自家製 「簡易塩鮭 VS 新巻き鮭もどき」 対決!

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私は元々鮭は大好きなんだけれど、オーストラリアで食べる鮭にはもうウンザリ。刺し身や寿司と言えば、マグロも何も無くても鮭だけはどの店でもおいてあって、当初はそれでも良かったんだけれど、もう20年以上もそんな生活をしていると慣れるのではなくてもう勘弁してくれと思うようになりました。

じゃぁ、焼いて食べたら?ってなるんだけれど、どうも昔から食べ親しんだ塩鮭じゃないんですね。買ってきたものもそうだし、自分の家で作っても「塩をした鮭」であって日本伝統の「塩鮭」じゃない。

ということで、日本伝統の塩鮭を作ってみようと思ったのは、先日書いたとおり。ここ

そもそも日本伝統の塩鮭はどういう風に作っているかというと、以下の通りらしい。

1 鮭をたっぷりの塩に漬ける。
2 1週間ほど熟成させる。
3 塩抜きをする。
4 自然乾燥させる。

ところが今風の塩鮭は、以下のとおり。家庭で作る場合も同じ。

1 鮭に少量の塩を振る。
2 冷蔵。

これだけ。調べてびっくりしたのは、近年の日本の塩鮭というのは日本伝統の作り方はせずに、大量の鮭に分量の塩をまぶして冷凍するらしい。気がきいたたところはソミュール液(塩水)に浸けてから冷蔵。では日本古来の作り方をしている鮭はというと、新潟の村上とか有名な産地の業者がほそぼそと作っているだけになってしまったそう。とにかく手が掛かるし、当然コストも上がるわけで、スーパーに並べても売れる時代じゃないらしい。でもそういう本物(?)の鮭ファンは多く、ネットの中では引っ張りだこの様子。新巻き鮭も昔と今とはそういう違いがあるそうです。

この大きな違いは、塩気が問題じゃなくて、熟成された旨さがあるのかないのかってところ。いわゆる塩を振って焼いただけの魚と、塩をして(塩水に漬けてから)一夜干しにしたのとまるで違うわけですが、それと同じことが塩鮭にもあるってことなんだと思っています。

この本来の塩鮭を、オーストラリアで我々が買える鮭で再現しようと思ったわけです。買ってきたのはニュージーランド産アトランティックサーモン。

これ。

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これを一週間たっぷりの塩に漬けておこうと思って、結果的に待ちきれずに5日目に取り出したのがこれ。

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水分がかなり抜けてかなり硬くなっています。もちろんこのままじゃとんでもなく塩辛くて食べられませんので、次の工程として塩抜きをしました。水と少量の酒、みりんに漬けましたが1日ではまだまだ塩辛いので二日間塩抜きをしました。日本伝統の作り方では、この塩抜きが職人の腕の見せ所らしいです。これで塩加減もきまるわけですから。その時、真水は使わずに薄い食塩水を使うとのこと。

塩抜きが終わったのがこれ。下の切り身がそれです。

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本当はここから干すわけです。新潟の寒空にお腹を広げられた鮭たちが干されている光景を昔見たことありますが、その工程を経て熟成が進むのでしょう。

でももう待ちきれなくて、ここで試食。(笑)

ちなみに上に写っている鮭は、比較のために2日前に買ってきた鮭。その時同じ種類の鮭が売っていなかったので本当の比較にはならないのですが、まぁ、なんとなく違いはわかるだろうと思って、その新しい鮭には薄く塩をふって冷蔵庫で寝かしました(塩抜きはしていない)。これも水分が抜けて若干硬くなっています。締まっているというべきでしょうか。これがいわゆる多くの人が家で作る「塩鮭」。

これを焼いてみたのがこれ。我が家はコンドミニアムですし、煙が出るとうまくないのでホイルに乗せて焼きました。

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どう見ても、塩を若干振って2日目の上の鮭のほうが美味しそう。下のダボ流新巻き鮭もどきの方は食欲がわくような見た目でもなく、こうやって比べるとそれこそもう(腐って)駄目になっているんじゃないかと思うくらい。(笑)

でも、こういうことに結構興味がある長男と一緒にウンチクを喋りながら食べ比べたのですが(ヨメサンは、こういう試みを馬鹿にするタイプ)、結論からいうと

勝負なし!

日本古来の塩鮭という観点からは、間違いなく荒巻もどきの方に旨さがあるのがわかるのですが、深みがあるってほどじゃないのね。「美味しくない日本の塩鮭(笑)」という評価が当たっているはず。でも5日間塩漬けにしている間に熟成されているのははっきり違いとしてわかりました。タンパク質がアミノ酸に変わって旨味となっているのでしょう。

ただ塩を少量振って2日おいただけの鮭が美味しくないかというとそんなことはなくて、まぁ、オーストラリアで食べ慣れた塩味のする鮭です。これはこれで美味しいのだけれど、これを「塩鮭」と呼ぶのはやっぱり間違えていると思います。この味の違いをどう説明したら良いのかわからないのですが、荒巻もどきの方は間違いなく日本の「塩鮭」の部類。そして塩を振って寝かしただけの鮭は「和食じゃない鮭の味」「味に深みはないけれど美味しい鮭」。なんというか和食と洋食の違いのようなものを感じました。ああ、洋食レストランで食べる鮭の味がこれだわ。だからこの二種類は似ているようだけれど全く違う食べ物だと思いました。だから勝負のつけようがない。

今回の実験としては、荒巻もどきにしてもその製法を最後まで真似ず、干さなかったわけですから実験が実験になっていませんが、日本伝統の塩シャケの味はこういうふうにして作られるのだと理解をするには十分な実験だったと思います。そして私としては2日間、塩を振って寝かしただけの鮭を日本伝統の「塩鮭」と呼ぶことに抵抗をますます感じるようになりました。

次の段階として考えられることは、この薄く塩をした鮭をもう少しこのまま寝かしたら美味しくなるのか。また荒巻もどきの方をちゃんと干したらもっと美味しくなるのかという点。

ただ、素人考えとしてはこの先は難しいように思うのです。どちらも塩が結構効いているという状態じゃありませんから、このまま先に進んでも美味しくなるというより、「危なく」なるんじゃないかみたいな気がしています。(笑)

オーストラリアって消毒用のアルコールを売ってないんですよ。エタノールがあればそれで消毒しつつ先に進みたいのですが、エタノールってお酒のアルコール分そのものでしょ。この国だとそういうものを売ると、それを飲用に使う人が多いってことなんだと思うのだけれど、飲用しないようにメチルアルコールが混ざったものしかなさそう。つまり食べ物の消毒には使えない。

では高アルコール度の酒を使うって手もあるんですが、昨日酒屋に行って聞いてみましたが、大した高アルコールの酒はないし、ウイスキーなりジンみたいな香りが付いてしまうのも問題です。

せめて高酸性水(家庭用のアルカリ水生成器からでも得られる)でもあれば良いんですが・・・・。

ま、腐らせるのを覚悟で、このまま続けてみます。ここで終わったらダボはダボじゃなくなるし。(笑)

この塩に漬けるってどういうことなのか、それに興味が湧いています。元々は保存の為だったのでしょうが、「美味しくなる」という副作用があった。これって人類最大の発見だと言っても良いくらい。塩蔵技術がなければ人類は生き延びることが出来なかったもしれないわけですから。と同時にそれが今の時代、「美味しく食べる」というふうに形を変えて引き継がれている。素晴らしいことだと思います。

私自身は塩蔵物が好きってわけではないのですが、大好きな「牛のタン」はCorned Tangueを必ず買います。いわゆる「塩漬け牛たん」ですが、塩漬けとそうじゃないものが売られていますが、ただボイルするにしてもシチューにするにしても、私は塩漬けしたものの方が何倍もうまいと思っています。まぁ、料理のしかたによって違うわけで、「塩漬け牛たん」を焼き肉で食べたいとは思わないし(笑)、使い分けが必要なんでしょう。

そんなことを考えている時に、ラブラドールのチャリスという魚屋に行ってタコを買ってきたのですが、なんと、最近の私の興味を知っているかのように「ボラの卵」を売っていました。今はそういう時期なのでしょう。いわゆるカラスミの原料です。これを買わずに立ち去るわけにもいかず、買ってきました。そして今現在、カラスミを作るべく、塩漬けの最中。明日には塩抜きの工程に入る予定。(笑)

それとですねぇ、凝り性ってやりだすと止まらないんですよ。豚のバラ肉も買ってきました。もちろん自家製パンチェッタを作るつもりで。今現在、バラ肉も塩と黒胡椒だけをまぶして塩漬け中。(笑)

ただどれも売っているものと同じものを作ってもしょうがないので、自作ならではの利点を活かして、

○ 添加物は使わない
○ 薄塩

この線で行く予定。でも添加物も無しの薄塩ってのは難しいんですよね。危険が高まるわけですから。サルモネラ菌なんてのは私に言わせると可愛いもんで、でもボツリヌス菌と出会ったら死を覚悟しないとならないので(随分昔にカラシ蓮根事件がありましたね)、ちょっと気にはなっています。(笑)

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