「酉玉@パブリカ」この店ほど満足できる店は他に知らない

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久しぶりに「酉玉@パブリカ」に行ってきました。

我が家はいつも開店と同じ時間(17:30)に入るので、一番乗りなのが普通。

当然、この時間は暇だし、話し好きの焼き手のリキちゃんともいろいろ話をしながら飲んで食べられるわけで、やっぱりこの時間帯が良いと思う。

前回、行った時に書きましたが、「鶏のある部位がすごく好きなんだ」と、焼き手のリキちゃんに話したところ、それは「エンガワですね」とのこと。これって初耳で、私としては「まるごと一羽を食べたときにだけ食べられる部位」だと思っていて、部位としては「肋骨の周りにある薄い皮状のもの」で、そしてそれは「鶏ガラに付いてる部位」で、まさかこれだけを切り出して売り物にするとは思っていませんでした。

多分、横隔膜じゃないかと思うのですが、当然、その「エンガワ」とやらはメニューには乗っていない。でも酉玉ではそれが取れるときには取って、売り物として出しているそうで、是非、いつかそれを食べたい、用意できた時には連絡がほしいとお願いしてあったわけです。で、何度も連絡をもらったのですが、こちらの都合と合わず。

今回、Lineで「入りました」と連絡をもらったので、家族3人で行ってきました。

でも3本だけしかない。このエンガワってなかなか揃えるのは大変で、「鶏ガラに付いている」わけですが、それがついていない鶏ガラもあると。つまり、「解体した職人によって違う」ということらしく、また1本の焼き鳥を作るのに3羽だか4羽、必要なようで、希少部位と言えば希少部位。

やっと食べられる~~~と思ったのですが、期待していたほどのことはなく、また食べたいと思うほどのことでもありませんでした。やっぱりこの部位は、ローストチキンを食べた時に「たまたま付いている薄っぺらい皮状の【美味しい部位】」であって、あえてこれだけ取り出しても、なんだかなぁ・・・という感じでしかありませんでした。

酉玉に行くと大体食べるものは決まっていて、でも焼き鳥のお決まりである「ねぎま」「正肉」「手羽」「つくね」などはまず食べたことがありません。

この酉玉にはこの店にしか無い、特殊な、そして美味しい部位があるので、我が家はそれがお目当て。

やっぱりこの店で一番美味しいのは「そろばん」だと、家族みんなで納得。そろばんって「首の肉のせせり」の一部分で、本当に美味しいと思う。

でもそれはまた客それぞれで、「軟骨と砂肝」しか食べないお客もいるらしい。面白いですね~~~。

我が家にとって、肉系ではこれが王様というか女王様で、他の肉は「引き立て役」みたいに感じます。

そして忘れてはならないのは「ちょうちん」で、未成熟卵。これにレバーとせせりを付けてある。

内臓系ではレバーも良いけれど、我が家はこの「心残り」が好き。心臓(ハツ)についている血管周辺みたいな感じですかね。

この三種がベスト・オブ・ベストで、この三種を美味しく食べるために他の部位があると言っても良いくらい、我が家はこの3種が好き。

特に卵好きの私はちょうちんが大好きで、この「未成熟卵の味噌漬け」も半端じゃなく美味しいと思う。

今日は「まだ食べたことがないものがあるかな?」という話になって、「鶏せんべい」なるものを食べてみました。鶏せんべいだなんて聞くと「皮かな?」と思ったのですが、なんと「ササミ」を平たく叩いて延ばし揚げたもの。これも良い酒の肴になる。

それと、なんとかチーズ(名前は忘れた)を薄く延ばして焼いたもの。これって焼き鳥屋のイメージとは離れていますが、逆に「口直し」みたいでいいかも知れないと思った。

それと「生麩」を焼いたもの。これも口直しで良いかも知れない。

いつもの調子で好きなものを好きなように食べましたが、最後の「焼きおにぎり」と「スープ」が良かった~~。

スープの写真は取り忘れましたが、いわゆる「鶏スープ」で白湯スープ。

これも美味しかった。フト、Lot10の「博多水炊き とり田」を思い出します。

鶏の白湯スープは自分でもかなり入れ込んで家でも作りますが、なかなかこのレベルのものは作れないのね。

でも作り方を聞いてみると、「モミジを多く使う」「煮込む時間は7時間」という点で、全くの素人の私でもいろいろやっていると同じ様になるのが面白いと思いました。私も多めのモミジは必ず入れるし(最近はスープのためだけに手羽もいれるようになった)、煮込む時間も決して5時間でもないし9時間でもないのね。これって試行錯誤しているとわかってくること。

ただ私は「素の味」を大切にしたいので、何も入れずに煮込みますが、酉玉では「ネギ、ニンジン、生姜、にんにく」を最初から入れて煮込むとのこと。

私が何も入れずに煮込む理由は、「野菜をちょっと入れただけで、まるで味が変わってしまう」のがわかるから。でもこの「ネギ、ニンジン、生姜、にんにく」ってのはありだと思いました。もしこれに玉ねぎ、キャベツ、白菜、あるいはきのこ類なんて入れると全く違うものになってしまうのね。「野菜くずを入れる」なんて良く言うけれど、入れるものはきっちり考えないと、シンプルな鶏スープはその「野菜くず」で味が変わってしまう。

特にニンジンを入れるというのはへーーと思いましたが、ニンジンの香りは白湯スープの邪魔をすること無く、「甘みが出ていた」のは良いし、真似をするべきだと思いました。やっぱりプロのやることはすごい。無駄もなく、余計なこともしないんだとあらためて納得。(笑)

この最後の焼きおにぎりと鶏の白湯スープのシメがなんとも素晴らしく、本当に満足な食事をとることが出来ました。

やっぱりこの店って良いなぁ。

焼き手のリキちゃんの人柄もあるし、いつも空いている時間帯に行くというのもあるはず。私達が帰る7時半ぐらいにはどんどん客が入ってきて、忙しくなってきたし、そういう時には当然、リキちゃんにも話しかけないし、要望も言わない。そうなってくれば一緒に行った者だけで盛り上がっていればよいのだけれど、私達みたいな家族で行く場合は、やっぱり店の人と楽しい会話ができるってのは大事な要素。

我が家はグルメではないし、外食も多いわけじゃないからあちこちの店を知らないけれど、当たり外れの多い知らない店の開拓をするぐらいなら、「酉玉に行こうよ~」って話になる。

このお店には本当に感謝しています。

あ、そうそう。前回行った時に、私は「言うべきではないことを言ってしまった」と書きました。それは「焼き方」に関して。焼き鳥って焼き方が非常に大切で、たとえばレバーにしても「焼き過ぎはアウト」なのは当然として「生過ぎもアウト」。これって他の物も同じで、焼き方だけで美味しさが変わる。で、前回、「最近、焼きすぎってことはない?」みたいに、本来プロの焼き手に言うべきではないことを言ったんです。

でもリキちゃんは「意識はしていなかったけれど、そうかもしれない」と。日本人よりローカルの客が多い店だからそうなるのも当たり前だと思う。

今回はその件に関してはお互い何も言わず、前にそんな話をしたことさえしっかり忘れているように盛り上がっていましたが、「焼き方が違う」「ちゃんと気にしていてくれている」のがわかりました。

やっぱりプロってこういうことなんですね。大したもんだ。

でも焼き方に関してはいつも悩むようで、我々が「焼き過ぎ」に思うようなものでも、ローカルの人で「生だ~~~~」と思う人もいて、「もっとちゃんと焼いてくれ」と戻されることもあると。

ではローカルはみんなそうかというとそれもまた違うわけで、焼き手のリキちゃんはそのへんをしっかり見極め「客を見ながら焼き方を変える」ことをしているとのこと。

だからやっぱりこういう店は「常連にならないと駄目」ってことなんでしょうね。

そういえば、先週だったか、デサスリハタマスの「牧」で飲み会をしてきました。で、牧のメニューに焼き鳥がいろいろあるのですが、レバーに二種類あって、なんて書いてあったのかは忘れましたが、「よく焼く」「半生」みたいになっているのが面白いと思いました。これって結構大事なことだと思う。

焼き鳥って庶民の食べ物でどこにでもあるものだけれど、やっぱりステーキやローストビーフと全く同じで、焼き方一つで全く違うものになっちゃうんですね。で、客の好みはそれぞれ。

たかが焼き鳥、されど焼き鳥。

こだわりを保ちつつ、ちゃんと客を見ながら微妙に変える技術とおもてなしの心を持った職人との出会いがこの酉玉にはある。

日本人で良かった~~~~~と思う一瞬。(笑)

特にこの焼き手のリキちゃんって、焼き鳥屋にしては(とバカにするわけじゃないけれど)とんでもない「記憶力」の持ち主なのね。たとえば私が「これは食べたことがあったかな?」なんていうと、「前に出しました」とか「それはまだ出したことはありません」なんて答えが返ってくる。また同じようなことを息子が言った時に「それは前にご友人といらしたときに食べたはず」なんて答え。

こういうプロ意識を持った人って、私の人生でもあまり会ったことが無いんですよ。って、そりゃ良い店に行けば当たり前のことなんでしょうが、普通の店でこういうのって本当に珍しい。

かつて若い頃ですが、気に入っていた東京の溜池にあったステーキハウスを思い出します。そのオーナーシェフがそういう人でした。お客が言った「ステーキの焼き方」とかちょっとした時に話した「好み」を全て覚えている人で、何度も「焼き方は?」なんてことは聞かないのね。私がその店に二度目に行った時なんて、彼が焼き方を聞かないから私のほうが焦っちゃいましたよ。で、「えーと、焼き方ですが・・・」と私が話しだしたら、「承知しております」と。つまり、彼はその数ヶ月前に来た初めての客の好きな焼き方を覚えていたってこと。こういうことって高級ナイトクラブではよくあることみたいで、何年ぶりに行ったクラブで私のことなんか知らないはずの黒服のスタッフに「XXXX様、いらっしゃいませ」と店に入った瞬間に言われたことがある。高級ホテルのドアマンも同じなんですってね。客の名前を覚えるのは当たり前で、プラスアルファのことまで覚えると。

そういえばマレーシアのマンダリンオリエンタルホテルだけれど、そこに泊まった時に、エレベータホールにいたスタッフに「Mr XXXX, how are you?」と声をかけられびっくりしたこともあったっけ。

で、話は戻って溜池のステーキハウスですが、そのオーナーシェフが気に入ってその店に通うようになったのですが、いつのころからか「何も注文しない」という風になりました。ただ「今日はお腹が空いてる」「今日は飲むのが中心」とか言うだけで、私の好みにあったものをいろいろ出してくれて、メインの肉も当然、私の好きな肉を私の好みで焼いてくれた。私の好きなレアとミディアムレアの中間みたいな焼き方も彼はきっちりやってくれたんですよ。私が「ジャガイモはあんまり好きじゃない」と一度言ったことを覚えていて、私のステーキには絶対にジャガイモは付いてこなかった。

いつもそこではウイスキーのロックを飲んでいたのですが、私とヨメさんのためだけの使い回しではないグラスを用意してくれたり、特別すごい店でもないし高い店でも無いのだけれど、これほど客中心の店ってあるんだ?と思う不思議な店でした。

また彼のステーキへのこだわりもすごくて、場所柄商社マンが多い場所なんですが、客が「ニューヨークのXXXのステーキは本当にうまかった」なんて話をすると、店を数日閉めてニューヨークへ行っちゃうような人だったっけ。

でもそんな商売をしていて儲かるわけもなく、いつの日にか閉店してしまったっけ。今でもどこかで商売をしているとしたら、どうにか探し出して行ってみたい。

こういう職人気質のプロと出会うのって本当に楽しいと思うのだけれど、それを感じさせてくれるのが「酉玉@パブリカ」。

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