゴーン氏を外したい勢力が日産の中にあるのもわかる。またゴーン氏は今どういうポジションに居るのか。ルノーの大株主はフランス政府だけれど、フランス政府は一体何を考えているのか。

どうもそういうことが今回の事件に深く関わっているんじゃないですかね。日産の会社そのものは「司法取引」をしたのは間違いがなくて(有価証券報告書に虚偽の記載はゴーン氏だけの責任とはなりえない)、会社としては「被害者の立場」を保てるってのも、「ゴーン氏を貶める作戦」に見えてくるんですよ。そしてその先にはルノー、つまりフランスからの支配を逃れる計画みたいな。

50億もの収入を隠すようなことが簡単にできるとは思えないし、ゴーン氏にしてみれば「それは収入ではない」という立場だと考えるのが妥当じゃないですかね。でもそれをどう判断するのかは国税局の仕事で、もし収入だとなれば、もとに戻って「有価証券報告書に虚偽の記述」ということになる。でも会社の資産として認められれば、ゴーン氏の収入ではなくなる。

じゃぁ、今回の罪状である「金融商品取引法違反容疑」ってなんだ?

わけがわからないことばかりですが、とりあえず今の日産はこういう状況にあるというのは知らないと何も見えてこないんじゃないですかね。

私はクーデータ説は大いにあると思ったし、その必要がある時期に来ていたんじゃないかと。フランスはルノーを通して日産と三菱自動車をコントロールしたいのは間違いがなく、もちろん提携という名の「支配」は継続し、強固なものにしたいはず。

今回のこの動きに「日産を日本人の手に取り戻す」考え方も見え隠れしているような気がするんですよ。

話としては「ゴーン氏は強欲。金銭欲が強い。」でまとめればわかりやすく一般受けしそうだけれど、話はそんな単純じゃないんじゃないですかね。

またこれは人災ですが、日産の株価は暴落。でも相場の格言に「人災に売りなし」というのがあります。ゴーン氏が逮捕され、いなくなって経営が変わったら日産の業績は落ち込むのだろうか。企業のコンプライアンスという意味では問題があっても、今回のこれは時間と共に解決することじゃないんですかね。

ゴーン追放はクーデターか…日産内で囁かれる「逮捕の深層」

この記事は日にちが経つと消えるでしょうから、全文、転載します。

ゴーン追放はクーデターか…日産内で囁かれる「逮捕の深層」
11/20(火) 6:00配信 現代ビジネス

 日本を、いや世界を震撼させた「ゴーンショック」はなぜ起こったのか。長年自動車業界を取材し続け、ゴーン氏へのインタビューも何度も行ってきたジャーナリストの井上久男氏の深層レポート。

「重大な不正」の中身は?
 日産自動車のカルロス・ゴーン会長が11月19日、金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。容疑内容は、虚偽の報酬額を有価証券取引書に記載していたこととされる。2011年3月期から15年3月期までの計5年間の役員報酬額が実際には99億8000万円だったのに、計49億8700万円と記載していたという。内部通報によって日産が社内調査、それを検察に情報を提供し、事件になった。

 このニュースを聞いて、多くの人は「脱税目的か」と思ったに違いない。しかし、それは読み筋が違うのではないか。ゴーン氏はサラリーマン経営者であり、報酬は源泉徴収されており、日産から得られる報酬では脱税できない。また、ゴーン氏は日本には1カ月のうち1週間程度しか滞在せず、主にパリとニューヨークに住んでおり、住民票は日本にはないので、日本で住民税を払わない。

 ゴーン氏がなぜ虚偽記載したのか、その動機は特捜部が今後捜査で解明していくのだろうが、虚偽記載してそれがばれなかったとしても、源泉徴収されているので、ゴーン氏には「実利」がない。なのに、なぜ虚偽記載したのか。

 筆者は20年近く日産を取材してきた。これまでの取材や関係者の話から推測すると、ゴーン氏が虚偽記載した理由は、「自分の報酬を大きく見せたくなかったから」ではないか。

 ゴーン氏に近い日産の元首脳が筆者にこう明かしたことがある。

 「日本では報酬が10億円を超えるともらい過ぎと批判されるので、10億円は切るようにした方がいいとアドバイスを送った」

 虚偽記載については、悪質なものではないのではないか、と筆者は考える。むしろ悪質なのは、日産もプレスリリースで認められているように、「会社のお金を私的に支出していた複数の重大な不正」の方だ。背任に近い行為かもしれない。

 この重大な不正については、現時点での日産の社内関係者らの話によると、以下のようなことが推測される。

 ① 前妻との離婚の訴訟費用を会社の金から支払った可能性
② ニューヨークなどに対外的に公表していないゴーン氏の個人事務所があり、その関連費用を会社の金から支払った可能性

 あくまで可能性だが、この2点以外にも「フランスのベルサイユ宮殿を借り切って再婚相手と結婚式をしたが、その費用も日産が出したのではないか」(関係筋)との話も出て来るほどだ。

 かねてより、こうした噂は日産社内では絶えなかった。それは、ゴーン氏が「カネに汚くて強欲」と一部の社員から捉えられていたからだ。

 たとえば、日本で最初に自著『ルネッサンス』を出した時、印税は自分の懐に入れ、日本語訳や校正などで協力した日本人社員には分け前を渡さなかったという逸話が残っている。通常、大企業のトップが自分の実績を誇示する本を出した場合、印税は会社に入れるか、寄付するケースが多いが、ゴーン氏はそうではなかった。

 ただ、こうしたゴーン氏の金銭にまつわる話や、公私混同ぶりは日産の役員や一部幹部の中では知られていた話で、なぜ、今になって「内部通報」が起こり、事件になったのか。本稿の主眼はそこにある。

 はっきり言おう。これは「日産の社内クーデター」とみるべきではないか。さらに言えば、西川廣人社長兼CEOサイドがゴーン氏を引きずりおろすために、日産が検察当局と手を組んだ可能性もあるのでは、と筆者は見ている。

 ゴーン氏の逮捕後に出てきた日産のプレスリリースの内容を見ると、この日を用意周到に待っていた節が窺える。

ゴーン氏が繰り返していた「説明」
 ではなぜ、日産はゴーン氏を引きずりおろす必要があったのか。その理由について、日産の歴史を振り返りながら以下に解説しよう。

 経営破たん寸前だった日産は1999年、ルノーから36・8%の出資を受け入れ、8000億円近いキャッシュを手に入れて倒産を免れた。その後、ゴーン氏が主導する「日産リバイバルプラン」などのリストラを実行して、経営再建を果たした。その後は、グローバル販売を着実に伸ばし、安定した収益が出る会社になった。

 1990年代後半は、ダイムラーとクライスラーの経営統合、フォードのボルボ買収など合従連衡が相次いだが、いずれも提携は長続きせず、解消している。大が小を呑む、あるいは強者が弱者を呑む提携は、自動車産業ではうまくいかないケースが多い。開発思想など「文化」が違うため、経営統合しても「血液型不適合」となるケースがあるからだ。

 こうした中、日産とルノーは経営統合ではなく、両社が技術や人材などリソースを持ち寄る「アライアンス(同盟)」という位置付けで、片方がもう一方を完全支配する提携ではないことが、関係が長続きした一因と見られてきた。筆者は朝日新聞記者時代も含めてゴーン氏には単独インタビューを何度もしてきたが、ゴーン氏自身もそうした説明を繰り返してきた。

 ところが、その両社の提携に転機が訪れたのが2015年だ。ルノーの筆頭株主である仏政府が2年以上保有する株主の議決権を2倍にするフロランジュ法を適用して、ルノーへの経営の関与を高めようとした。日産は、仏政府がルノーへの関与を高めれば、間接的に自社にも影響が及ぶと判断、仏政府への対抗策を講じた。その一つが、ルノーと日産の提携契約の見直しだった。

 見直したのは出資比率引き上げの際の手続きだった。現在、ルノーは日産に43・4%、日産はルノーに15%、それぞれ出資して株式を持ち合っている。日本の会社法上、日産がルノー株をさらに10%買い増して25%以上の出資比率にすれば、ルノーの日産に対する議決権が消滅する。

 これまでの契約では日産がルノーへの出資比率を高める場合には、ルノー取締役会の承認も必要としていたのを、契約からその条項を消すことでルノーと合意。この契約変更によって、日産取締役会の決議のみでルノー株を買い増すことができるようになった。仏政府の影響が日産の経営に及んできた場合、株式買い増しを行なってルノーの議決権を消すことが狙いだった。

フランスが突きつけた「3つの条件」
 さらに2018年に入り、「ポスト・ゴーン」を巡って仏政府が動き始めた。日産は16年に三菱自動車を傘下に収め、日産・ルノー・三菱の3社アライアンスが誕生。その後17年にはゴーン氏は日産社長兼CEOの座を西川廣人氏に譲った。ゴーン氏は現在、日産、三菱両社の会長とルノーCEO兼会長を兼務している。

 加えて、日本ではほとんど知られていないが、3社アライアンスの共通戦略を決める司令塔の「ルノー日産BV」という会社が存在し、登記上はオランダ・アムステルダムにある。BVの経営トップは、ルノーCEOが兼務するとの内規がある。

 実は今のゴーン氏は、このBV会長の仕事をメインとしていることから、グループ内では「アライアンス会長」と呼ばれている。しかし、ゴーン氏のルノー会長兼CEOの任期は18年までだったことから、ルノーCEOを退任すれば、このBV会長職も手放さなければならなかった。

 日産や三菱のCEOではなくても、BV会長という3社アライアンスの戦略を仕切るポストに就いていることは、3社の事実上のトップと同じ意味があるため、ゴーン氏としてはBVトップの座は手放したくなかったと見られる。このため、ゴーン氏はルノーCEO職の座にこだわった。

 こうした状況下で、フランスのマクロン大統領は、ゴーン氏にルノーCEOの任期を2022年までに延長する代わりに次の3つの条件を突きつけた。それは、

 ① ルノーと日産の関係を後戻りできない不可逆的なものにする
② 後継者を育てる
③ ルノーの現在の中期経営計画を達成させる

 といった内容だった。ゴーン氏はこの条件を呑んでルノーCEO職に再任された。

 この条件①があることから、ルノーと日産が経営統合に近い形で関係をさらに深めるのではないか、といった見方が強まっていた。持ち株会社の下にルノー、日産、三菱をぶら下げるといった見方も出ていた。こうした関係強化策をゴーン氏は18年度中にもまとめる動きを見せていた。

 仏政府が特にこだわっていたのは条件①だ。なぜなら、今のルノーは日産からの配当や最新技術を当てにしなければやっていけないほど経営体力も商品力も劣化している。日産なしではやっていない会社になってしまった。見方を変えれば、日産にとってルノーが「重荷」になりつつあった。

 このため、日産の西川CEOは、経営の独自性が維持できなくなるとして、これ以上ルノーの支配が強まることを嫌った。提携時にルノーから8000億円近い支援をもらったが、この20年近い関係の中で配当金としてルノーに「恩返し」しており、その額は優に8000億円を上回っている。

社員らの「反発」
 仏政府やルノーが強引に日産への支配力を強めれば、西川CEOには、前述したようにルノー株を買い増して日産への議決権を消滅させる強硬策も視野に入っていたと見られる。この強硬策を実施するには、日産の取締役会での多数決で、「西川派」を過半数にしなければならない。

 日産の取締役会のメンバー9人は次の通りだ。

———-
カルロス・ゴーン氏
西川廣人氏
グレッグ・ケリー氏
坂本秀行氏
志賀俊之氏
ジャン・バブティステ・トゥザン氏
ベルナール・レイ氏
井原慶子氏
豊田正和氏
———-

 このうち、西川派は、坂本氏、井原氏、豊田氏と見られ、西川氏自身の票を入れて4票しかなく過半数を取れない。ゴーン氏はCEOを西川氏に譲ったとはいえ、取締役会メンバーは巧みに構成し、自分の意向が通る人選にしていた。

 たとえば、前COOの志賀俊之氏は、一時収益が落ちた際に先任を取る形でCOOは退き、産業革新機構CEOに転出したが、取締役では依然として残ったままだ。これは、「志賀氏と西川氏が犬猿の仲であることをゴーン氏が巧みに利用して、志賀氏を残すことで西川氏を牽制する意味合いがある。元々、志賀氏は、ゴーン氏とは非常に親しく、ゴーン氏の戦略ミスを志賀氏が責任をかぶってCOOを退任した経緯もある」(日産関係者)との見方がある。

 極めつけは、グレッグ・ケリー氏の存在だ。「ケリー氏は代表権を持つ取締役でありながら日産で勤務している形跡がなく、実際には海外で牧場経営をしている。ゴーン氏が公私混同で会社の金を使うための筋書きをアドバイスするなどの『悪知恵袋』」(同)と見られている。

 今回の事件でも、ケリー氏が不正に深く関与したとされている。ゴーン氏とケリー氏を日産取締役会の中から追い払えば、西川氏は過半数を取れると踏んだ、と見られる。

 西川氏サイドが「クーデター」を仕掛けたとすれば、彼らにも焦りがあったからではないか(注:西川氏は緊急会見で「クーデターではない」と発言)。昨年に発覚した完成車検査不正問題も、日産の社内不満分子が国土交通省に情報提供したことが発端と見られ、車検制度にもつながる時代遅れの古い制度を残したい国土交通省が、それに乗りかかって日産を叩いた。

 社内の不満は、ゴーン氏ら一部の外国人が高給を取り、会社の金で贅沢三昧なのに、現場への投資は怠っていることへの反発であった。ゴーン氏自身が長期政権で権力の座に長くいて、腐り始めていたことは間違いない。

 こうした社内の不満を放置していれば、不満の矛先はいずれ西川氏自身に向かってくる……西川氏サイドはそう判断したのではないか。真相解明には時間がかかるだろうが、それが今回の事件の背景にあるというのが、筆者の見方である。

井上 久男

 
 
 

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