世界情勢を見るには「豪ドルの動き」を見るのも良いと思う & 世界はどこへ向かっているのか

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私達家族は25年間オーストラリアに住んでいて、かなり長い間「オーストラリアの金利は高い」のを享受してきました。

オーストラリアに上陸をしたのは1991年ですが、長期の定期や債券で「利回り10%は当たり前」で、そのちょっと前までは短期金利で16%、長期で12%という時代もあったとのこと。でもこんなことに驚いては駄目で、アメリカの30年ものの長期国債が15%の利回りだった時代もあるんですね。1万ドルが30年で66万ドルです。(笑)

1980年代から日本から多くの人達がオーストラリアに渡りましたが、日本ではバブル。オーストラリアでは「高金利での運用が可能」。そしてオーストラリアには「贈与税・相続税がない」。なおかつ「物価は日本より安い」というのが「オーストラリア移住ブーム」の一番の理由であったと思います。また社会保障が分厚く、労働環境も「労働者のための国と言っても良いくらい」でオーストラリアでの生活は楽勝だろうと思った人は多いハズ。私もそのうちの一人。(たとえ貧乏するにしても、オーストラリアで貧乏をしたいという日本人は多かった)

しかし現実は甘くなくて、オーストラリアではすぐに所得税が50%に達しますし(最近はそうでもないかも)、「金利が高ければインフレ率も凄い」ということがあって、そうそう良い思いは出来なかったのではないでしょうか。特に所得税のインパクトは大きくて、10%の利回りも手取りで言えば5%となります。そして時代と共に利回りも低下し、近年では全く妙味が無くなった。しかし「インフレはロケットの様な凄まじさ」があったわけです。

それでも資産運用の面で言えば、豪ドルを中心に考えた方が良い状態が長く続いたのは間違いがないんですね。だって豪ドルより金利が高い国って危ない国ばかりだし、安定していた米ドルで6%に回しても手取りでは3%にしかならない。

「所得税の無い、あるいは低い国に住み、豪ドルで運用する」という考え方をなぜ持たなかったのかということですが、我が家の場合は「子供の教育が最優先」であって、しかも「金利生活」をするような資産持ちでもありませんでしたから、「他国に住み、豪ドルの高金利を享受する」というのは夢物語でしかありませんでした。でも当時にそれを出来る環境にあった人は面白いことが起きたと思います。当然、豪ドルは世界通貨で(マレーシアリンギットは違う)、世界のどこに居住しようと豪ドルでの資産運用はできたわけで、もし年利10%での無税での複利運用が可能なら、5年で1.6倍。10年で2.6倍、20年で6.7倍になったわけです。

ですから世界中に豪ドルに投資する人がゴマンといたんですね。でも発展途上国の金利が高い、というのとは違っていて、豪ドルが下がり続けるということもなく、逆に強いという時代も繰り返し来たわけですから。インフレの凄さに翻弄されるのは「住んでいる人だけ」で、海外在住なら「為替の動きだけ注意していればOK」ってこと。

でも豪ドルは金利には敏感で、高金利を維持している時には豪ドルが高いという事が起きた。また「金利の低い通貨で借りて、金利の高い通貨に投資する」というキャリートレードの対象になる通貨でもあった。このキャリートレードの動きは今でも同じで「円で資金を調達し、外貨で投資をする」という大きな動きがある。だから「世界経済が平常あるいは上向きの時には【円を売って外貨で投資する人が増えて円安になる(リスクオン)】が起きて、「景気が悪くなるとリスクオフで投資は縮小し、円の借金を返す動き(円の買い戻し)が顕著となり、また日本が持つ莫大な海外債権を日本に戻す動き(円の買い戻し)が出て円高になる(有事の円買い)(昔は、有事のドル買いだったのが懐かしいですね)」事が起きる。当然、オーストラリアドルは大きく売られる。

つまり、豪ドルは【世界景気のバロメータ】でもあるんですね。

これが顕著だったのはリーマンショックで、豪ドルは凄まじい動きをしました。

対米ドルの週足。

もっと酷いのが対円で、あっという間に約半分まで大暴落。この時の報道では、これだけの短期間の暴落は過去に例がなく、統計でいうと「40億年に一度の確率」と言われていました。

その「40億年の一度」の渦中に私はいたわけで、為替の下落だけではなく、当然、外国からの不動産投資も引き上げますから不動産の下落も恐ろしいぐらいでした。我が家の場合、そこそこ大きな家を持ち家として持っており、その評価額の資産に占める割合が高かったので、直撃を受けました。その不動産価格を日本円で換算すると3-4ヶ月の間に4分の1以下になったことになります。「俺達はもう日本に帰りたくても帰れない」と覚悟を決めたときでもありました。落ち込みようは半端じゃありませんが、面白いもので街なかを見渡しても何もなかったようなんですね。リーマンショックによる豪ドルの下落、不動産の下落に対しても、誰も感心もなく、いつもと何も変わらない生活が営まれていたのは不思議だと思いました。悩んでいるのは俺だけか?みたいに。(笑)

この時点ではすでにマレーシアに拠点を変えるのは決めていて、MM2Hのビザ申請の準備をしているところでした。そしてビザも取りましたが、暴落した不動産を売却し、マレーシアに渡ることを決めることは私には出来ませんでした。もしマレーシア行きを1年早く決断していたら、我が家の財政事情は天と地の違いが出来たことになります。リーマンショック前の不動産価格は異常なほどの高値でしたし、今でも我が家の総資産はその当時の我が家の価格以下です。(笑)

この頃の心の動きもこのブログに書いていますが、「ば~~か、早くマレーシアに行けよ。【機会損失】をなぜ考えないのか」というコメントもいくつか頂戴しました。ま、それは理屈で言えばそうなんですが、「損切りってなかなか決心がつかない」んですね(笑)。またリーマンショックで失った「評価損」が私にとってはあまりにも大きくて、それを取り返すだけでもとんでもない年数が掛かると思っていましたので、不動産も叩き売ってマレーシアに渡ることは決心できませんでした。

リーマンショックからの回復を待ち続けたわけですが、結局5年も待ち続けても不動産価格は若干持ち直した程度で、これ以上待てないと判断し、不動産も叩き売ってマレーシアに来たのはこのブログにも書いた通り。

でもそれでよかったと今では思っていますし、私達がマレーシアに渡ってきた2016年の頃のマレーシアって最初に来たときと比べてかな~~~~り近代化が進み、日本人としての生活環境もかなり良くなって、「もっと早く来れば良かった」とは一度も考えたことがありません。

またいつものように話が飛んでしまいましたが、豪ドルは【世界景気のバロメータ】という考え方は、もうすでに豪ドルをまるで持っておらず、米ドルに変えてしまった現在でも変わっておりません。(もし豪ドルを持ち続けていたら今頃、真っ青)

世界の投資家は「世界経済の現状、行き先をどう見ているのか」を私は豪ドルの動きから想像する癖がついています。世界に不穏な動きがあると、水が引くように豪ドルって下がっていくのね。

AUD/USDの日足。

私はかなり前から、米中で起きていることは「単なる貿易摩擦ではない」とこのブログに書き続けてきましたが、最近、「米中の新たな冷戦の始まり」であるという見方も広がってきたのは良いことだと思っています。簡単に考えるととんでもない火傷をするはずですから。

私は「米中経済戦争」という言い方も甘いと思っていまして、また「安全保障の問題」というのも一面でしかないと思っています。私は「文明と文明の衝突」ぐらいに見ていまして、たとえ関税で落とし所があったとしても、アメリカは「中国の国柄さえも変えるつもり」だと私は見ていて、そう簡単に決着はつかないと思っています。アメリカが何を中国に要求してきたのかは前からはっきりしていて、それに中国が応えるということは「中国共産党一党独裁の終焉」を意味していると思います。だからこそ、最近、中国がアメリカの要求を飲むような事を言って、突然、手のひらを返してきたのはそれが理由のはず。

アメリカの要求を中国が飲めるわけもなく、どこでどういう決着がつくのか想像さえ出来ませんが、アメリカはこの時期、「台湾との関係強化」に動いていますし、アメリカが排除しようとしている中国企業と取引がある、あるいは技術開発で手をつなぐことも排除することを決め、それを外国にも要求し始めた。アメリカはかなり本気で中国包囲網を作っているのがよく分かる。そしてそれに反すれば中国以外の国にも「制裁を加える」と。これはまさにかつてあったココム(共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出規制)よりも範囲は広く、制裁も厳しいものになっている。

だから米中摩擦が日本にどういう影響があるかと考えるのは全然、甘いと思うわけで、日本も当事者だってことですよね。世界中の国が「踏み絵」を踏まされる状態。

それにやっと日本も気がついてきたようで、かつて「対岸の火事」「日本におこぼれがあるか」みたいな論調はほとんどなくなり、安穏としていたメディアにも緊張感が出てきたのは良いことだと思っています。

戦争前夜ってこんな感じなのかな、なんて思ったり。

ただやっぱり中国市場は大きくて、今でも積極的に中国と手を組もうと動く日本企業も少なくありませんが、下手をすると彼らも制裁対象になる可能性も見えてきた。また日本政府も決してアメリカべったりではなくて、中国との繋がりをアメリカみたいに切ろうとはしていない。ここは「日本の甘さ」ではなくて、私は日米で話はすでに出来ている「ガス抜き」の動きだろうと思っています。日米が一枚板になって中国を追い込んでも良いことはありませんから。

でも真相はわからず、今後、調子に乗って利益ばかり追求する日本企業がスケープゴートとなってアメリカから糾弾されることは十分あるんじゃないですかね。かつての東芝の様に。

しかし昨今の動きを見ていますと、アメリカも中国も世界の国々は「自国ファースト」でいかに生き抜くか真剣だというのが伝わってきます。また自国に都合が悪いことは、なんでもかんでも理由をつけて解決する。相手を潰す動きって、ああ、これが世界のほんとうの姿なんだなと思うわけです。平和だの平等だの公平だのは理想論者の夢語りでしかなくて、「自国の利益のためならなんでもする」のが世界標準。考えてみれば、第二次世界大戦もそうだし、ベトナム戦争、近いところではイラク侵攻、ウクライナ問題も同じ。邪魔な相手は理不尽な手でも使って叩き潰す。でも「これは正しいことだ」というプロパガンダも強力に進める。第二次世界大戦後の日本も同じで、「悪いの日本だけ」という勝ち組の巧妙な大作戦は大成功。日本はいまだにそれを引きずり、またそれを前提に都合の良い自国の歴史を作る隣国も存在する。

こういう力による支配をする世界は駄目だという理想論者は多いけれど、「邪魔者はどういう手を使っても消してきた」からこそ、我々の今の安定があるはずなんですね。あのIS(イスラム国)にしたって、「どうぞお好きなようにやってください」と放置したらどうなっていたのか。かつてアジアに手を伸ばし、西欧諸国の飯のタネだったあちこちの植民地を「開放だ」と奪い取って手中にした日本はどうしたってコテンパンにやっつけて、再起不能にする必要があったのも同じ。もし日本を放置したら、今頃、アジアに強大な大日本帝国ができていたかもしれないし、あのまま石油や鉱物資源を手に入れた日本が存在していたら、世界は大きく変わっていたはず。

経済で言えば、かつて日本が一人勝ちで大躍進をしている頃、アメリカは徹底的に意地悪をしてきた。プラザ合意、日米構造協議、年次改革要望書と次々と波状攻撃と言っても良いような執拗な攻撃を続け、結局それで日本の躍進は止まってしまったのは私の年代の日本人なら誰でも知っていること。あの当時、私は思いましたよ。「売れている日本製品に文句をつけるんじゃなくて」「アメリカも売れるものを作れ」と。でもそんなのは関係ないのね。これってゴルフでハンディ戦をやるのと同じで、「実力勝負」ってのは実はフェアではないという考え方。皆で仲良くするにはハンディをつけるのが当たり前だと。でもこれは保護貿易主義の考え方と同じで、それはあってしかるべき。

なんでもかんでも平等で、一律でやっていこうなんていうグローバリズムの方が私はおかしいと思っているのは昔からブログに書いている通り。そして案の定、世界はグローバリズムの欠点(行き過ぎ)に気がついて大騒ぎ。なんだかグローバリズムって素晴らしいように聞こえるけれど、これって自由で規制のない弱肉強食の世界にしようという「強者の都合の良い論理」でしかないはずなんですよ。流動性のある移民も「安い労働力を使いたいだけ」ってのが日本を含む世界中ではっきり見えていたじゃないですか。本来はグローバリズムじゃなくてインターナショナリズムを世界は標榜するべきだと私は思うし、多くの人もそう思っていたはず。つまりナショナル(国の個性)を重視しそれを認めた上で、お互いの繋がりを強化するという考え方。でもグローバリズムだなんて響きの良い言葉に惑わされたんじゃない?(そもそもグローバリズムだなんて発想は個性を認めない共産主義の考え方だと思う)

武力による解決が良いとは思わないし、それを望む国もないと思うのですよ。でも「やる時にはやる」という態度が「交渉の結果にも大きく影響するのは間違いがない」はず。どの国も、瀬戸際で丁々発止やっているのが見えるようです。北朝鮮もイランも同じ。

そういう意味では日本は平和で安全ですねぇ。なんでもかんでも「話し合え」と。逃げる泥棒に「待て~~」と叫べば待つのか。襲ってくる荒くれ者に「やめて~~」と言えばやめるのか。夫婦の問題だって話し合いで全て円満解決できるのか。

さてさて、この日本の平和はいつまで続くんでしょうか。というか北方領土も取られ、竹島も取られ、尖閣周辺では中国の好きなようにやられていても、日本は平和だという妄想はいつまで続くのか。日本人がいう平和とは「自国民が戦いに巻き込まれて死なないこと」でしかないのね。だから世界のことは全く気にならないし、自国民が死ななければそれでオッケイ。だから「武力を伴わない戦争」なんて全く理解が出来なくて、実は今、世界はとっくのとうに戦争中であるという認識を持つ人は非常に少ないのね。「戦闘をせずに勝つのが戦争の極意」なのは世界共通のはずで、大きな武力衝突こそなくても侵略、略奪、恫喝をあの手この手で世界はニコニコしながらやっているんじゃないですかね(CIAや各国の諜報機関が世界の歴史にどう関与してきたのか)。でもそういう戦争は常に起きているという意識がないから日本人は何もしないでいられる。こんなに国全体がぼ~~っとしている国って他にあるんですかね。

豪ドルは【世界景気のバロメータ】だなんて他人事みたいに悠長なことを言っていられるのもいつまで続くんですかね。

マレーシアに住み、自分のやりたいことだけやってのほほんと生きる生活がいつまで出来るのか。

もし恐ろしいことが本当に起きたらどうしたらよいのか。

面白いもんで、世界がどんなになっても株式市場、商品市場、債券市場ってなくならないのね。つまり、「空売り」が出来る人ならどうにか生き延びられる。「上がる株はどれだろう」と今まで考えていたのを、「下がる株はどれだろう」と見方を変えるだけでOK。

私が不動産投資に全く興味が無いのはこれが理由です。明日、現金にしようと思ってもできないし、家なりコンドを地面から引っ剥がして持って逃げることも不可能。なおかつ、価格が上昇しない限り利益は出ない。下落するのがわかっていても空売りできない。そして素人は「買う時は高く、売る時は安く売る」のが普通の世界。また所有しているだけで出ていく経費は大きいし、売買時の手数料も大きい、そして売買利益には必ずと言ってよいほど課税される。

これって私にしたら全然おもしろくないわけで、不動産投資に近付こうとはどうしても思えないのです。でも収入がある人で、借金して不動産を買って節税しつつ、不動産を貸して賃貸で利益を出そうというのは全く別の話。でもそれも世界が安定期にないと非常に危ない投資なのは同じ。

そういう意味でFX慣れしている人は良いかもしれない。USD/JPYにしても、円を買う(ロング)ことはあっても売る(ショート)ことはないなんて人はいないでしょ。円が上がろうが下がろうが、利益の追い方は同じ。短期でも長期でも売買のやり方はわかるはず。

下落する時にいかに利益を出すかがポイントだけれど、それって頭の古い年寄りには難しいのね。「株は買うもの」と信じている人が大半。でも右肩上がりの時代を知らない若者、FXを理解している人は、売りでも買いでも利益を出す方法を知っているから、強いと思う。ボクシングを片手で戦うのか、両手を使うのかの違いと同じじゃなかろうか。

こんなこと一つ知っているか知らないかで、世界が大きく動いた時に生き残れるかアウトなのかの差も出るんじゃないですかね。

若い人には本当にトレード技術を学んでほしいと思います。いつかそれで助けられる日も来るはず。でも欲の皮をつっぱらして、これで大儲けしてやるなんてことは考えずに、「海外に住むリスクをヘッジするにはどうするか」とか「両替する時に有利にするにはどうするか」とかそういうところから入れば十分だと思うんですよ。そういう基礎があれば、次のレベルに行くのは楽なはず。

いつの日か、会社が倒産したりクビになってあたふたしたりすることなく、健康を害して思うように働けなくなったときでも、トレード技術があればどうにか生き残ることは可能だと思う。

トレード技術があったらなぁ・・と思う日が来る前に、少しずつ慣れていけば良いんじゃないですかね。

年寄りは?

余計なことをしないのが一番。(^_^)v

 
 
 

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