料理で大事なことが段々わかってきた。味と香りの使い分け。

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最近、なるほどと思うことがあるんですが、それは「味」と「香り」の使い分け。

味って舌で感じるもの。でも香りは鼻ですよね。料理にはどちらも大事。

ところがこれって大きな違いがあって、味は水に溶ける。そして香りは油に溶けるということ。

例えば、料理の最初に「油でにんにくを炒める」ことをしますよね。これって「ニンニクの香りを出す」為にやるわけですが、その香りが「良い匂いになって」どこか飛んでいってしまうんじゃ意味が無い(笑)。当たり前ですよね。

つまり、油にあの香りを移しているってことなんですね。水の中にはあの香りは移らない。香りは油性だから。

アタリマエのことを何言ってるんだ?って思うかもしれませんが、私はそんなことを突き詰めて考えたこともありませんから、それを知って結構びっくりしたんですよ。

またニンニクじゃなくて「鷹の爪」も油で炒めますよね。あれも同じ。つまり、それをしないとその料理にその香りは付かないんですね。ただ入れただけではボヤけちゃう。

それってニンニクの場合、私みたいなド素人のベロ音痴でも多少はわかるわけで(笑)、ニンニクを最初に炒めないで、途中で料理に入れるのとはまるで違うものになるってこと。

結構私が得意とする「麻辣豆腐」(麻婆豆腐みたいなもの)には麻の「痺れ」の為に山椒ではなくて「ホアジャオ(花椒)」を使います。でも私の場合は、最後の最後に「粉のホアジャオ(花椒)」を入れるんです。

でもこれって、ニンニクの香りを出すために、一番最後にニンニクパウダーを振るのと同じなんですね。プロやハイアマがやるべきことじゃない。

で、麻婆豆腐にしてもプロやハイアマがどうやっているかというと、まさにニンニクと同じで(私みたいに)パウダーなんか使わない。一番最初にホアジャオ(花椒)を油で炒めて、油にその香りを移して使うんですね。豆板醤を最初に炒めるのも同じ。

ではどう違うかというと、味はストレートに伝わってくるけれど、油に移された香りは「余韻」となって伝わるんだそうです。

だから料理に幅と奥行きが出て、時間差で楽しめる。

なるほどぉと思いません?

和食の場合は油を多くは使いませんし、基本的に「油に香りを移して余韻を楽しむ」という味覚の文化さえ存在しないそうです。でも最近のプロは「和食の進化」ということでこれを使い始めているらしい。

「油がなくても香りはするじゃん」って思いますが、あれは香りというより、水蒸気(水)に乗って出てきたものであって、ここで言う「香り」とは違うんですね。いわゆるあれですよ、あのアロマオイルを燃やした時に漂うもの。あれって水蒸気(水)に乗ってるわけじゃないですよね。あの感じを料理にも取り入れているのが洋食であり中華なんだそうです。でも日本食には馴染みがない手法とのこと。

これと関係がある話として「乳化」がありますよね。油と水が混ざるあの乳化です。例えばマヨネーズがそうですし、バターも牛乳もそう。ただ乳化には二種類あって、水の中に油の分子が溶けこむのと(マヨネーズや牛乳)、油の中に水の分子が溶け込む(バター)の二種類があるとのこと。

で、油に香りを乗せて、なおかつ乳化させると、面白いことが出来るんだそうです。

普通、油をそのまま口にはいれませんよね?でもマヨネーズはそのまま口に入れられるじゃないですか。つまり、乳化させて初めて人の口に入ると言っても良いのかもしれませんよね。で、その油に「香り」が乗っていると、食べたあとからジワ~~っとその香りが余韻として出てくるという理屈なんだそうです。白濁した(乳化)した豚骨スープが美味しいのもそれなんですね。あれが乳化していなくて水分と油分が分離していたら、油がどれほど良い香りがしようと口の中にはいれたくないですもんね。

だからマヨネーズも使う油に変化をつけることで、随分奥の深いものになるとのこと。

正直な所、そういう味や香りの楽しみ方に私は慣れていませんから、あまりこだわってもしょうがないような気がしますが、世の中にはあのややこしいワインの美味さ、楽しみ方を知っている人は多くいますし、そういう方は舌も鼻も良いでしょうから、そういう調理の違いも敏感にわかるんだと思います。

こういう使い方をするのは洋食と中華は似ているそうで、和食とは違う。でも和食でもそういう方向を模索するプロが出てきているとのこと。

極論を言うと、「バラの味がする料理はない」が「食べた後にほんのりバラの香りがする料理は作れる」ってことなんですね。(笑)

バラの香りなんかつけてどうすんだよ、なんて言わないでくださいね。これはひとつの例でしか無くて、「香りは油に移る」という科学を理解すると、一つ奥の深い料理が出来るようになるし、ましてやそれがわからないと洋食や中華はアウトってことじゃないですかね。

きっとプロやグルメの人たちって、その辺はすぐわかるんでしょうね。

これって私としてはゾッとするわけで(笑)、結構自信がある「麻辣豆腐」にしても、そういう人たちに食べさせたら「ダボってホアジャオの使い方を知らない人なんだな」というのが一口食べただけでバレちゃうってこと。それどころか「料理の基本がわかっていない」のがはっきりしちゃう。恥ずかしい~~~。(笑)

きっとこの辺は訓練すればかなり分かるようになるのかもしれませんし、私としては気をつけてやってみようと思います。

また「味は水に溶ける」「香りは油に溶ける」、そして油に溶けた香りは余韻として時間差で出てくるというのを利用したら面白いものも出来るんじゃないでしょうか。

最初に食べた感じとは違う余韻が漂ってくるような料理。

柚子とかシソの香り成分も油性ですから、ちょっと面白いことができそうですね。

これはスイーツも同じなはずで、乳化を利用して「香りのついた油」を使って幅の広いスイーツが出来るってことなんでしょう。

面白いと思いません?

私としては一番わかりやすのがニンニクだと思うので、それでいつか実験してみようと思います。同じ分量のニンニクを最初に油でちゃんと炒めたものと、最初には炒めずに途中から足したものとどれほどの違いがあるか。

全然違いがわかんな~~~い、なんてことになりそうな予感もするんですが・・・ (笑)

でも自分はわからないにしても、わかる人にはわかるわけですから、その辺はきっちり考えて作ってみたいと思っています。

これって・・・・、ヨメさんは違いがわかる人なのかなぁ。試してみよう。 (笑)

実はなんで(前の日記に書いた)ゼラチンを手に入れたかというと、ゼラチンって界面活性作用があるらしく「乳化剤」として働く。つまり白濁した豚骨スープはゼラチンの作用なんですね。鶏の白湯スープも同じ。つまり、ゼラチンをうまく使うと乳化が簡単に出来て、料理の幅が広がるだろうと考えたわけです。

ただ安いゼラチンを使うと動物の匂いがしたりしますから、その手のゼラチンはスイートやケーキには使わないんですね。それと同じで、本来使わないであろう料理に目立たないゼラチンを入れることによって深みを出せるってこと。

味噌汁にもゼラチンを入れる人が結構いるようですが、これが美味しいんだよというのもこれが理由なんですね。乳化させて油を取り込んでそれが「コク」とか「深さ」に繋がるんでしょう。

乳化剤として有名なのはレシチンですね。いわゆる卵の黄身に含まれているもの。ああ、卵の黄身も乳化状態なんだそうです。私は大豆レシチンは健康食品として食べますので、それを使っても良いかと思ったのですが、「固めて」いろいろ作ってみたいと思っていますので「冷えると固まる」ゼラチンを入手したわけです。まだシドニーで止まったままですが。(笑)

料理って面白いですよね。理工系の人もこういう科学的なことから入って行ったら結構ハマるんじゃないですかね。私は理工系じゃなくてアホ系ですが。(笑)

こういう料理の科学的なアプローチに興味がある方はこちらをどうぞ。

関西食文化研究会
このサイトのレベルはかなり高い。面白いと思います。

イベント情報 料理のプロ、必見!「関西食文化研究会」 第15回イベント 料理に使える「乳化の技」2014年6月1日 日曜日
味と香り、乳化の理論とそれの応用を料理界の重鎮たちが話し合っています。

 

 
    

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