食材の入手:次なるステップは「卸問屋ルート」

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このことは書かないつもりでいたんです。あまりにも一般的ではないし、いろいろ書かれると困る人だって出てきますから。

でもそれでも書くのがこのブログの存在意義だと思っています。(笑)

要は「問屋から買うことは不可能なのか?」ってことですね。

ここでオーストラリアで私が何をやっていたのかの話をさせてください。

世界中どこでも同じですが、和食店に行くと「日本食材」が豊富にある。それを食べたければその店に行けば良いということになりますが、やっぱり自分で手に入れて、自宅で自分の好きに調理して食べたいですよね。

またパーティーをする機会が多ければ、そんな時にちょっと変わったものも欲しいし、そして、そして、「卸問屋から買えば安く買えるかもしれない」とは誰でも考えること。

ゴールドコーストで思ったことは、かつては「アワビ」や「伊勢海老」も店で食べてもそんなに高くなかったんですよ。そして当然寿司屋に行けば「マグロ」もあれば「ウニ」や「いくら」もある。

でもやっぱり高いですよね。

まず、価格は別にしてどこで買えるか探したのですが、そんなものは「魚屋」にもなければ「日本スーパー」でも売っていない。

オーストラリアの場合は、特にゴールドコーストのあるクイーンズランドは「海産物が豊富」だということでも有名。でも魚屋では欲しい魚は売っていない。

これって私がマレーシアに来てからあれがない、これがない、どこにも売っていないと騒いだのと同じことで、

「売れないものは置かない」

それだけのことなんですね。

「でも無いわけじゃない」

ましてやアワビや伊勢海老、ウニも海外に輸出しているくらいですから、我々住人とて買えない訳がない。

ということで探し歩いたのですが、結構簡単に見つかりました。現地企業のサプライヤーがブリスベンにあって、海産物の専門店で輸出もすれば輸入もする。そして日本から輸入もしていてそれを和食店におろしていたんです。

さて、私みたいな個人が買えるでしょうか。

当たって砕けろで、ちょっと風呂敷を広げた話を持っていった(笑)のですが、簡単にOKが出ました。ただし卸問屋ですから条件があります。

○ 最小ロットを守ること
○ 現金決済

FAXで彼らが持っている商品&価格リストを送ってもらい、注文は電話かFAX。すると週に何度か決まった日にブリスベンからゴールドコーストにレストラン向けに納品に来るのですが、私の自宅にもちゃんと来てくれました。そして現金決済。簡単です。

ただし問題は最小ロットがそれなりに大きいんですね。

アジを3匹、タコを一杯・・なんて注文は絶対にできないわけで、アジなら一箱(40匹ぐらい)、タコは冷凍で一箱10キロです。(笑)

でも特にこのタコはニュージーランド産で、「テンタクルズ」と呼ばれていた大きくて美味しい生タコでした。和食店でもそれを使っているところは美味しくて、日本からの「ゆでタコ」しか扱っていないところとは雲泥の差。そういう食材を消費者でも買えたのは本当に嬉しかった。

そしてアワビや伊勢海老は和食店だけじゃなくて多くのレストランが扱うわけで、当時、ゴールドコーストに大きな生け簀を持つ卸問屋があったんです。そこに飛び込みで行きましたが、なんの問題もなく買うことが出来た。もちろん現金ですが、アワビも伊勢海老ももちろん卸価格で安いなんてもんじゃありませんでした。

オーストラリアっていうとBBQが有名ですが、我が家も月に一度はかなり人数が集まるBBQパーティーをやっていましたが、そこに出すアワビや伊勢海老は大人気。ちなみに今では信じられない価格ですが、アワビも伊勢海老も1キロ3000円しなかったんですよ。

手のひらより大きなアワビでも800グラム程度で、2400円。

ある時、日本から友人の寿司屋の店主が家族できた時に、アワビや伊勢海老を買ってきて調理してもらったのですが、値段を聞いてびっくりしていました。また彼いわく、このアワビだったら「俺の店なら3万円は取る」って言っていましたので私もびっくり。(笑)

こんな感じで調べていきますと、どんどん仕入れる場所があるのがわかる。そしてある時、とうとう日系の卸問屋にアプローチしました。オーストラリアには大きな卸問屋が二軒ありまして、一軒はゴールドコーストで日本スーパーも経営している。

こういうところは和食店とは繋がりが深いですから、一般消費者に卸すなんてことはまずしないんですね。自社経営のスーパーを持っているくらいだから当たり前です。

でも、どの企業も「売上確保」は厳しいですから、売れるなら売りたいのが本音。

だから、「そこから買っているのは絶対に口外しない」という約束で(もう20年近く前のことだから時効)、なおかつロットはそれなりの大きさ、そして現金払いで、ありとあらゆるものの入手が可能になりました。日本酒も同様。

当時は町の酒屋ではどうしようもないような日本酒しか置いておらず、でも和食店では「久保田の萬寿」だって置いているわけです。もちろんそれを卸しているのは日系の卸業者で、ケース買い、現金払い、そして(税務署は怒るでしょうが)一般消費者と売買したという証拠が残らないように「納品書も無し(彼らが社内、税務署用に別途作る)」ということで話をつけました。もちろん「卸価格」です。

街の和食店、ホテルに入っている高級和食店と同じものが手に入る様になりました。それも卸価格で。

ところが問題はやっぱり仕入れロットが大きいってことなんですね。日頃家で食べる「魚の開き」にしても数枚程度じゃ仕入れられない。あるいは大好きな「銀鱈」にしても大きなフィレが最小ロット。

こんなのは自分の家だけでは捌ききれないわけですが、「買えるなら是非欲しい」という友人は結構いまして、5人も集まれば簡単に捌ききれる量となりました。特にウニみたいなものはみんな大喜びでした。

その内、慣れてきまして、また仲間も乗ってきまして、「蓄養インドマグロ丸ごと一匹」仕入れて、友人の寿司職人に解体を頼んだり、また私は日本人会の理事をしていた頃でもあって、日本人会の有志で共同購入みたいな形でマグロ一本買ったり、阪神大震災救済チャリティーの時にはマグロを仕入れ、休みの寿司職人協力してもらって、バザーで寿司を売ったり。本マグロを売ったり。

結局、やればできる。探せばどうにかなるのは世界共通だと私は思うんですよ。マレーシアも同じだってこと。

そして今のマレーシアとして私が気になるのはやっぱり「魚介類」と「和牛」ですが、それらを購入するルート構築はほぼ出来上がりました。

ただし、ここははっきり書いておかないとならないと思うのですが、そうすることによって同胞がやっているお店に迷惑を掛けたらダメだってことなんですね。

また和食店を経営、あるいはそこで働いている人たちなら、どういう業者がいて、どういう商品を持っていて、いくらぐらいかってのは誰でも知っているわけです。

でも、ここに私が守っている「仁義」みたいなものがあるのですが、「そういう人たちには一切聞かない」ってこと。

例えばここに書いたことだって、昔からの友人の、そしていつもこのブログにも登場する大西さんなんて、自分でも店をやっていましたし、和食の店で働いていましたから、ああ、あれはどの業者が持っているよ、価格はいくらで・・・って情報は絶対に持っている。

でも私は大西さんにそのことに関して一度たりとも聞いたことはありません。また彼も聞かれたら困るはずだし、そこの一線は友人でも超えてはならないというのが私の信条です。ですから私のルート開拓には大西さんは一切タッチしていません。

でもそんなものは調べれば誰にでも分かるんですね。また売ってくれる業者もあれば「売れない」という業者もある。あるいは卸価格ではなくて「一般価格で売る」業者もある。

ここで大事なのはやっぱりバイイングパワーの結集なんですね。末端消費者と言えどもバイイングパワーがあれば業者は無視はしない。

ところが面白いもんで、日本でもどこでもそういうパワーを結集しようと考える人、実行する人はいないに等しい。(笑)

私は飲食店の家に生まれ育ちましたし、ずーっと中小企業の世界で生きてきましたから、自分が「末端消費者である」という意識がほとんどないんですよ。

「生産者」ーー「卸問屋1」ーー「卸問屋2」ーー「小売店」ーー「消費者」

この基本的な図式はどんな業界も同じですが、自分は消費者であるのと同時にこの図の中のどこかに属して、あるいは彼らと組んで仕事をしているんですよね。

誰でも自分のいる業界は常に見ているわけで、世の中の動きを見て「卸問屋を始めてみようか」とか「小売店舗の多店舗展開も面白い」、あるいは「製造を始めてみようか(輸入をしてみようか)」なんてことは誰でも常に考えていることのはず。

だからそれを私はゴールドコーストでもマレーシアでも同じように考えるわけで、「何か面白いネタは無いか」と考えるのが癖になっています。でもそれを実行に移すかどうかは別問題で、ま、頭の体操みたいなもんです。

だから「卸から買う」なんてのは簡単過ぎる話で、たとえば、自分が和食店を始める、ケータリングサービスを始める、和食専門のスーパーを始めると仮定したら、さてどこからどういう風にアプローチをすべきかと考えれば、自ずと答えも道も開けるんですね。

ところがなぜか「自分は消費者」だと決め込んで、末端の高いもの、限られた物を買うだけで満足する人が世の中の大半なんですね。不思議だと思います。

消費者も力を結集すれば大きな力となる。COOPなんてのがまさにそれで、今では巨大な組織になっているじゃないですか。

そんな大きなことを考えなくても、ちょっとその気になった人が5人10人集まったらかなりのバイイングパワーになるってことを忘れないでほしいんです。

そんな仲間で共同仕入れをし、それがだんだんと大きくなってくると卸業者も無視できないパワーとなる。それどころか扱い高が大きくなれば「独自で輸入さえ可能」になるんですね。

私の父の実家は築地の魚河岸の仲買人で、今では私の従兄弟たちが頑張ってやっていますが、築地も昔と違って「いつ潰れてもおかしくない状況だ」と言います。かつてはどこにでも魚屋があり、スーパーも築地から仕入れていた時代がある。

ところが魚屋は姿を消し、スーパーは産地から直接、あるいは船ごと買うようになり、魚河岸も素人相手に「3枚におろしてくれ」と言われたらやるようになったと。

今の時代、世界中に和食店があって、また海外の輸入商に築地からありとあらゆるものが輸出されているんですね。そこから買うのもプロしか買えないわけじゃなくて、もし我々にバイイングパワーがあればいくらでも買うことが出来るということ。輸出業者はいくらでもいます。

マレーシアっていくら日本人が多くても、その多くは長居はしない駐在組、あるいはロングステイヤーで、ここに長く住んで骨を埋めようなんて考えている人たちはほんの数%でしょう。でもそういう人たちに「和食を安く食べたい」という強い願望があるのなら、どうにでも出来るチャンスがあるってことだと思うんですよ。

私達がAirbnbで泊まっている時に、コンドの敷地内に野菜や魚を売りに来る移動ミニスーパー屋さんが来ました。モントキアラでは有名なお店でしょう。

その店で売っている「ホッケの開き」が気になったんです。安いんですわ。

「どうしてこの値段で売れるの?」って聞いてみたんですよ。すると親父さんがいうには「ケースで買ってバラバラに詰め替えているから」っていうんです。これってまさにイオンの前の中島水産もやっているはずで(要確認)、バルクのケース買いってかなり安いんですよね。

それを一枚一枚パッキングしなおせばちゃんとした商品になる。当然、伊勢丹とかで売っている「最初から一枚ずつ真空パックされたもの」よりかなり安くなる。仕入れもどれだけ安いか想像つきますよね。

ただ、パッキングが雑ですから、バルクの詰め替えだなってのは見ればわかっちゃいますが。(笑)

ああいう移動販売店でもそんなことをやっているわけで、消費者が集まりバイイングパワーを結集したら面白いことになるとおもうんですが、たくさんいる日本人も多くは腰掛け気分でマレーシアに居るから、そういうことをやろうなんてことも考えないんでしょうね。もったいないと思います。

COOPみたいに力をつければ、輸入、卸まで手を広げ、小売店舗だって出来るだろうに。

ま、誰かがそんなことをやろうと計画していたら声をかけてください。若干のお手伝いぐらいはしますから。

でもま、そんなことを考えながら、まずは自分の家族、身近な人達の力を結集して、安全で、美味しいものを、そして「安く」てにいれられるようにするつもりです。

この件に関してはこのブログに書くのはこれが最後。今後は内緒で深く潜航して進めていくつもり。

卸問屋さんの企業名も、本マグロの腹1がキロいくら、大トロの冷凍ならいくら、和牛のA5のテンダロインはキロいくらだなんてことは絶対にここには書けませんし、この話はこれでおしまい。ご理解ください。

でも何か面白そうだとピンとひらめくものを感じた方はメールでもください。

ただ、和牛はどこから仕入れて価格は?みたいな話にはお答えできませんのでそのへんは宜しく~~。

皆さんがやる気を出して、調べてアプローチしてみれば私と同じようなことは誰にでもできるはず。

私の挑戦は終わりがなくて、今年は和食だけで終わりそうですが、来年は水槽に魚介類をたくさん並べている中華料理屋がたくさんありますよね。あれをどうにか手に入れるルートがないか調べる予定。

伊勢海老を置いている店はいくらでもあるし、オーストラリア産の伊勢海老や蟹も置いているでしょ。あれが不思議なのは、彼らの小売値はオーストラリアで我々が買う値段より安いってこと。

流通の世界って面白いですよね。そして我々末端消費者が世界のピラミッド状の企業群を支えているという事実。

いつまで末端の高いものを買い続けるんですかね?

これは金融も同じで、我々が高いの安いのいう銀行の定期金利も末端消費者用なんですよね。我々が安い金利で喜んでお金を預けるから、世界の企業が活動できるわけだけれど、それでいいのか!末端消費者!!!(笑)

 
 
 

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