オーストラリア産「キンメダイ(アルファンシノ)」を煮付けてみた。なぜ日本の魚は美味しいのか。

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先日、オンライン販売をしている海産物輸入卸の「Piau Kee」という会社(結構大きな会社)から「オーストラリア産キンメダイ(アルファンシノ)」の冷凍物を二匹、買ったことを書きました。

これを冷蔵庫で自然解凍させて、煮てみることにしました。なぜ煮るのかと言うと、もちろん刺し身は駄目ですし、焼くと美味しさまずさがはっきりわかりすぎると思ったから。

重さ、長さは測っていませんが、かなり大きめです。内臓は取ってありました。

鱗を取って綺麗にしてから煮るにしても大きさが中途半端。これだけの大きさの魚を煮る鍋がない。でも3枚におろして切り身にすると小さすぎるような。

ということで、尻尾を切り、頭も落として煮ることに。

魚そのものは臭い匂いはないのですが、一応、塩を振って10分ほど放置し、その後、熱湯をかけました。

出汁は真面目にとったものが冷蔵庫にありましたので、出汁、日本酒、ミリン、砂糖、そして生姜を入れて煮ることに。味はかなり薄め。

落し蓋をして煮たのですが、それなりに厚みがあるので9分ぐらい煮たでしょうか。

ワクワクしながら最初のひとくちですが、やっぱり・・・・・・・・・。(T_T)

不味いわけじゃないんですが、決して美味しいわけでもなく、まぁ、オーストラリアによくある「深海魚」の一つで、「フライにして食べるには良いんじゃない?」って感じ。煮すぎたわけでもないのに、身は硬めでゼラチン質が豊富なキンメの良さがないのね。

正直なところ、これと同じものはもう食べたくないです。ただあと一匹、冷凍のまま残っていますので、ヨメさんがちゃんと料理すればどうにかなる可能性はある。というかその可能性を捨てたくありません。

これを煮たのは夜の変な時間だったのですが、味見をしたヨメさんは黙秘権を行使して何も言いません。長男は「美味しいじゃん」とは言ったものの一口味見しただけ。彼はまともなキンメダイの煮付けなんて食べたことがないはずで、いわゆる食べ慣れたオーストラリアの(なんてことのない)魚と同じだと思ったんでしょう。

がっかりですわ。でも確かに三枚におろしてオーストラリア的にフライで食べれば「よいんじゃない?」レベルかも。

キンメダイならやっぱり日本から空輸してくる冷蔵物じゃないと駄目なんでしょうね。

ところで、どうして日本の魚は美味しくて、海外の魚はイマイチなのか。

よく言われることは、日本は寒流と暖流とあって、どうてらこうてらいう人も多いですが、私はまず問題なのが「魚の取扱い」だと思っています。これは漁の時でも流通させる時でも、日本みたいに気を使うことはありませんから。そして日本みたいにコールドチェーンが確立されているのかどうか。またテレビで見て驚いたのですが、漁師が「魚には触らない」というんですよ。理由は「人間の体温でやけどするから」ですと。これは大げさにしてもそういう気遣いをするのは日本だけかもしれない。

実家が築地の仲外人で自分も若い時には魚河岸で働いてた私のオヤジに聞いてみたんですよ。

すると、「海外の魚が美味しい訳がないじゃないか」と。

その理由はなんと「仲買システムがちゃんと機能していないから」ですと。

つまりですね、父に言わせると、「日本にも美味しくない魚はいくらでもいる」というんですよ。でもそういう魚が市場に持ち込まれても

◯ 素性がわからない魚は落札しない

◯ 美味しい魚しか落札しない

◯ 美味しくない魚はそれなりの価格しかつかない

というんですわ。当然、荷主もそれを知っているから「値段がつかないような魚は持ち込まない」、漁師もそういう魚は獲らないんですと。魚屋もそういう魚は扱わない。

言われてみれば、回遊魚はいつでも穫れるわけじゃないですが、沿海物の魚は一年中そこにいるわけで、じゃぁ、一年中おいしいかと言うとそうではないのね。だから「美味しい時、あるいは高く売れる時に獲る」と。

そして私が思うに「中央卸売市場」の役目は大きいですよね。全国から集まる魚に競争原理が働く。美味しくないものに高い値が付くことはありえない。地方でもその価格は知っているわけだから、そして日本は流通もしっかりしているからコストを掛けても中央に卸した方が良いとなればそちらに流す。地方の漁港では「地元には魚を流さない」ことも起きているのをかつて仕事で全国を回っている時に経験しました。また逆にある場所で伊勢海老が有名な場所なんですが、ある宿は「築地から仕入れたほうが安い」なんてことをいうところもあったり。

こういうシステムが海外では働いていないというのが父の持論。そこらで獲ったものをどんどんマーケットに持ち込んでいると。これで美味しい訳がないじゃないかっていうんですよ。

これは一理ありまして、オーストラリアでも同じキンメダイでも全く美味しくないもの、美味しいものがありました。(それは獲れた場所が違う)

またアジなんで世界中でいくらでも獲れるのに、なぜ日本に入ってこないのか。

これを長男の私の父ではなくて、魚市場の仲買人の跡を受け継いだ叔父に聞いてみたことがあるんですよ。すると、答えは

◯ 美味しくない

◯ 顔が違うと美味しくても売れない

と言っていました。アジはゴールドコーストでも簡単に釣れますし、それはグアムでもそうでした。でも美味しくないんですよ。マレーシアのアジも同じでしょ。パサパサで焼いたらアウト。でも刺し身ならどうにか食べられるとか。でもきっと美味しい時期があるんでしょう。でもそれは我々素人にはわからない。

また顔が違うと売れないというのは面白いと思いました。アジって本当に世界中にたくさんいるけれど、美味しくても見た目がちょっと違うのがいるんだそう。でもそれを日本に持ち込んでも売れないんだそうです。

またエビも同じで、「茹でて赤くならないエビは売れない」と言っていました。私にしてみるとエビってどんなエビでも茹でれば赤くなるのもんだと思っていましたがそうじゃないんですね。そういうエビはどれだけ美味しくても売れないと。「赤くない真鯛」が売れないのと同じですと。でもこの辺は、長いデフレ不況で随分変わったんでしょうね。安売りを全面に出している店もあるし、加工する場合にはそういうのを使ったりするんでしょう。

でもノルウェイ産のアジは美味しくてそして安くて、昔はその開きを良く買っていました。脂が乗っていて美味しいのね。でも確かに「目つきが違う」とは思っていました。またサバも同じでノルウェイ産のサバは美味しいし広く出回っている。

でも日本のサバはどうかというと、かなりの量のサバを輸出しているんですね。これを知った時にはウソだろと思ったくらい。でも「日本では値がつかないサバを輸出」しているという事実がある。それを知った時に、だから海外もののサバの缶詰は美味しくないんだと思った。安いけれど、その国の美味しくないサバ、日本からの美味しくないサバを原料にしているんじゃないですかね。

だから「日本の魚は美味しい」というのは漁師も荷主も仲買人も魚屋もお店も、みんなの努力の結晶だということじゃないんですかね。決して日本という地理的な良さだけじゃないんでしょう。そして仲買人がものを見て「フィルターの役目」をして、選別と値段付けをしているということ。

なるほどって思いませんか?

だから海外の魚は美味しくないということではなくて、「美味し魚に出会うチャンスの問題」ってことじゃないですかね。

私もまさかNSKで美味しいカツオ(スマ)に出会うことがあるなんて想像もしていませんでしたが、日本でもこれだけのカツオってなかなか無いんじゃないかと思いました。またそれはゴールドコーストでも同じで、たまに驚くように美味しい魚との出会いはあるんですね。

でもいつもその店に行けばあるかというと、無い。(笑)

 
 
 

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