尖閣棚上げ論

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尖閣諸島の扱いに関して、中国は棚上げ論で同意しているという、でも日本政府はそんな約束はしたことがないという。ここを皆さんどう考えているでしょうか。そのことに関してコメントを頂き、その返事をコメントで返したのですが、大事な部分だと思いますので、日記にもそれを書くことにしました。

私は棚上げ論は存在したと考えています。

まず棚上げ論は存在しているという学者の意見。

これを全面的に受け入れる必要はありませんが、こういう考え方が存在するのは知るべきだと思います。

また、棚上げ論を言い出した中国側に、日本は賛同したことはないという点ですが、では、賛同できないとはっきり言ったのでしょうか。私はどこをどう探してもはっきり否定したという証拠が見つかりません。

つまり、日本は賛同はしなかったのは間違いがないにしても、否定もしなかったのではないかということ。その状態で、両者手を取り合って握手をすれば、相手はどう受け止めるのか、そこを考えるべきだと思うのです。

賛同はしなかった、一方的に中国が言っているだけだという理屈が通るのでしょうか。

これって私に言わせると、日本的な「曖昧な表現から真意を察する」という習慣を外交の場でも使ってしまった日本人のアホさであると思うのです。こういうことって我々一般でも海外生活をしていると何度も何度も出くわす場面ですよね。日本人がはっきり答えない場合は、それはノーを意味するというのは日本人にしか通じないのね。外人とビジネスをして、その辺で困った経験を持ったことがある人は少なくないと思います。

日本人間では言わなくていいことでも外国人にははっきり言わないとならないことがあるし、言わない場合は、相手の主張を呑んだと思われても仕方が無い。

外交という微妙な分野での話は本当に難しいと思うわけで、どこで強く主張し、どこで引くのか、どこでとぼけるのかってのが政治手腕なのでしょうが、この棚上げ論に関しては、賛同せずに言質をとられることはなかったと主張したい日本の立場はわかりますが、否定もしなかったというところに、相手につきこまれても仕方が無いと私は考えています。棚上げ論を持ち出すならこの話は無しだと椅子を蹴飛ばして席を立つことはしなかったのですから。それどころか握手しちゃった。

また1997年の日中漁業協定を忘れてはならないと思うのです。この第6条(b)に

「北緯27度以南の東海の協定水域及び東海より南の東経135度30分以西の水域(南海における中華人民共和国の排他的経済水域を除く。)」

という内容がある。これはまさに尖閣諸島の海域で、この領域ではどう取り扱うかこの協定では定めることはなかった。これってまさに問題の先送り(=棚上げ)だと私は思うのですが、この協定にはまだ続きがあって、あるおかしな文書がくっ付いている。それは

「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定第6条(b)の水域に関する書簡」

その内容ですが、こういう内容。

本大臣は、本日署名された日本国と中華人民共和国との間の協定に言及するとともに、次のとおり申し述べる光栄を有します。

 日本国政府は、日中両国が同協定第6条(b)の水域における海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを確保するために協力関係にあることを前提として、中国国民に対して、当該水域において、漁業に関する自国の関係法令を適用しないとの意向を有している。

 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。

                       1997年11月11日東京で
                          日本国外務大臣小渕恵三

日本国駐在中華人民共和国
 特命全権大使 徐敦信閣下

さて、この文書はどういう意味になると考えますか?

「当該水域において、漁業に関する自国の関係法令を適用しないとの意向を有している。」

とはどういう意味でしょうか。

つまり、尖閣諸島海域で中国漁船が操業しても良いよってことじゃないですか?

でも日本は尖閣で中国の漁船(偽装漁民だとしても)を結果的に捕まえてしまった。まぁ、すぐに船長を釈放したわけですが、これに対して中国は約束が違うというのもしょうがないと私は考えます。

日本は尖閣問題を先送りにしてきて、この漁業協定みたいないい加減なものまで締結してしまった。これを棚上げと呼ばずなんと呼ぶべきでしょうか。日本政府や政治家が棚上げを論に賛同したことはないという理屈が通りますか?

私は中国の肩を持つつもりは全くありませんが、中国に付け入る隙を与え放題だった日本の今までの態度、そして政府や政治家が自分達は一度たりとも棚上げ論に賛同したことが無いと言い張るずうずうしさに腹が立つのです。

ま、過去のことを言ってもしょうがないですが、安倍さんには性急に物事を運ぶことなく、じっくりと外堀を埋めながらジワジワと中国を締め付けて欲しいと思います。そのためには法律の整備も必要ですし、憲法の改正もその法律の裏づけとなるものですから、どうにか良い方向へ動いて欲しいと願っています。

また国交相が中国寄りと考えて良い公明党の太田氏ですが、それがそもそもの間違いだ、問題だと主張する保守系の人は多いですが、私は逆だと思うんです。彼がいるからどうにか中国を抑えることも出来て、なおかつ安倍さんは言いたいことが言えるんじゃないでしょうか。バリバリの保守派を国交相においたら、尖閣はすぐに白黒つけようという方向に動きそうです。一般市民の上陸を許可しろとか、公務員(警察官、海保)を常駐させろとか、灯台を整備しろ、船止まりを作れとか、元東京都知事じゃないですが、ガンガンやれという意見は保守派、国民の中に多いわけで、もし国交相に大事な自民党の保守派をおいたら何かしなければならないじゃないですか。でも太田さんじゃぁどうにもならない、しょうがないなぁ、と思うわけで、それが安倍さんの狙いだと私は想像しています。

今は安倍政権としては地固めの時期ですから結論を急ぐべきではなく、問題も起こさずにしかし保守派の爆発しそうな鬱憤も抑えつつ時間をどうにか稼いで、日本が普通の国になる基盤を作るのが先だと私は考えます。

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