我が家はまめとんから「とんかつ」をデリバリしてもうことが結構、多いです。
デリバリでも実店舗でも注文するものは常に決まってきて「ジャンボロースカツ定食」の一択です。我が家には「ヒレカツ好き」はいないし、私はヒレカツって何十年も食べた覚えが無いくらいのロース好き。美味しさって「脂にある」と思うタイプ。
ゴールドコースト時代って「良いとんかつ店」がなくて、家で揚げることが多かったのだけれど、トンカツって本当に難しい料理だと思っています。
まず丁度よい肉がないのね。日本はトンカツって文化だからトンカツに合う豚肉ってどこでも売っているけれど、ゴールドコーストでもマレーシアでも「売ってない」のね。
こういう肉。まずマレーシアでは見たこともありません。
でもロースの【芯】だけは売ってるのね。「脂身は付いていない」ケースが非常に多い。「サシ」が入っている豚肉もヒジョ~~に珍しくて、サシが入っていないのが普通。
これじゃ「ロースカツ」にはならないわけですよ。だからマレーシアではロースじゃなくて「肩ロース(ショルダーロイン)」を選ぶことが多い。これはこれでオッケイ。でも【分厚いトンカツ】が好きな我が家に合うようなブロックを見つけるのも難しくて、カットしてあるものは薄すぎるのね。
豚肉が美味しいとかイマイチとか、それを言う前に、「丁度よい肉が見つからない」のだからどうにもならず。
それでも妥協して肉を手に入れても「トンカツを揚げる」のがメチャクチャ難しいと思うわけです。
肉類を探して買うのは昔から私の役目ですし、「揚げ物」もヨメさんはこの10年以上全くしなくなって私の仕事なんですが、どう頑張っても私には難しすぎるのね。
しっかり揚げちゃって良いのなら簡単なんですよ。でもほんのちょっとピンクが残るくらいで、「揚げすぎず、固くない状態」で揚げるのは至難の業なのね。やっぱり「揚げ足りない」のは困りますから、どうしたって「揚げすぎ」になってしまう。
そして我が家には「生パン粉」は無いし、ラードで揚げるなんてことも無いし。
だからやっぱり「プロって凄いなぁ」と思うし、もし肉が手に入っても「トンカツはお店で食べる」ことに変わりはないかもしれない。
で、まめとん。
まめとんに初めて行った頃って、「やっぱりプロは凄い」と思ったんですよ。揚げ方が絶妙だと思いました。
こんな感じ。うっすらピンクなのが写真からわかりますかね。
ところがいつのころからか、「硬いなぁ」と思うようになったんです。当然、揚げすぎってことね。
そしてそれが酷くなって来ていると思うのね。パサパサ感があるトンカツって全然、美味しくない。
これが何度も続くと、「他のお店」にするか「自分で揚げるか」になるわけですが、トンカツのお店って近年、何件かオープンしたのだけれど、【マレーシアは新規開拓が難しい場所】だと私は思っていて、行く気がしないのね。
理由は簡単で、「ハズレ」が多いから。
だから「評判」を頼りにするのが一番間違いがないのだけれど、トンカツに関しては情報は非常に少ないのね。でも自分で開拓する気は全くなし。
そもそも出不精だし、ハズレた挫折感を味わうのはもう嫌なんですよ。そういう意味で、あの店に行きたいと思うのは【あんず@Lot10】です。そもそも「あんず」の方がまめとんより美味しいと私は思っているのだけれど、KLCCには行くことが殆どない我が家としてはあんずのトンカツを食べるのって本当に「年に一度あるかないか」みたいなことになる。
Lot10に行くこと自体が非常に少ないから、たまに行った時には他の物を食べたいし「トンカツを食べる?」とはならない。
だからと言って「トンカツ用の肉」を探すのは簡単ではないし、どうにか見つけても家で揚げるのはかな~~~り難しい。
そういう意味でも「まめとんは我が家の救世主」でもあったわけです。
美味しくなくなっても我慢するしかないんだろうか。
しかしマレーシアで美味しいお店を見つけるのは本当に難しいと年を追うごとに思うようになりました。
美味しくても段々駄目になるとか、いつのまにか「日本人の職人はいなくなる」とか、行くたびに違うなんてことは普通に起きるし、そもそも【マレーシアには職人気質なるものが無い】と最近思うんですよ。
オーナーシェフがやっているお店はどんなジャンルのお店でも良いと思うんですよ。でも「多店舗展開しているお店」ってほぼ全滅だと感じます。その中では「楽膳や寿司ざんまい」って日本人シェフはいないのにどの店でも一定のレベルを維持していて凄いなぁと思っていましたが、最近の寿司ざんまいの「劣化」ってハンパじゃないのね。
商売が厳しくなってきたのだろうと思っているのだけれど、値上げも出来ずに「コストを下げている」のが【はっきりわかる】のね。それも食材だけじゃなくて人件費も落としているんでしょう。サービスの質が非常に悪くなってきたのがわかる。
オーナーシェフのしっかりしたお店に行けば良いのだろうけれど、トンカツにしても楽膳などの和食にしても【気軽に食べられて美味しい】から意味があるわけで、「トンカツ」や「鶏カツ重」を【有名店で高いお金を払って食べる】ということは我が家にはあり得ないのね。
そもそも「高いお金を出せば美味しいトンカツがあるのかどうか」もわからないし、それなら「あんず@Lot10」に行けば事足りちゃう。
私も商家の出だからわかるけれど、たとえ老舗でも「常に進化」と「品質の維持」が重要で、それを強く意識していないと「段々と落ちぶれていく」のね。
当然、「妥協」なんかすれば坂道を転げるように駄目になるわけだけれど、マレーシアの料理人に【常に上昇志向を持った職人気質がそもそもない】んじゃないかと、特に近年は思うわけです。
これって「ドンキのお寿司」にもそれがはっきり見えるわけです。そこそこのネタの仕入れは出来ても【ネタの切り方、握り方を教えるのは諦めている】のがわかるのね。日本では「見たこともないようなお寿司」だし、【アルバイトにも作れるレベル】にドンキは基準を置いているのがわかる。
あるいはやっぱり「日本人が求める基準」と彼らが考える基準と違うのだろうと思ったり。
「トンカツの揚げ方」なんてもろそれがあるんだろうなと、何でもかんでも「しっかり火が入ったものを食べるのが普通」のマレーシアでは、「微妙な火入れ」を考える習慣がないのかもね。
実はですね、昔、ゴールドコーストに行ったばかりの頃に驚いたことがあるんですよ。オーストラリアと言えば「牛肉」で、ステーキを出すレストランは多いのね。
ところが「美味しい牛肉がない」のと「焼き方がめちゃくちゃ」だったんです。30年以上前の話ですが。(笑)
一言で言えば「赤身肉をしっかり焼いて食べる文化」だったのね(過去形)。
ある大きくて有名なステーキハウスで、肉は自分で現物を見て選ぶのだけれど、当然、焼くのはシェフ任せなわけですよね。で、私は昔も今も「ミディアムレアのレア寄り」が好きなんですが、そんな細かいことを言っても無駄ですから、「ミディアムレア」か「レア」を店によって分けて注文していました。
で、その有名店ですが、「レア」で注文したら出てきたのは「ウェルダン」だったんですよ。当然、「これ、焼き方が違います」と伝えて、「新たな肉を選び、レアで」と注文をし直したのですが、出てきたのがまた「ウェルダン」だったのね。
これって単なる間違いじゃないと思って、そのまま我慢しようかと思ったのですが、もう一度、クレームを付けたんですよ。そして次の肉は「レア」で、あるいは「ブルー」、あるいは(冗談を含めて)「日焼け程度(sun burnt)でもOK」と【紙に書いて】渡しました。
そうしたら「焼き手」でしょうか、テーブルまで出てきて「本気か?」と聞くのね。「本気だ」と伝えたら不思議そうな顔をしていましたが、それで出てきたステーキは「レア」でした。
ところが、このレアと言う焼き方って誤解しているプロも多いのね。これはマレーシアでも日本でも同じですが、【中心部はナマ】のを出してくるケースが非常に多いのね。
【レアとはレアの火入れがある】のだけれど、それを知らないプロも多い様子。つまり、「レア」と注文すると、日本食の「牛のたたき」みたいになっちゃうのね。肉の中心は「正真正銘のナマ」なわけです。
下手すりゃ「中心部は冷たいステーキ」が出てきたり。
そういう意味で、マレーシアでも「ちゃんとしたレアステーキ」はまだ食べたことがありません。ま、高級店に行かないからでしょうが。(笑)
ま、どの国にもその国の常識があって、「こうあるべきだ」なんてのは意味はないんですね。
もうひとつのマレーシアあるあるですが、「スパゲティが茹ですぎ」で出てくる店が多いのね。「アルデンテ」という言葉さえも知らないプロがいる。で、「離乳食か老人食」みたいな消化の良さそうな柔らかいスパゲティが出てくる。
ですからこの5,6年、そういうスパゲティは食べたくないので、マレーシアではパスタを食べない様になってしまいました。
でもきっと今どきの店はちゃんとしているのかもね。
それも「オーナーシェフ」がいれば大丈夫だろうけれど、決まったことを決まったようにしかやらない「向上心がないようなシェフ」がこの国には多いと感じています。
マレーシアはかつて「ルックイースト政策」を掲げて【日本に学べ】と頑張っていた。でも「何を学んだんだろう」って思うのね。日本では当たり前の「職人気質」までは学ぶことはなかったんだろうなと思っています。それこそが「日本の原点」だと私は思っているんですが・・・。
そういう意味では「やる気のある人達」にとっては「マレーシアは競争がゆるいブルーオーシャン」かもしれず、面白い国なんだろうと思ったり。
お~~~~い、まめとんさんよ~~~~、どうにかしてくれ~~。