Rump Cap(ピカーニャ=イチボ)のローストは大失敗 & マレーシアの食に思うこと

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近年、日本でも牛肉の赤身が流行っているようで、【イチボ】は焼肉店でも出てくるようになりましたね。それって世界的にも同じで、「Picanha=ピカーニャ=イチボ」はアメリカでも大流行の様子。元々はRump Capですが、それを流行らせたのはブラジル人で「Picanha=ピカーニャ(ブラジルでの呼び方)」が一番美味しいというブラジル人は多い。今ではアメリカ人もRump Capではなくて「Picanha」と呼ぶ人が増えている。

私も「ピカーニャ=イチボ」は良いと思っているんですが、【どの牛のイチボか】でまるで違うんですよね。だから結構難しいと思っています。A5和牛のイチボは本来赤身のイチボでもサシが入っていて【テンダロインの柔らかさとリブロースの美味さ】が合体しているような感じがします。

今回の「ピカーニャ=イチボ」ですが、オーストラリアのアンガスビーフです。だから多くのサシは入っていないはずで、ピカーニャらしく【脂身をどう食べるか】がキーになるはず。サシが入っていない場合、綺麗に脂身を落としてしまうと美味しくないのね。でも和牛だったら脂身なんかいらない。

まず、イチボのブロックは【厚い脂身が付いている】のが普通で、この脂身は美味しいものの適当に落とします。

パックから出した状態。

かなり脂身を削り落としました。でも全体的に1cmぐらいの厚さの脂身がついている(はず)。

裏側ですが、煮込む場合は脂身や筋は残してそのまま煮込んじゃうのが我が家流ですが、ローストの場合はある程度、落とします。

この程度まで落とせばオッケイ。

このまま低温調理に掛けようと思ったのですが、今回は低温調理後に「しっかり脂身を焼きたい」と思ったし、この形では焼きづらく、また量的にも多いと思ったので3分割することに。

イチボを切る時には、「肉の繊維に沿って切る」のね。繊維が結構はっきりしていますから、塊肉を切る時には繊維に沿って切り、【食べる時には繊維を断つ方向】になるようにするわけです(マグロの刺身と同じ)。そうすれば「柔らかく食べられる」し、逆の切り方をすると繊維が歯に残るようなことが起きる。

う~~む、やっぱりサシは殆ど入っていない。がっかり。でもこれが一般的な牛肉としては普通で、サシが入っている和牛・Wagyuの方がおかしい。

だから脂身も一緒に食べられるように、脂身をしっかり焼きたいと思いました。低温調理は56度で3時間です。

我が家の焼き方は日本的ではなくて、アメリカ、オーストラリア風とでもいいますか、「しっかり周りを焼き固める」のが好きです。脂身は中まで火がしっかり通るように縦横に切り目を入れておきました。

まずは切ってみましたが、火が入りすぎた感じがします。フライパンを煙が出るほど加熱してしっかり焼いたのですが、しっかり焼きすぎたような感じ。

脂身も焼きすぎた様で、脂身は厚いまま残しておいて焼いたほうが良かったのかもしれない。

で、まずは味見をしたのですが・・・・。

ウソみたいに硬い。まるっきり噛み切れないんですよ。30回噛んでも口の中でバラけることはなくて、そのまま無理に飲み込めば喉につっかえそうで、かと言って吐き出すわけにも行かず。(┰_┰)

こんな噛み切れないような牛肉ってこの何十年も食べたことがなかったくらい。オーストラリアでの25年間でもこれだけ硬い牛肉を食べた覚えがありません。

不思議だ・・・。

上の写真の様に切り分けましたが、この1枚を一口で口に入れたら大変なことになるくらい。だから1枚を三等分してやっとどうにか食べられるぐらいの硬さ。(┰_┰)

でも味としては良いと思いました。牛肉らしい味。でもこれじゃ硬すぎる。

3人で何も喋らず、食べました。あえて評価は無しで。これって肉を買って料理したのは私ですし、文句を言われたら立場がないわけですが、それをヨメさんも息子も気遣ってくれたのでしょう。

しかし食べながら、この肉は一体どうしたら柔らかく美味しく食べられるのか考え続けていましたが、全くわからず。そもそもこのイチボはこんなに固くないはずですし。

でも超強火でしっかり焼いたのが駄目だったのかもしれない。一気に収縮した感じがありますし、今まで通りにバーナーで煽るぐらいだったらこんなふうにならなかったのかもしれない。

そして余った分は冷蔵庫に入れて、冷麺かフォーでも食べるときのトッピングにしようと思いました。

そして次の日のこと。

冷蔵庫に入っているものを食べてみたのですが、ビックリです。

固くないんですよ。ちゃんと歯で噛み切れる。そして美味しい。

こんな経験って初めてで何が何だか全くわかりません。そもそも「冷えている方が美味しい」というのも初めての経験。

なんだか狐につままれたようで、全てが冗談のように思えてきます。

でもどちらにしても、サシの入っていない「ピカーニャ=イチボ」はもう買うのはやめようと思います。私にはどうにも出来ませんから。

だからやっぱりオーストラリア産のWagyuか、日本の和牛でも手に入る時だけにしようと思う。

前に食べたオーストリアWagyuの「ピカーニャ=イチボ」はこんな感じのサシが入っていて、柔らかくて美味しかった。でもこの手はサシが多すぎると感じる歳になったので、だからこそ、今回、サシが多く入っていることはないであろうAngus牛にしたわけです。

日本の本物の和牛だとこんな感じ。(上のWagyuは色が悪く見えますが、あれが本来の肉の色で、空気に触れている内に下の肉のように赤く発色する)

これが同じ部位だなんてウソみたいですよね。

美味しそうだけれど、ここまでサシが入っていると「オエッ」ってなりそ。(笑)

本当に難しい・・・・・・・。

ちなみに、私がなぜ「オーストラリア産のWagyuを和牛と書かないのか」ですが、オーストラリア産Wagyuのほぼ全部は「日本では和牛とは呼ばれないF1ハイブリッド(交雑種)」だから。これを日本で和牛として販売すると「不正競争防止法違反」となり逮捕されます。でもマレーシアでは「和牛の定義はない」わけで、全く問題がない。

Wagyuの生産が増えているオーストラリアも団体がWagyuの定義を作っているけれど、それらは和牛ではない。中にはKobe Beefなんて商標登録したWagyuもあって、それを日本語に訳せば「神戸牛」になるわけで、ややこしいなんてもんじゃない。

だからマレーシアでは販売店でも焼肉店でも「和牛」「Wagyu」と表示しようがなんと表示しようが勝手。そうやって売る日本の有名店もあるくらい。酷いのはスーパーを含む販売店のスタッフで「日本では和牛とは呼ばない」ことを知らない人も多い。

ただ近年、オーストラリアやアメリカでも「本物の和牛」を飼育して輸出するようになってきました。つまり、交雑種じゃなくて正真正銘の和牛がもう世界に出回ってしまったのね。今は日本からは「精子の輸出」しか認めていないはずだけれど、以前、オスメスの和牛が流出したことがあって、その子孫を使って繁殖させ、本物の和牛が広がっている(中国でも飼育されていると聞いた)。海外生まれの本物の和牛はもうマレーシアにも入ってきています。

残念ですよね~。

ちなみに和牛の定義は「黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種」とそれらの間に生まれた牛のみを和牛という。F1ハイブリッドとか交雑種と表記されている牛は、上記の和牛と「ホルスタイン」や「アンガス牛」などの和牛ではない牛との間に生まれた牛。

マレーシアで売っている和牛は美味しくないと聞いたことが何度かありますが、こういうことが関係しているかもですね。

また本物の和牛だったら全部美味しいなんてこともなくて、A5という表記にしてもそれは「歩留まりとサシの入り具合など」を表しているだけで、【美味しさとは関係がない】。ましてやA2とかB3とかいろいろランクがあるわけで、そういう和牛もマレーシアに入ってきているんでしょうね。

有名なしゃぶしゃぶ食べ放題店で和牛を食べましたが、「こんな和牛があるんだ?」と思うような和牛でした。また育て方や部位によってもまるで美味しさも違うわけで、単に和牛、Wagyuなんて名前で何がわかるわけでもありませんよね。

だから「信用ある店から買う、食べるしか無い」と思うのだけれど、日系の有名店でさえ「交雑種」を和牛として売っているくらいだから、どうにもならず。ただ正真正銘の日本の和牛を出す店より、何がなんだかわからない牛肉だけれどそちらのほうが美味しいとなれば、私は迷わず後者を選びます。

でももし店頭に「肉の塊」が置いてあったら、それに貼られているステッカーを見てわかることもあるのね。下の画像はマレーシアのある店にあった肉。

A5などのランク付けは「和牛のみに行われる」ので、このような和牛ではない「交雑種」にはランクがない。

こちらは紛れもないA5の和牛。

ちなみにこの肉は「宮崎県産のA5和牛のサーロイン」で、キロ単価はRM900程度。でも今じゃこの価格で買えることはなくて、同じ店でもRM1200以上にはなっているんじゃなかろうか。日本流で言えば、円安もあって「グラム4000円弱」という値段。( ̄口 ̄∥)

またこれは「大きなブロック」の価格であって、これを切り分けて掃除をすると15%以上のロスは出て、実質的な単価はもっと高くなる。(┰_┰)

でも輸入商から直接買えるルートがあるなら、キロ単価はRM700~900で収まるとは思うけれど、【必ずステッカーが付いてる】はずだから、その内容を確認する必要があるし、「個体識別番号」も書いてあるから、それをネットで検索するとどこの誰が育てたどんな和牛なのかまでわかる。

日本ではそこまで厳格にして【和牛を守っている】のね。でも海外に出ると全く関係なくて、みなさん、やりたい放題。

その他、脂肪の少ない牛肉に【機械を使って脂肪分を注入】したような肉を、マレーシアでは超有名な日系企業が「注入肉という表示なし」で売っている。そしてその牛肉はドンドンドンキでも売っていて、皆さん知らずに買っているんだろうと思います。しっかり生の牛肉を見れば、違いはわかるはずだけど、火を通したらまずわからないはず。

今、調べてみたら、この日系企業はこの肉を「マレーシアの飲食店、小売店」へ卸売をしているそう。

色々種類があって、しゃぶしゃぶ用の肉もある。

当然、この手の注入肉は日本にも多く流通していて問題がないわけでもないのね。「販売店は注入肉の表示義務がある」けれど、レストランには表示義務がない。

マレーシア?私には規制があるとは思えず、こういう牛肉を扱う業者にとっては(競争がない)【ブルーオーシャン】じゃないですかね。やりたい放題。客は「安いけれど美味しそうで良いね」と思うケースが多いし、業者はそこを狙ってくる。

ドンドンドンキでもこの肉専用コーナーがあるんですね。前に読者が写真を撮って送ってくれました。

しゃぶしゃぶは美味しそうに見える。

「美味しければ全く問題はない」

という人も多いと思いますが、私は「こういう売り方が好きではない」し、この肉をマレーシアで製造販売している日系の有名企業ですが、一気に私は信用できなくなり、一切買い物には行かないし、パブリカやKLCCにある店舗での食事も一切やめました。

結局、こういう加工品を加工品だとわからないように売るのは、私は詐欺に近いと思っていて、そういう会社は信用できません。食品って【見ただけではどんな素材や添加物が使われているのかもわからない】じゃないですか。その辺は製造会社や販売店を信用するしか無いわけで、こういう肉を有耶無耶なやり方で売るなんて、私は商人として絶対に認めません。

私にしてみればドンキも同罪で、ま、ドンキってそういうわけわからない部分が昔からあるからあまり好きじゃないのですが、この肉の売り方を見ると、やっぱりねぇという感じしかしません。

その他の商品、生鮮物も【どんな考え方で品揃えをしているのか】に関しても、私は一切信用できなくなりました。「売れるなら売ってしまえ」ですかね?

飲食店や食品加工業、販売店で「誠意がないのが見える」なんて、私に言わせれば【最低】なのね。私はたとえ美味しくなくても一生懸命、真面目に作っている会社、店舗の方が【何百倍も素晴らしいと思う】わけです。

注入肉はこんなふうに作られます。(成型肉の作り方も出ている。注入肉に関しては後半から)

気をつけないとならないのは、【成型肉も注入肉も内部に細菌が入っている可能性を否定できないこと】じゃないですかね。一般的には【細菌は外側に付く】のが普通で、【内部には入っていない】と考えられますが、細かい肉を決着したり、脂肪やその他の薬品、調味料を【注入】した場合、内部に細菌が入る可能性があるわけです。

【だから良く焼かないとならない】と言われていて、この手の肉をユッケで食べるなんてのは最悪で、レアやミディアム・レアで食べるのも危ないかもしれない。私たちは「ミンチ」を生で食べたり、半焼きで食べたりしないのと同じ。

問題は業者にあるだけではなくて、マレーシアの表示義務や安全に対する考え方にもあると私は考えていて、私はなぜ「ローカルのマーケットで買い物をしないのか」はそれが理由です。

日本人は【性善説】でこういう食べ物や業者を判断しますが、それは日本人特有の倫理観や、行政の指導があるからなわけで、外国に出たらその考え方は一切通用しないと考えています。

今の時代、農薬やその他の薬品、調味料、添加物はかなり発達していて、中には当然「使ってはならないもの」や「使用量、残存量等に規制があるもの」も多いですよね。でもその管理がマレーシアでどの程度なされているのかが私にはわからない。

私はかつてハイドロポニックス家庭菜園をやっていましたが、試しに「農薬」を使ってみたことがあるんですよ。噴霧タイプじゃなくて「水溶液に混ぜるタイプ」なんですが、まぁ、これが効くこと効くこと。驚きました。

つまり、それが安全で使うことが許されているなら【使わないほうがバカだ】と思ったし、生産者には【もっと濃くして使いたい】というプレッシャーが常にかかっているはずなのね。【もっと強烈に効く農薬はないか】と探す気持ちもわかる。だから韓国や中国からの食品に信じられないようなことが露見して騒ぎになることがあるわけで、ましてや規制が甘い、監督も甘いとなったらやり放題になるのが普通でしょ。これはマレーシアに多い「養殖魚」も同じ。

また安全な食品を探していた時に気がついたのですが、「自然農法で作っています」とか、「安全安心を大事にしている」という農家もマレーシアには数多くあって、それを絶賛する日本人も多いことに気がついた。ところがですね、ではそういう農家が「オーガニックの認証を受けているのか?」と調べると、それは無いのね。

どういうこと?って思いませんかね。

これは鶏も同じで、私が知っている限り、マレーシアでオーガニック認証を受けた養鶏業者って一件しかないんですよ。で、その認証を受けるには、「明日からオーガニックにしよう」なんてのは絶対に無理で、土から環境からとんでもない規制があるのね。それをパスするのはとても大変なことらしい。

つまりですね、製造者の「安全です」というのを【鵜呑みにしているだけ】なんじゃないかと。でも間違いなく一生懸命真面目にやっている農家、養鶏業者もいるんでしょうが、私は【自己申告を重視するなら、オーガニック認証なんか存在理由がない】と思うわけで、そういう意味でマレーシアを疑いの目で見ています。

「この卵は【生】で食べられます」なんて卵も売っていますが、これも自己申告でしかない。業者のサイトには「試験場での検査結果」の例が出ていますが、それだけで信用してしまうのはあまりにもアホ過ぎると思いました。また「衛生面で気をつけている」のだとすれば、その業者の【生産現場の様子】が多くの写真で説明があるのが普通でしょ。ところがその業者のサイトには「自分の養鶏場の写真が一枚も無い」のですよ。これって私は「隠しているのでは?」と思ったぐらい。

試しにそういう衛生面で真面目な会社って、どういうサイトを作っているのか、日本の業者を見てみたら良いと思うんですよ。【ここまで徹底しています】とアピールするのが普通で、現場の写真が一枚もないなんて私には異常にしか思えないわけです。

でもま、ここはマレーシア。発展途上なのは間違いがなくて、「食品の安全性」に関しても国民の意識がまだまだ低いのかもしれないし、マレーシアの【お役所仕事】ってどういう特徴があるのか、マレーシアに長くするんでいる人は良く知っているはずで、【ルールとは達成目標でしか無い】と私は思っています。

そんなことを考えだしたら発展途上国や東南アジアでは住めないわけで、私はもうジジーですから多少の危険は問題ないと思うタイプ(笑)。でも小さい子供、かなりの年寄り、病弱な方がいたらどうすべきか。マレーシアは悩みどころはたくさんあると思っています。

マレーシアでの「食あたり」もそうで、【そんなのはたまにあるのが当たり前】だと私は考えていますが、店の責任が追求されたり、営業停止処分も聞いたことさえありません。

私は店で売られているものであたったことは無いのですが、ヨメさんは「惣菜として売っていた焼き鳥」で大あたりして一週間寝込んだことがあります。また私の姉もインド料理店のカレーであたったり。

食べ物に関しても「日本の常識」でマレーシアを見たら駄目だと私は思っています。

マレーシアを信用しないのか?ということではなくて、自分や家族を守る責任は【自分にある】という基本を認識すべきだと思う。

 

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