ベトナムのフォーをこだわって作ってみる

古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください

ベトナム料理のフォー(この言い方は正確ではないけれど)の美味しさに目覚めていろいろ実験しているのはいつも書いている通り。

これの大事なキモはスープの旨さと使うスパイスだと思っています。とりあえず必要なスパイスは以下の通り。

◯ スターアニス(八角)
◯ シナモンスティック
◯ クローブ(丁子・チョウジ)
◯ フェンネルシード
◯ コリアンダーシード
◯ カルダモン

これらを投入するときのタイミング、そして入れる前に煎って香りを立たすべきなのは前に書いたとおりで、ただ入れるだけだとフォーの美味しさは出てこないと思います。というか、これってスパイスを使う時の注意点としてはどんな料理でも同じで、これの重要さを教えてくれたのが西洋料理ではなくてベトナム料理だったというのが私にしてみると驚きでした。ベトナム料理って簡単に見えますが、それだけにこだわりの深さは和食の出汁に通じるものがあると思います。

そしてベースになるスープですが、これはどう取るべきなんでしょうね。フォーはこうあるべきというのがベトナムにあるのは間違いがないにしろ、フォーは牛だけではなくて鶏肉もあれば野菜のもあるわけで、もしかしたら拘る必要もなく、自由度が高い料理なのかもしれませんね。

美味しければなんでも良いとは思うのですが、せっかくこだわるのですから「牛のフォーはこうあるべし」という伝統を知りたいと思います。

でもこればかりは私の調べ方ではわかりませんし、そういうのがあったにしろ、ああやったらどうか、こうやったらどうかという好奇心のほうが先に出てしまいます。

フォーのスープを「ビーフストック」と考えますと、ベストなのは子牛の骨と赤身肉を使うべきなのでしょう。でも私はパンチ(あるいは若干の癖)があるようなのが好きですし、私の中では「牛骨と赤身肉」であれば良いと思っています。ところが牛骨から煮出すと面倒なんてもんじゃないんですよね。でもまスロークッカーのような放置プレイができる調理器具があれば問題なし。

でも夕方になって「今日はフォーを食べたいね」なんて話が出てもどうにもなりません。ベトナムではかつては夜に用意し、一晩中交代で付きっきりで煮込んで作るのが普通だったと聞いていますし、骨や肉からスープを取るのに2,3時間ではどうにもならず。

今の時代は圧力鍋という優れものがあるじゃないかと思うわけですが、スロークックや低温調理にこだわってやっていますと、いかに「調理温度」が大事なのかがわかってくるわけですよ。100度以上で煮てよいものとダメなものもあるわけで、圧力鍋は普通120度ぐらいの高温になるわけで、それだけに調理は早く進みますが、大事な香りは飛んでしまう、雑味まで出てくる、素材の食感を保つことは出来ないという点が気になります。逆に、素材から旨味を全て絞り出すような必要があるのなら良いのかもしれませんが、日本人がかつお節や昆布を高温でグツグツ煮ない理由を考えても、それはいわゆるスープ、ストック作りも同じであると思います。

でもわざとグツグツ高温で煮る料理もあるわけで、私が知りたいのは「作るものによってどう変えるか」という点。そういう意味では普通のスープやストック(出汁)づくりでは圧力鍋では雑なものしか出来ないと私は考えていて、低温調理ではないもののスロークッカーで時間を掛けて作るのが良いと思っています。いわゆる煮る時の「コトコト煮る」の重要さがやっとわかるようになりました。

ま、いつもの通りうんちくが長いのですが、牛のスープは何から取るか?骨と赤身肉が良いのはわかった上で、違う方法はないのか?

これの一つの答えが前回作ったフォーで、コンソメを作る考え方で「牛のひき肉とビーフストック」を使いました。(その時の日記)

これはこれで全く問題なく美味しいし、ただ骨から作った時の「コク」がないんですね。でも「あっさりしていて良い」とも言える。この辺は好みなんでしょう。

それと煮こむ時に使った肉をどうするのか?

フランス料理的な考え方だと「捨てるしか無いでしょ?」となるわけですが(笑)、アジアの料理では捨てるということは非常に稀だと思うし、ベトナムのフォーにしても韓国のユッケジャンスープにしても出汁取りに使った肉は途中で取り出して、食べるのが普通。

でも「出汁のための肉」と「食べるための肉」は別物と考えるフランス料理的な考え方があっても面白いわけで、フォーにしても肉の塊は使わずにミンチを使う(それは食べない)のも良いと思うわけです。

でもそれとも違う考え方があっても良いわけで、つまりしっかり煮込んだら美味しい肉を使う、という考え方。

例えば牛のスペアリブもそうですし、あるいはオックステイルを使ってその肉をしっかり煮込むフォーがあっても良いはずなんですね。

ということで今回は牛のスペアリブを使ってみました。この肉は途中で取り出さずに最後までしっかり煮込みます。

スーパーで買った1キロ1000円程度のスペアリブを1.8キロぐらい用意しました。骨が付いていますから肉は1.3キロぐらいでしょうか

RX1R-05714

これを流水で綺麗に洗い(骨の削り屑がついている)、一度茹でこぼしします。そして鍋の中に投入。

使ったのはスロークックと低温調理のどちらでも出来るハイブリッド調理器。

RX1R-05717

この時点で投入する野菜類は「玉ねぎと生姜」のみです。どちらも焼いてから入れます。

RX1R-05715

これにストック(牛でも鶏でもOK。水と顆粒スープの素でもOK)を足します。

RX1R-05718

これを90度+程度の温度で約5時間煮込みます。大事なのは絶対に沸騰させないこと。途中、適当にアク取りをします(ベトナム人はこのアク取りはかなり神経質にやる様子)。

この時点で初めてスパイス類をいれます(最初から入れると間違いなく風味が飛び、味が一体化しすぎる)。入れるものは上に書いたとおりで、この時に砂糖(パームシュガー等)、塩、ニョクマムも入れて約2時間煮込みます。

味見をしましたら、なんだか牛の味が非常に薄いので、秘密兵器(韓国の牛骨の髄から作ったスープの素)を入れてみました。この秘密兵器(笑)に関してはまたいつか書こうと想いますが、入れると白濁しますし、コムタンスープを作る時にこれを入れたら良いと思います。

RX1R-05719

あとはこのスープを漉して違う鍋に移し替えます。この時に浮いている脂はできるだけ取り去ります。そして最終的な味の調整。ポイントはニョクマムかな。ニョクマムですがタイ産の多くは濃厚なので注意。

RX1R-05720

さて、フォーの麺ですが、どうしましょう。そもそもフォーというのはあの麺のことをいうはずで(米粉麺)、白くてちょっと幅のあるコメから作った麺。それもいろいろ種類があるようですが、私はどうもあれのフニャフニャした食感が苦手で(炒めた場合は大好き)、前に腰のある讃岐うどんを使ってみましたがやっぱり似合わず(笑)。でもきしめんなら良いかもしれないと思ってきしめんを買ってきましたが、今回は、それ以上にこれの方が美味しいはずだと思っていたあの細い「ビーフン」(米粉麺)を使いました。

乾燥麺ですが自分の好きなような硬さに茹でられますし、スープの絡みも良いですからこれの方が美味しいと私は思います。

ビーフン。これを好きな硬さに茹でます。そして最後はちょっとスープの中に入れて「スープを吸わす」のが大事なポイントだと思います。

RX1R-05721

器に茹でたビーフンを敷き、肉、(水で晒した)玉ねぎ、そして湯通ししたモヤシを乗せます。

RX1R-05722

今回はこれに「牛のシャブシャブ肉(霜降り肉ではないほうが良い)」も使いました。これはヨメさんからの要望で、ヨメさんも長男も「フォーにはナマニク」が基本中の基本だそうです。(笑)

ただ生々しいのはダメなので、スープでちょっとシャブシャブするのが良いと思います。

そして熱々のスープを上から注ぎ、そして絶対にないとダメなコリアンダー、刻んだネギ、赤唐辛子を乗せれば完成。胡椒は使いません。そしてあったほうが良いのは「ライム」。これも大事だと私は思っていて、レモンではライムの代用にはならないと思います。

RX1R-05724

そしてこれに絶対に必要なのはこれ。海鮮醤(北京ダックの黒い味噌)、スリラーチャ(唐辛子)。肉をこれに付けて食べたり、これをスープに溶いたり、食べ方は好き好き。

RX1R-05725

美味しかった・・・・・。美味しい~~~♪というより、しんみりと「美味しい・・」と思う味。ヨメさんもこれには驚くほどで、「美味しいねぇ、美味しいねぇ」と何度も言いながら食べていました。

ベトナム料理にかぎらず、アジア料理を「ストリートフード的」、あるいは「B級フード」に見下す傾向が日本人にはあると思いますが、やっぱり歴史がある国の料理は敬意を払うべき良さがあるとつくづく思いました。私はこういう繊細さをアメリカ料理、オーストラリア料理には見たことがありません。やっぱり伝統って凄いと思います。

ただ、ベトナムにはフランスの影が濃く残っていますし、このフォーのスープを取る時のこだわり方ってどうも「コンソメ」を作る時のものに非常に似ていると感じます。フォーってフランス統治時代に完成したのか、それとも古代からこういう作り方が(日本のように)伝承されてきたのか。

あるいはフランスに統治されるってことはベトナムに取って「文明開化」であったはずで、コンソメなる美味しいスープを知り、文明に憧れる思いが重なって「こだわり」が出来たのかと思ったり。フォーのレシピを見てみると面白いのが、プロや普通のオバサンや若い女性でも、「凝るべきポイント」が同じなんです。こういう傾向ってフランス料理を見ても和食を見ても、意外にそれぞれが好き勝手にやっていると感じますが(アメリカ、オーストラリアはメチャクチャ)、ベトナムの場合はその「こだわり」が広く浸透しているのが不思議に感じます。

アジアの料理をストリートフードで括ってしまったら大間違いで、伝統ある調理文化を是非学んでみたいと思っています。

マレーシア料理ってどうなんでしょう。ニョニャにも興味があります。街のホーカーズで食べるそれらではなくて、宮廷料理みたいなのはあるんでしょうか。

マレーシアの「本物の」伝統料理を知りたいですし、マレーシアに行くのがそういう意味でも楽しみ。

ベトナムのフォーをこだわって作ってみたいと思う方はこちらをご覧ください。

本格的ベトナムのフォー(Pho Bo)を作ってみた。(スパイス編)

本格的ベトナムのフォー(Pho Bo)を作ってみた。(スープ編)

本格的ベトナムのフォー(Pho Bo)を作ってみた。(仕上げ編)

再びベトナムのフォー(Pho Bo)を違う作り方で作った

 
 
 

「にほんブログ村」のランキングに参加しております。是非、応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へにほんブログ村 海外生活ブログへにほんブログ村 海外生活ブログ ゴールドコースト情報へ