(実験)豚の角煮

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豚の角煮に関しては長年悩みに悩んで、でも満足できるものがどうしてもできないというのは何度か書いていますが、また実験をしてみました。

でも、あちこちの日本人シェフに話を聞きますと、豚がそもそも日本とは違うから無理だとのこと。、私としては半分諦めてはいるのですが、なんらかの方法があるのではないかと未だに凝り続けています。

今までやったのは

1 オーソドックスに圧力鍋
2 鍋でコトコト2時間ぐらい煮る
3 コンフィ(油で長時間、低温で煮る)
4 低温調理で数時間

どれもこれも似たような出来上がりで、今のところ1番の圧力鍋が私の好きな、肉も柔らかい状態に出来ています。でもまだ肉の繊維が硬い感じがするので100点をつけるのは無理で、やっぱり私としては箸で簡単に切れるような角煮を目指したいです。

出来が良かったのは圧力鍋ですが、その次に良かったのがやっぱり低温調理。ただせいぜい2,3時間でもっと長い時間煮続けるという実験はやっていませんでした。(ちなみにフランス料理でいうコンフィですが、色々試したものの、ネットで絶賛するような結果は出ていません。ものめずらしさはありますが、何度も作りたいとは思えず)

で、昨日は長時間低温調理に挑戦。

肉は普通のスーパーで売っているもの。1キロあたり10ドル99セント。グラム80円ぐらいってことでしょうか。それを684グラム。

ミンチは中国人の肉屋のが美味しいと思うのですが、このバラ肉に関してはどこでも同じだろうという先入観があります。そもそもこちらにはどこどこ産の何々豚なんてのは見たこともありませんし、日本のように良いもの安いものの差はなさそうです。ただ、脂身の多い少ないはパックによっても大きく差があり、今回は脂身が少ないものを選びました。

これを大きめに切って、酒とショウガだけで煮ることにしました。味はあとで付ければいいし、塩気でもあればより硬くなるはずですから、とにかく煮るだけ。

温度は70度で12時間煮てみました。やりすぎ?(笑)

脂はしっかり抜けていて、白く見えるのは脂ではなくてゼラチン質だと思います。

楽しみにしていたのですが、出来上がりはがっかりするもので、長時間煮た良さは発見できませんでした。脂身のところはトロトロですが、肉が駄目です。どうしても繊維の硬さが目立ってしまうし、繊維を横切る感じで箸で切るのは簡単ではありません。繊維に沿っては崩れる一歩手前で、限りなくコーンビーフ状に近いと言って良いかもしれません。パサパサ感がある。

満足が行かないものの捨てるわけにも行きませんし、和風で味付けをし、更に2時間、今煮ている最中です。その後、冷める過程でしっかり味が付くだろうと思います。

本当にがっかりです。理論的に考えると圧力鍋での調理、つまり高温調理が美味しいはずがないと思っていまして、繊維はコーンビーフのようになるし、当然味は抜けて、ただ中途半端に柔らかいだけだろうと思うのです。

でも低温調理ならたんぱく質の分水作用も進まない状態で、それも長時間煮ればうまい具合に出来そうなのですが、結果は全く逆で圧力鍋の勝ち。

この調理の違いって、圧力鍋では肉が硬くなりその後柔らかくなるわけですが、低温調理で狙うのは硬くさせることなくそのまま煮込むってこと。

この失敗の理由として、低温調理の温度も大いに関係があると思っています。

低温調理って一口に言っても、じゃぁ、温度は何度なの?って話が大事なはずで、料理の世界でいう、コトコト煮るとか、グツグツ煮るというような曖昧さではまともなものは出来ないと思うんです。

というのは実験してみるとすぐにわかりますが、例えば割合簡単に出来る鶏の低温調理ですが、柔らかくてジューシーなのが出来るものの、意外に温度はシビアで70度で長くやるとやっぱり肉汁が出てパサパサになってしまう。でも68度なら大丈夫だという実験結果が出ています。

逆に65度だと、長時間煮ても中がピンク色のままという感じ。またモモ肉と胸肉では火の入る時間も違いますし、決して簡単では無い様です。

正直なところ、温度がこれほどまでに微妙だとは思いませんでしたが、今のところの実験結果ではそうなっています。

肉のたんぱく質が固まるのは63度辺りからで、分水作用が始まる、つまり水分が抜けて硬くなるのは68度辺りのようです。ですから、70度だと時間を掛けると硬くなるというのは理にかなっているわけで、もし66度、67度で調理ができればまた違った出来上がりになるのだろうと思います。

ところがそんな微妙な温度調節が出来る調理器具って無いんですね。プロ用ではありますが一般向けにはありません。私が持っている低温調理器は3段階しか選べず、設定温度は90度、70度、50度です。

ま、これって感覚的には理解できます。いわゆるグツグツ煮るのに近く、でも決して沸騰させない温度が90度ですし、70度はコトコト煮るであり、50度は保温なのでしょう。

でも科学的に調理を考えると最適温度はかなり微妙で、聞いてみるとオーブンで焼くローストにしても凝る人は牛、豚、鳥などの肉によって温度(肉の真ん中の温度)を微妙に調節するようです。

この低温調理(真空調理と同じ意味と言って良いと思います)ですが、湯煎の形、つまり真空パックしたような状態(家ではジップロックなどを使う)でお湯に浸ける形が主流。その他、プロはコンベクションオーブン(対流式オーブン)や蒸気オーブンで細かく温度調節できる調理器具を使うようで、それを考えただけでも、家で同じようなものを作ることの難しさは想像できます。

低温調理器具なるものが売っていて、私のもそれですが、もし70度で良いとなれば炊飯器が使えるんですね。私も実は、低温調理の事始は炊飯器でした。それも炊飯ではなくて「保温」を使います。この温度も炊飯器やメーカーによって違うらしくほとんどが70度辺りだとはいうものの、ちゃんと計ったほうが良いとおもいます。で、その温度と、お湯の量、材料の重量、厚さなどを考慮して調理時間を調節すればローストビーフとか鶏の白蒸しみたいなものは簡単に出来ます。

でも長時間やるには温度調節がちゃんとできる器具じゃないと駄目。

これを色々探したのですが、一つだけありました。炊飯器なのですがサンヨーの炊飯器(踊り炊き)に細かい温度調節が出来る機種があるのがわかりました。ところがご存知のようにサンヨーはパナソニックに吸収され(そして解体されるのでしょう)、もうこのサンヨーの炊飯器も買うのは難しいようです。

チャットの友人でこのブログの読者でもある女性に、とにかくこのサンヨーの炊飯器を買って試してくれと頼み込んだのですが、その機種を見つけるのは簡単ではなかったと言います。でもこの炊飯器はご飯も非常に美味しく炊けるそうで、安いお米でも美味しいと喜んでいました。また鶏肉の低温調理でジューシーで柔らかい中華のアレと同じものを作れるようになって、家では好評のようです。私としても押し売りしてよかった。(笑)

でももうその機種は消えてなくなって、パナソニックの炊飯器に統合されるんでしょうね。で、その温度の微調節機能もなくなってしまうのでしょう。

その他、何かないか探したのですが、プロ用の機器ばかり。そんな時に見つけたのが、実は調理器具じゃなくて、実験器具。科学の実験で試料を熱する必要があるものに使うようですが、これが湯煎の調理器具と全く同じ。微妙な温度調節ができますし、精度は調理器具よりはるかに上だと思います。

でもま、そんなものは一般的ではありませんが、だからといって70度前後なら良いだろう的な考え方だと出来上がりに差が出るのは実験で良くわかりましたし、精度も出ていない、温度調節もできない調理機器、たとえば炊飯器の保温などでは所詮、偶然をあてにした調理しかできないと思います。

料理の世界は技術と勘と経験の世界といわれますが、科学的に解明されている部分も多いわけ(揚げ物の温度もそう)で、それを試す調理器具を簡単に入手することができないのは本当に残念です。

ちなみに、私はゴールドコーストでは私が考える柔らかく煮上がっている豚の角煮には出会ったことがありません。どうしても肉がイマイチ硬い。これはマレーシアでも同じで、何箇所かで食べましたし、角煮が有名なKLの客家レストランや小籠包で有名なドラゴンアイでも同じ。日本ならいくらでもあるような豚の角煮がどうして海外にはないのでしょうか。

また日本は豚肉でもピンからキリまでいろいろありますよね。日本ってそういう意味でも本当に凄い。

いつか日本で美味しいと有名な豚でシンプルな角煮を作ってみたいです。

あ、もう柔らかい角煮は諦めようかと思いましたが、肉を柔らかくする裏技はまだ使っていません。コーラが良いとか味噌が良いとか、また中華料理では普通に使う重曹。あれを使ってみたら良いかもですね。中華で出てくる牛肉もフニャフニャであそこまで柔らかくなるのなら豚のバラ肉も柔らかくなりそう。

(後記) この日記に書いたことは間違いだらけなのがその後の経験でわかってきました。特に私が「低温調理器」だと思っていたスロークッカーですが、スロークッカーとは字の通り、ゆっくり温度を上げていく調理器で、定温(低温じゃない)を維持しているわけじゃないんですね。つまり12時間スロークッカーで調理したということは数時間掛けて90度以上の温度に持っていき、その温度のまま長時間維持したことになります。

スロークッカーを誤解していたわけですが、そのことはこの日記に詳しく書いています。

スロークッカー大きな誤解(まったく使えない調理器具) ←クリック

 

 
    

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